大阪府立図書館の活動評価~令和5年度のまとめ~
更新日:2025年5月3日
5年度から7年度までの3年間を活動評価の第五期と位置づけ、府立図書館の5つの基本方針を横断する2つの「重点事業」と、それぞれの基本方針に沿った「基本事業」を設定しました。5年度中には、図書館情報システムの更新のため利用者サービスを一時停止する期間もありましたが、利用者のみなさまのご理解をいただき、無事にあらたなシステムでのサービスを提供開始することができました。
重点事業・基本事業の総括は下記のとおりです。具体的な取り組み内容や目標値の達成度については各シートをご確認ください。また、より詳細な統計等については、「基礎指標」をご参照ください。
重点事業1:すべての府民が図書館サービスを享受できる環境の整備 ~図書館利用に配慮が必要な府民への読書活動支援~
1. 活字による読書や来館が困難な利用者、日本語を母語としない利用者への多様なサービス提供
(i)デイジー図書の作成は、目標を達成しました。「見て、聴いて、さわって楽しむ読書の世界」では、参加者が多様な方法での読書体験を通じて読書のバリアフリーに関して理解を深めることができるため、引き続き実施し、職員もさらに機器の取扱いに習熟するよう取り組んでいきます。
(ii)府域市町村図書館へ「日本語を母語としない利用者に向けたサービス」についてアンケートを実施し、その結果を踏まえ事業を検討しました。6 年度はその中から選定した事業を実施していきます。
2. 障がいのある子どもへの支援
支援学校への出前おはなし会は、学年別に複数回を実施しました。手話を使ったおはなし会「楽しい手話」は、初めての参加者の反応もよく、6 年度も継続して実施します。館内での手話研修は、3 段階でのレベル別で実施し、着実に力をつけてきた職員が事業を支えています。引き続き事業継続のための取り組みを進めていきます。
3. 市町村立図書館向けの研修実施、情報提供
「見て、聴いて、さわって楽しむ読書の世界」は、府域の市立図書館でも同様の内容でイベントが催行されました。府立での取り組みがモデルケースとなり、市立図書館でも活用できた実例です。さらに情報提供、共有を進めていきたいと考えます。




重点事業2:府立図書館蔵書の利活用の拡充 ~非来館型利用の促進~
1. デジタルコンテンツの拡充
国文学研究資料館の「歴史的典籍 NW 事業」に協力し、資料のデジタル化を実施したため目標を大きく上回ることができました。6 年度以降も後継プロジェクトに協力できるよう引き続き取り組みを進めます。また、国際児童文学館が所蔵する資料では、他館に所蔵のない明治から昭和初期の雑誌をターゲットに据え、6 年度も続けて資料利用の利便性の向上に尽力していきたいと考えています。
2. デジタルコンテンツの認知度の向上
中之島図書館ホームページに「デジタル展示」のページを新設し、織田作之助の誕生月に「草稿」を紹介するなど、効果的な所蔵資料の紹介を試みました。これまでの紹介ツールもあわせ、今後とも継続して活用を図っていきます。中央図書館では、オープンアクセス資料の利用促進を図りホームページ上の便利なコンテンツ、さらには商用オンラインデータベース、児童サービスや資料に関する情報などの発信を継続して実施します。
3. 資料および情報への多様なアクセス手段の確保と利便性の向上
オンライン利用者登録実現に向けたシステムの実装仕様を策定し、システム構築を実現しました。このシステムを活用してのオンライン利用者登録にむけてプロジェクトチームを令和6年4月に結成し、令和7年1月の開始をめざして検討を進めます。



基本事業
- 基本方針1
- 府立図書館は、市町村立図書館を支援し、大阪府全域の図書館サービスを一層充実させます。
- 基本事業1
- 府域図書館情報ネットワークの活性化
基本事業1 令和5年度の取り組み
大阪府域図書館グループウェアを活用した新たな取組みの検討を上半期に行い、掲示板機能を活用した展示リストの共有(9月)、および注目の取組みを行った図書館へのインタビュー記事を掲載する「OPLニュース・インタビュー」(3月)を順次開始しました。6年度からは通年の取組みとして進めていく予定です。
- 基本方針2
- 府立図書館は、幅広い資料の収集・保存に努め、すべての府民が正確な情報・知識を得られるようサポートします。
- 基本事業2
- レファレンスサービスの拡充と、所蔵資料を活用できる司書の育成
基本事業2 令和5年度の取り組み
資料展示は、司馬遼太郎をはじめ池波正太郎、遠藤周作の生誕100年にちなむ展示、一方で現代の台湾文学も取り上げました。建築家コンドルを取り上げた次は日本の近代建築をテーマとする、「食」を柱に戦前の食事、からだとこころなどのテーマを月替わりで紹介するなど多様な所蔵資料を紹介しました。こども資料室では、季節の行事や記念日に合わせたテーマで1日単位から2,3か月単位と期間も違えて常にいろんな本があることに、興味を持てるよう努めました。また、書架から本を選ぶ楽しみのきっかけとなるようクイズイベントでのヒントを書架に隠すなど工夫をこらしました。 レファレンス研修は、国立国会図書館主催研修など中堅職員向けの研修にも参加し、館内での伝達研修により全体的なスキル向上に努めました。
- 基本方針3
- 府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めるとともに、国際児童文学館の機能充実・資料の利用促進に努めます。
- 基本事業3
- ・広域自治体の視点から学校等に対する支援を拡充し、府域の子どもの読書活動を推進
・国際児童文学館資料の利用促進
基本事業3 令和5年度の取り組み
司書教諭・学校図書館司書、担当者を対象とした研修のほか、高校生のための図書館講座「LibCo(りぶこ)」は4校、スクールサービスデイ以外にも探究学習利用にも対応しました。
国際児童文学館の利用方法や複写の混雑状況等ホームページやXで案内するなど、利用についての広報内容を工夫しました。
- 基本方針4
- 府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。
- 基本事業4
- 地域資料の収集・保存と利活用
基本事業4 令和5年度の取り組み
博覧会協会や関連機関に依頼して、図書11点、ポスターやリーフレット等55点を収受しました。現時点では電子媒体での広報誌等が発行されておらず、動画やイベント実施時での周知が主となっており、万博関連資料が記録として作成されるのはこれからかと思われます。6年度は、開催1年前ということでさらに働きかけていくこととします。
- 基本方針5
- 府立図書館は、府民に開かれた図書館として、地域の魅力に出会う「場」と機会を提供します。
- 基本事業5
- 府民の生涯学習、地域の情報拠点として地域の発展にも貢献し得るよう様々な事業を展開
基本事業5 令和5年度の取り組み
中之島図書館では、中小企業診断士会とのビジネスセミナー、契約しているデータベース会社から講師を派遣していただき「オンラインDBセミナー」を実施し、より一層資料を活用していただく機会となったと考えています。
中央図書館では、連続講演会を前期・後期と実施、読書週間記念講演会等を開催しました。イベント開催に際しては、Xやメールマガジン、ホームページでも広報するほか、連携先のSNS等での広報も協力いただきました。
資料展示

講演会・セミナー

