大阪府立図書館

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令和5-7年度 大阪府立図書館の活動評価について(外部評価報告)

更新日:2026年10月10日

[PDFファイル/541KB]

令和8年8月
大阪府立図書館協議会 活動評価部会

はじめに

 令和5年度から7年度の3か年は、大阪府立図書館の活動評価の第五期にあたる。
 活動評価が始まった平成22年度以降、大阪府立図書館は日々の地道な活動に着実に取り組みつつも、将来を見据えた数々の新たな計画に果敢に挑戦をし、新型コロナウイルス感染症拡大という困難な時期においても、遠隔で実施するサービスに新たな地平を開くなど、さらなる進化を遂げてきた。
 第五期の社会情勢としては、2025年日本国際博覧会(万博)が大阪の地で開催されたこと、生成AIが社会、経済、教育など各所に急速かつ多大な影響をもたらしていること、の2点を挙げておきたい。また大阪府は令和8年3月、「第5次大阪府子ども読書活動推進計画」と「第二期大阪府視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画(読書バリアフリー計画)」の2つの計画を公表した。府立図書館では、図書館情報システムのリプレイス、中之島図書館開館120周年、中之島図書館新館(書庫棟)竣工、中央図書館地下2階新書庫の運用開始もあり、府立図書館の新たな時代の幕開けとなった。
 この第五期の活動評価では、第四期までの5つの基本方針に対応した事業(基本事業)を引き継ぎつつも、複数の基本方針に横断的に関連した重点事業を2つ、新たに設定・実施した。基本方針は以下の通りで、重点事業1は基本方針1、2、3、5に、重点事業2は基本方針1、2、3、4に対応する。

5 つの基本方針

  1. 府立図書館は、市町村立図書館を支援し、大阪府全域の図書館サービスを一層充実させます。
  2. 府立図書館は、幅広い資料の収集・保存に努め、すべての府民が正確な情報・知識を得られるようサポートします。
  3. 府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めるとともに、国際児童文学館の機能充実、資料の利用促進に努めます。
  4. 府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。
  5. 府立図書館は、府民に開かれた図書館として、地域の魅力に出会う「場」と機会を提供します。

 以下では、この2つの重点事業と5つの基本事業について、3か年を通しての評価を行う。

重点事業

1.すべての府民が図書館サービスを享受できる環境の整備 ~図書館利用に配慮が必要な府民への読書活動支援~

 重点事業1は「すべての府民が読書活動を通じて文字・活字文化の恵沢を享受できる環境の整備」を目標としており、「大阪府視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画(読書バリアフリー計画)」に沿った施策に重点的に取り組むものである。前述の通り、基本方針1、2、3、5に横断的に関連している。

 具体的な事業内容は以下である。

 (1) 活字による読書や来館が困難な利用者、日本語を母語としない利用者への多様なサービス提供
  <1> アクセシブルな書籍等の充実に向け、デイジー図書・テキストデータの作成と国立国会図書館(NDL)へのデータ提供、アクセシブルな書籍等を周知するための取組等を実施する。
  <2> 日本語を母語としない、読書や図書館の利用に困難を伴う利用者に向けてサービスを行う上で、市町村立図書館が府立図書館に対しどのような支援を必要としているかを把握するため、初年度にアンケート調査を行う。一層のバリアフリーを進めるため、広報等を見直す。
 (2) 障がいのある子どもへの支援
  <1> おはなし会やイベントを実施し、障がいのある子どもたちに資料を届ける。
  <2> 支援学校の教員や学校司書に向けて、障がいのある子どものための図書館サービスや読書支援活動の講座等について情報提供等を行う。
 (3) 市町村立図書館向けの研修実施、情報提供
  <1> 府域図書館職員等を対象とした研修を実施する。   
  <2> (1)・(2)の事業内容について研修時や情報交換会等で報告する等、府域図書館全体に関連情報を周知する。

 このうち(1)<1>については、デイジー図書等を毎年40件以上国立国会図書館へデータ提供するという数値目標を掲げ、いずれの年度もこれを達成した。
 また、アクセシブルな書籍等を周知するための取組として平成30年に初開催された「見て、聴いて、さわって楽しむ読書の世界」は、現在、点字体験、点図ディスプレイやデイジー図書再生機器の展示、クイズ形式で学ぶ手話講座など多様な読書体験ができるイベントとして定着した。令和5年度評価で指摘した、障がいの有無にかかわらず誰でも参加できる子ども向けのおはなし会、イベントとの接続も進み、参加者が多様な方法での読書体験を通じて読書のバリアフリーに関する理解を深める機会を提供した。その後開催の点字教室への参加にも繋がり、府域の市立図書館でも関連イベントが開催され、問い合わせも増える等、波及効果が続いている。また、バリアフリー映画上映会の開催時にもデイジー図書再生機器の展示を実施する等、積極的な周知も見られた。
 なお、令和6年度評価において、アクセシブルな書籍等の周知・情報提供としての取組に関連して、ディスレクシアなどの発達障がいにより文字の認識に困難がある人たちのためのマルチメディアデイジー図書に関わる情報提供の強化を求めたところ、早速、マルチメディアデイジー図書の展示、使用体験会の実施があった。
 これらの取組はいずれも高い評価に値する。
 ただし、府立図書館サイトの「障がい者サービスのページ」では、発達障がいの人たちがマルチメディアデイジー図書を含め、どのようなサービスを受けられるのか、視覚障がいや聴覚障がい、言語障がいの場合に比べ明確ではない。支援学校等には(1)<2>の取組の中で情報提供されているものと思うが、発達障がいによる読書困難は児童・生徒の問題にとどまらない。情報提供のチャンネルは複数あってよい。より一層の情報提供を求めたい。

 (1)<2>については、令和5年度に大阪府域の市町村立図書館に対して実施されたアンケート調査の結果に基づき、積極的な事業展開があった。たとえば以下である。
 ・やさしい日本語の知識習得のための司書セミナー「やさしい日本語の基礎」の企画・開催
 ・上記を通じた、ホームページやデジタルサイネージの見直し、非常時の案内パネルの新たな作成等、やさしい日本語での広報や情報発信
 ・多様な言語の絵本セットの作成
 アンケートの実施結果を直ちに有効な事業展開に繋げた行動力を高く評価する。
 なお、2012年以来継続実施されている「いろんな国の言葉のおはなし会(多言語おはなし会)」について、基本的には関係各所に紙チラシを配布する、個別に声を掛ける等により広報を行っているとのことであった。紙チラシにはやさしい日本語を用い、工夫がみられる。今後より広くこの取組を知ってもらうならば、SNSでの情報発信にも同様の配慮を求めたい。
 また、災害時弱者になりやすい人々への情報発信も重要である。防災や生活情報といった大阪府の別の部署が発信しているHPに府立図書館サイトへのリンクを掲載することで外国語資料ややさしい日本語の資料の紹介、加えてOPACでの検索で言語別に検索結果一覧リストが表示される機能等のPRにも繋げられるのではないか。

 (2)<1>はとりわけ子どもを対象とした支援であるを得ている。
 支援学校への出前おはなし会は、昨年度、一昨年度と同様に学年別に複数回実施した。また、図書館内での催しとして「楽しい手話」、「手話で楽しくおはなし会」も第五期の3年間継続的に実施し、多くの子どもたちが手話によるおはなしにふれる機会を作ってきた。
 職員への手話研修も継続的に実施し、成果検証として利用者向けの「手話で楽しくおはなし会」を開催する等、研修を研修のまま終わらせるのではなく、その成果を目に見える形でアウトプットに繋げている。今後も引き続きカウンターでの手話による意思疎通や、支援学校への手話による出前おはなし会を担当する職員の育成についても継続されたい。
 <2>の支援学校の教員や学校司書向け情報提供については、支援学校出前時や教育センター研修時等で第五期の3年間でいずれも毎年9回以上実施。「見て、聴いて、さわって楽しむ読書の世界」を研修の日程とあわせて開催することで、教員や学校司書に多様な資料を体験する機会を提供するなど、工夫が見られた。

 (3)の市町村立図書館向けの研修実施、情報提供は、市町村立図書館からとりわけ大きな期待を寄せられているところである。その期待によく応え、後述する基本事業1のグループウェアも活用しながら、各図書館からのニーズを汲み、情報共有を図っている。
 たとえば、日本語を母語としない、読書や図書館の利用に困難を伴う利用者に向けたサービス研修を市町村立図書館職員向けに実施し、児童サービス担当者連絡会等でも、多言語おはなし会はじめ、関連情報の共有を図り、実践モデルの提供を行っている。また、前述の「見て、聴いて、さわって楽しむ読書の世界」は、府域の市立図書館でも同様のイベントが開催される等自館での成果還元に繋がる研修となっている。これらの点を高く評価する。今後のさらなる情報提供・共有を期待する。

 一方、大阪府域の図書館の中で、サピエ(視覚障害者及び視覚による表現の認識が困難な方々に対して点字、デイジーデータを提供するネットワーク)会員に登録している館は、いまだ半数程度である。サピエ図書館の作成・提供するデータは、読書バリアフリーの実現に不可欠である。府立図書館がリーダーシップを発揮し、大阪府域の基礎自治体の全登録を目指していただきたい。

 大阪府は令和8年3月に第二期の読書バリアフリー計画を公表した。その策定には府立図書館が中心的な役割を果たしていることが見てとれる。これまでの着実かつ先進的な取組がそれを可能にしたと言えよう。読書バリアフリーの認知・理解を、府庁関係者や図書館界のみならず、広く社会全体に届ける活動にも期待したい。

2.府立図書館蔵書の利活用の拡充 ~非来館型利用の促進~

 重点事業 2 は「デジタル化した古典籍資料や、国際児童文学館資料等の利活用の推進と、府立図書館資料へアクセスできる機会の拡充」を目標とするものである。基本方針 1、2、3、4 に横断的に関連している。
 具体的な事業内容としては以下が設定されている。

 (1) デジタルコンテンツの拡充
  古典籍資料のデジタル化画像の追加や、行政資料等のデジタル資料の収集を継続するとともに、国際児童文学館所蔵雑誌の目次データの追加により、所蔵情報の充実を図る。
 (2) デジタルコンテンツの認知度の向上
  大阪府立図書館のデジタルコンテンツについて、他機関データベースとの連携や、SNS・ホームページでの情報発信による認知度 向上に努める。
 (3) 資料および情報への多様なアクセス手段の確保と利便性の向上
  オンラインによる利用者登録の実現等、来館せずに、より幅広い図書館サービスが利用できる環境整備を進める。

 このうち(1)については、古典籍資料のデジタル化、行政資料等のデジタル資料の収集、国際児童文学館所蔵雑誌の目次データ追加件数を数値目標として設定している。
 古典籍資料のデジタル化は、独自に実施するものと、国文学研究資料館との連携により実施する(国文学研究資料館がデジタル化する)ものとがある。毎年4,000画像を目標としていたところ、3か年平均で年12,000点近いデジタル化が実現した。令和7年度に国書データベースを通じて公開した「板木総目録株帳(文化九年改正)」(「大坂本屋仲間記録」の一部)は、公開後約1か月で474回(PV数)のアクセスがあった。求める利用者に利用しやすい形で資料を届けることができたと言えるのではないか。
 行政資料等のデジタル資料については、令和7年開催の大阪・関西万博関連の資料収集を含め、3か年平均で年100件の収集があり、毎年目標(100件)を達成した。府が作成・入手した公文書や資料類のうち歴史的・文化的な価値があるものを保存している公文書館とも情報共有をしている。
 国際児童文学館所蔵雑誌の目次データについては、令和5年度、6年度は毎年目標(100件)を達成した。令和7年度については諸事情により登録が遅延したが、データは既に作成されており、問題なしとした。また、評価項目外ではあるが、令和6年度からは「国立国会図書館未収かつ入手困難資料のデータ収集事業」に参加し、明治から昭和初期の児童古雑誌のデータを令和6年度に133件、令和7年度に117件提供するなど、国の機関との連携事業にも尽力し、計画的に着々とデジタル化を進め利便性向上に努めている。
 国文学研究資料館や国立国会図書館との事業連携がこうして進められることは、大阪府立図書館の所蔵する資料の力であり、また連携を形にした図書館職員の力でもあろう。高く評価したい。

 (2)のうち他機関データベース連携については、国文学研究資料館「国書データベース」へのデータ提供を指標としている。3年間で14,000点の目標は初年度で達成した。(1)で述べた通り、国書データベースを通じたデータの幅広い公開は、認知度の向上に寄与したと言える。
 デジタルコンテンツの認知度の向上については、中之島図書館特別展「貴重書のみどころ」で、展示資料から「おおさかeコレクション」へ誘導を図るQRコードを掲示したり、全長37メートルの行列絵図『崎陽諏方明神祭祀図』の動画を作成し館内上映並びに図書館公式YouTubeチャンネルでも公開する等、魅力的なコンテンツを効果的な手法でPRしており、来場者アンケートでも好評を博していたことが確認できる。博物館的情報発信手法は斬新で意欲的な取組として高く評価できる。
 国書データベース搭載の画像は高精細で、かつ国際的識別子DOIの付与等発見可能性を高めるための高度なメタデータ整備が図られている。現在、国書データベースのみに搭載されている画像群を、今後は提供元の大阪府立図書館の「おおさかeコレクション」でもカテゴリ別の解説付きで閲覧できるようになる日が待たれるが、その際には、国書データベースのメタデータを「おおさかeコレクション」などに効率的に利活用する可能性も追求されてはどうか。大阪府立図書館所蔵の古典籍資料を所管の「おおさかeコレクション」等で閲覧できること、それこそが大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えること、ひいてはシビックプライドの醸成に大きく貢献する取組になり得るのではないかと思われる。今後も引き続き、府立図書館が所蔵する素晴らしい財産である古典籍資料群について様々な切り口での情報発信に努めていただきたい。

 (3)の資料および情報への多様なアクセス手段の確保と利便性の向上については、中央・中之島両館職員による「非来館登録サービス検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、対象利用者層やサービス内容等について議論を重ね、令和7年1月より試行実施した。試行時の課題整理、申請者へのアンケート結果の分析等による周到な準備ののち、令和8年1月より本格実施に入った。試行期間からの累計ですでに、年間新規登録者数の約1割に当たる1,000人超の登録があり、オンライン利用登録の有効性を一定示す数字となった。現時点では、オンライン登録者も来館利用が中心とのことである。今後は、オンライン登録者と来館登録者の利用行動の比較分析にも着手され、オンライン利用登録の有効性をさらに高める方策に繋げていただきたい。

基本事業

1.府域図書館情報ネットワークの活性化

 基本事業1は評価項目として情報ネットワーク(大阪府域図書館グループウェア)を活用した図書館実践事例を共有する取組回数を設定し、年間の目標値を80回とした。3か年平均で88回であり、令和6年度以降は目標を2割程度上回っている。図書館関連の情報をとりまとめて府域市町村図書館に向けた「OPLニュース・ピックアップ」の毎週配信、展示リストの共有、注目の図書館への「OPLニュース・インタビュー」配信、掲示板機能を活用した「みんなの質問箱」における市町村間の情報共有など、府域の図書館ネットワークの核としての役割実績は高く評価できる。また、第四期活動評価で指摘のあった、相互に顔の見えるざっくばらんな関係性の構築との相乗効果にも期待したい。

2.レファレンスサービスの拡充と、所蔵資料を活用できる司書の育成

 基本事業2は評価項目として、資料展示回数(目標値110回)、パスファインダー新規作成・更新数(目標値60回)、府立図書館職員向けレファレンス研修実施回数(目標値8回)が設定されている。このうち資料展示回数は年平均145回と目標値を大幅に上回り、また年々増加傾向にある。年間145回というのは、開館日の概ね2日に1回のペースで新たな展示が開始されるという状況で、時宜に適った資料との出会いの機会を豊富に意欲的に提供したものである。パスファインダー作成・更新数も年平均66回と目標を上回っており、新規作成のみならず、更新にも取り組まれている点も含め、高く評価したい。
 レファレンス研修実施回数は年平均9回で、これも目標を上回った。日本有数の公共図書館におけるレファレンス技量の継承、一層の研鑽を望みたい。
  一方、基礎指標において、協力レファレンスや政策立案支援サービスレファレンス、個人利用者からのレファレンスの件数がおおむね減少傾向にある点に関しては、生成AIの影響の可能性が想定されよう。その分析は今後に委ねることになるが、府立図書館の有する信頼性の高い多様で貴重なデータが生成AIの中で適正に活用されることは、否定されるべきことではない。むしろ、府立図書館のものと分かる形で非来館者にも届くよう、仕組みを整えて活用することが重要であろう。

3.1 広域自治体の視点から学校等に対する支援を拡充し、府域の子どもの読書活動を推進

 基本方針3「府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めるとともに、国際児童文学館の機能充実、資料の利用促進に努めます。」に対しては2つの基本事業を設定しており、そのうちの1つが学校等に対する支援の拡充・府域の子ども読書活動推進である。実現状況を測る評価項目としては府立学校等向けの講座回数(目標値10回)を設定した。対象を司書教諭だけでなく、学校司書等も含めた研修、高校生のための図書館講座「LibCo(りぶこ)」の開催により、実施回数は年平均16回と目標を大きく上回り、また好評を得た。府立学校は支援学校を含めて現在約200校である。拡充の余地はまだまだ大きい。今後も引き続き広域図書館の視点から学校支援策拡充に尽力いただきたい。

3.2 国際児童文学館資料の利用促進

 基本方針3に対応するもう1つの基本事業は国際児童文学館資料の利用促進であり、実現状況を測る評価項目としては展示・イベント合計回数(目標値:12回)、SNS・HP等による所蔵資料や使い方の発信数(目標値:50回)を設定している。展示・イベント回数は年平均15回、SNS・HP等による発信数は72回と、いずれも目標値を大きく上回った。またイベント参加満足度も90%台半ばをキープ、展示内容とともに高い評価を得ている。

4.地域資料の収集・保存と利活用

 基本事業4は、基本方針4「府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。」に対応するものである。実現状況を測る評価項目としては、2025年日本国際博覧会(万博)関連資料の収受タイトル数(目標値:3年間で200点)を設定している。収集対象は紙資料およびデジタル資料である。開催前の2か年においても、博覧会協会や大阪商工会議所、関西経済同友会等への働きかけにより200点近くを収集した。開催年に当たる令和7年度には個別パビリオンへの訪問による寄贈依頼を含め、多様なルートからの資料収集に積極的に取り組んだ結果、目標値の6倍に当たる1,200点以上を達成した。その努力を多としたい。今回の収集資料は万博のレガシーとして後世に受け継がれ、活用されることを期待する。収集資料の書誌データの作成やアクセス手段の確保にも取り組んでいただきたい。収集資料の中には、特定の目的のために一時的な利用を前提として作成された「エフェメラ資料」も多い。そうした資料の収集・整理・提供のノウハウについて、苦労された点も含めて言語化し、発信いただければ、図書館界にとっても貴重な財産となるに違いない。

5.府民の生涯学習、地域の情報拠点として地域の発展にも貢献し得るよう様々な事業を展開

 基本事業5は基本方針5「府立図書館は、府民に開かれた図書館として、地域の魅力に出会う「場」と機会を提供します。」に対応するものである。実現状況を測る評価項目としては関係機関との連携事業数(目標値:35回)、各種媒体に応じた情報発信(目標値:デジタル媒体3,000、紙媒体130)を設定している。3か年の平均値は、連携事業数84回、情報発信のデジタル媒体3,166、紙媒体172と、目標を大きく上回った。

 このうち関係機関との連携事業については、中之島図書館では、継続のビジネスセミナー等のほか、日本政策金融公庫と連携した起業セミナーや、府内の行政書士法人と連携した起業相談会など、起業にフォーカスした事業を展開した。満足度が低下傾向にあるのは、複数事業をレベル分けして実施するにあたり、レベルを明示して広報をしているものの、参加者の想定と合わない場合もあるためではないか、と分析されている。難易度の設定が難しいところではあるが、実施方法に工夫を重ねていただきたい。
 中央図書館では、連続講演会のほか、百舌鳥・古市古墳群関係3市による世界文化遺産登録5周年記念講演会等を開催し、X(旧Twitter)やメールマガジン、ホームページでも広報したほか、連携先のSNS等での広報協力依頼などにも尽力した。 他の項目にも共通して言えることであるが、第五期はイベント回数や連携事業数の目標値がおおむね低く抑えられている。これは冒頭述べた、第四期の新型コロナウイルス感染症の拡大が影響している。しかしながら、今回実績値が目標値を大きく上回ったことは、単に感染症の影響を脱し、単にコロナ前に戻るにとどまらず、新たな挑戦を重ねられた結果であることは、既に種々触れた通りである。

さいごに

 今期は新書庫建設やシステムリプレイス、中之島図書館120周年など数多くの大きな事業と並行して、この重点事業、基本事業に取り組まれたことに、まず敬意を表したい。
 平成22年度から始まった活動評価も令和7年度で16年を経過した。毎年この評価に携わりながら強く感じることは、大阪府立図書館の方々のチャレンジ精神と行動力である。若手職員のアイディアも積極的に取り入れられていると聞く。第四期の外部評価のまとめで強調したのは、人材育成の継続であった。その重要性はいまも変わらない。チャレンジ精神を旺盛に持つ次世代の人材が育ってきている点に、希望を見ることができる。
 一方で、中之島図書館で令和8年度からの指定管理者の入札が不調に終わったことに触れないわけにはいくまい。現在、府立図書館のみならず多くの公立図書館は、範囲や程度の差はあれ、民間と全く協働せずにサービスを継続していくことは難しい。今期のイベントや講座を中心とした事業の成果においても、そうした民間との協働の部分は少なくない。その意味では、先ほど述べた人材育成の継続も、府立図書館は率先して、府立図書館や公立図書館の正規職員にとどまらず、図書館を支えるすべての人たちが成長し続けられる場としてこれからもあり続けてほしい。
 第六期の活動評価は、第五期を踏襲しながらも、重点事業として新たに「資料の保存と管理」が加わった。マイクロフィルムも含めた多様な資料をどう長期保存していくか、という難しい課題に挑戦することになる。第六期の新たな挑戦も、期待をもって注視したい。

大阪府立図書館協議会 活動評価部会 (50 音順・○は部会長)
 川窪 和子(大阪成蹊大学・大阪成蹊短期大学非常勤教員)
 佐藤 翔 (同志社大学教授)
○村上 泰子(関西大学副学長・教授)

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