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「はらっぱ」 No.35 国際児童文学館 イベント紹介

更新日:2022年3月31日


「はらっぱ」 No.35 国際児童文学館 イベント紹介

掲載日:2022年3月31日更新

大阪府立中央図書館 国際児童文学館

令和3年、国際児童文学館は新型コロナウイルス感染拡大(以下「感染拡大」)防止のため、4月25日(日曜日)から6月20日(日曜日)まで臨時休館となった。開館後、感染拡大防止に努めながら、子どもの本に関するイベントや貴重な所蔵資料を紹介する展示等を開催した。ここでは、令和3年1月から12月の活動を紹介する。
これらの概要や資料リストは国際児童文学館ホームページに掲載している。併せてご覧いただきたい。

国際児童文学館イベント情報のQRコード
【国際児童文学館イベント情報】

資料小展示 日本の子どもの本 珠玉の30選

令和3年4月1日(木曜日)から6月27日(日曜日)まで室内小展示コーナーにおいて開催した。昨年に続き感染拡大による臨時休館の影響で会期が短くなったため、当館発行メールマガジンにて、ホームページ上でも一部閲覧いただけることをご案内した。
本展示は、平成28(2016)年度より国際児童文学館の定例小展示として企画しているものである。国際児童文学館では、84万点に及ぶ貴重な資料を所蔵している。その中より、巖谷小波/著『こがね丸』、呉文総/訳『八ツ山羊』、宮沢賢治/著『注文の多い料理店』、江戸川乱歩/著『怪人二十面相』、なかがわりえこ/さく『ぐりとぐら』、織田小星/作・東風人/画『お伽 正チャンの冒険』など、30点を紹介した。今年は、巖谷小波/著・杉浦非水ほか/画『日本一ノ画噺』全35冊の表紙を並べて展示した。「シルエット調のデザインの表紙が並んだ様子は壮観だった」などの感想もいただいた。この他にも、会期中のアンケートでは、「児童書の歴史が体感でき、とてもよかった」などの声をいただいた。アンケートの回答者には、オリジナル絵葉書かしおりのお好きな方をプレゼントした。

資料小展示 日本の子どもの本 珠玉の30選の様子
資料小展示 日本の子どもの本 珠玉の30選の様子

「講演と新刊紹介 2020年に出版された子どもの本」

大阪府立中央図書館で毎年開催している「講演と新刊紹介 ○○○○年に出版された子どもの本」は、前年1年間に発行された児童書について解説と紹介を行う講座である。一般財団法人大阪国際児童文学振興財団総括専門員の土居安子さんによる講演と、当館の専門協力員である科学読物研究会の西村寿雄さん、当館国際児童文学館及びこども資料室の職員による絵本・読物・知識(自然科学、社会科学)の本の紹介で構成している。
今年は会場での講演会とインターネット配信を予定していたが、令和3年5月14日(金曜日)・15日(土曜日)に予定していた会場講演会は感染拡大による臨時休館のため、残念ながら中止となった。
インターネット配信は6月4日(金曜日)から7月6日(火曜日)の間、動画配信(YouTubeでの限定公開)の形で開催し、日本全国から1,143名の申込があった。講座の申込者は紹介する資料の一覧をPDFでダウンロードできるようにしたほか、希望者には先着100名で郵送での資料配布も行った。また、臨時休館明けの6月22日(火曜日)から国際児童文学館とこども資料室で紹介資料の展示を行った(国際児童文学館は8月27日(金曜日)まで、こども資料室は7月18日(日曜日)まで)。
動画配信については、遠方でも参加できる、自分のペースで視聴できる、多くの人が視聴できて良いと好評をいただいた一方で、本の実物を手に取れる会場での開催も貴重という声もあった。

国際児童文学館講演と新刊紹介 配信動画の一場面
配信動画の一場面

国際児童文学館閲覧室内での資料展示の様子
国際児童文学館閲覧室内での資料展示の様子

資料小展示「スポーツマンガ大集合~夢のもつ力~」

令和3年7月6日(火曜日)から9月5日(日曜日)まで、室内小展示コーナーにおいて開催した。「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催時期に合わせて、スポーツをテーマとしたマンガを展示した。
国際児童文学館では、中学生以下を対象としたマンガ雑誌やマンガを収集している。その中から、4つのカテゴリーに分けて選んだ。1つめは、日本で最初の野球漫画とされる『バット君』(井上一雄/著 湘南出版社)から、子どもたちの間で一大ブームを巻き起こした『巨人の星』(梶原一騎/原作 川崎のぼる/著 講談社)などスポ根マンガまで。2つめは、『SLAM DUNK』(井上雄彦/著 集英社)はじめ今も読み継がれている作品を、登場人物の名言とともに展示した。3つめは、オリンピック・パラリンック競技になったスポーツを取り扱った作品のほか、さまざまな視点から描かれた野球やサッカーなど多数の作品を紹介した。4つめは「スポーツマンガの広がり」として、『バッテリー』(あさのあつこ/原作 柚庭千景/作画 角川書店)など児童書として出版された後マンガ化された作品や、『新アタックNo.1』(小沢花音/著 浦野千賀子/原作 集英社)などリメイクされた作品を展示した。
展示会期中、展示作品の中から選んだマンガを国際児童文学館閲覧室内で手に取って読めるように並べた。

資料小展示「スポーツマンガ大集合~夢のもつ力~」の様子

会期中に行ったアンケートでは「懐かしかった」「スポーツをもう一度始めたいと思った」などの声があった。アンケートの回答者には『バット君』の数場面をブックカバーにしたものをプレゼントした。

資料小展示「スポーツマンガ大集合~夢のもつ力~」の様子

出張資料展示「インドの絵本展」

令和3年8月20日(金曜日)から9月15日(水曜日)の期間、大阪市立中央図書館1階エントランスホールギャラリーにおいて開催した。
当展示は大阪市立中央図書館主催(協力:当館)で、国際児童文学館の資料を広く知ってもらうという趣旨で企画され、展示キャプション等がセットになっている「アジアの絵本貸出セット」の中から「インドの絵本セット」を当館から提供した。

インドの絵本展のチラシ

内容は、日本の昔話のルーツにもなったインドの昔話・民話の絵本から、現代インドの子ども達の暮らしぶりが分かる新しい絵本まで、日本語訳のあるものは合わせて展示し、多民族国家インドの雰囲気が味わえるものとなった。展示資料は65点。当館職員が搬送・展示設営を行った。
展示期間中には、展示をご覧になった方から問合せの電話が入るなど、反響があった。

アジア絵本貸出のQRコード
アジア絵本貸出セットのご案内

インドの絵本展の様子
大阪市立中央図書館における展示の様子

「むかしの紙芝居を楽しもう!」実演および関連資料展示

●街頭紙芝居実演

令和3年11月6日(土曜日)、一般財団法人大阪国際児童文学振興財団と共催で多目的室にて開催し、のべ52人の参加者があった。
一般社団法人塩崎おとぎ紙芝居博物館(大阪市西成区、当館専門協力員)の紙芝居師である鶴谷光子さん・岡田克也さんに、街頭紙芝居を実演していただいた。感染状況は落ち着いていたものの、感染拡大防止のため参加人数を限定し、参加者の席の間隔を取り、ビニールシートごしでの実演となった。
演目は、クイズから始まり場を和ませた後、親しみのもてる主人公が登場する『チョンちゃん』、河童に育てられた人間の男の子の成長と戦いを描く『河童小僧』、街頭紙芝居版シンデレラ『灰かブリ姫』と続いた。鳴り物を入れ絶妙な間を取りながら進み、お二人の臨場感あふれる語りに会場中が引き込まれ熱気に満ちた時間となった。
いずれも続きが気になるところで終わったため、閲覧室で用意しておいた作品の複製版を、イベント後に数名の方が閲覧されていた。
塩崎おとぎ紙芝居博物館のご厚意で、街頭紙芝居ができる過程の分かる原稿や下絵を会場に展示したところ、参加者の関心を集めていた。

街頭紙芝居実演の様子
街頭紙芝居実演の様子

●資料展示

実演イベントにあわせて、令和3年9月10日(金曜日)から11月7日(日曜日)、室内小展示コーナーにて街頭紙芝居の展示を行った。
当館では、故・塩崎源一郎氏の設立した三邑会(さんゆうかい)が制作し寄贈された貴重な街頭紙芝居コレクションを所蔵している。この中から、代表的な画家6人の作品を取り上げ、画家の解説とともに展示した。手塚治虫との共作『新宝島』で知られる酒井七馬(さかい・しちま)=左久良五郎(さくら・ごろう)の『宇宙少年』や、小寺鳩甫(こでら・きゅうほ)=熱田十茶(あった・とさ)の三邑会制作紙芝居の中で傑作と評される『孫悟空』、塩崎氏から日本一の紙芝居画家と称された佐渡正士良(さわたり・しょうじろう)『どんぐり横丁に集まれ』、うどのたつを『水星の使者』、くつなつとむ『犬神村』、相馬一平(そうま・いっぺい)『風神雷神』などである。
また、塩崎おとぎ紙芝居博物館のご協力により同館所蔵の日本画をお借りし紙芝居画家の多彩な活動を紹介することができた。  なお、当館所蔵の街頭紙芝居約四千巻の絵のデジタル画像をホームページに公開している。

国際児童文学館所蔵街頭紙芝居のQRコード
【国際児童文学館所蔵街頭紙芝居】

「むかしの紙芝居を楽しもう!」実演および関連資料展示の様子

企画展示「シンデレラ本いま・むかし-三宅興子さんのコレクションを中心に-」

令和3年11月12日(金曜日)から12月28日(火曜日)まで、中央図書館1階展示コーナーおよび国際児童文学館で開催した。
国際児童文学館では、海外で出版された児童向け図書や児童文学研究書等も一部所蔵している。この度、三宅興子さん(大阪国際児童文学振興財団特別顧問、梅花女子大学名誉教授)よりご寄贈いただいた資料の中から英米を中心に様々なシンデレラ本を展示し、その歴史をたどりながら絵本文化を紹介した。
展示作品選択と解説執筆は、一般財団法人大阪国際児童文学振興財団にご協力いただいた。
展示会場では、紙のクラフトを組み立てた、パントマイム劇の劇場模型を入口に設置し、8つのテーマで展示を行った。

企画展示「シンデレラ本いま・むかし-三宅興子さんのコレクションを中心に-」の様子
Mr. Jackson’s ‘Pantomime’ Theatre : Ready to Assemble. Peter Jackson/theatre designed by Harleston, Norfolk :Tober Ltd. [199-?]

前半は、「19世紀初頭に出版された手彩色絵本のシリーズ」「20世紀初頭の「シンデレラ」」と題してエドマンド・デュラックが挿絵を描いたシンデレラの絵本などを展示した。また、「さまざまな画家によるシンデレラ」ではエロール・ル・カインやマーシャ・ブラウンなどが描いたシンデレラ絵本を、「しかけ絵本」では19世紀から現在までに出版された絵本を展示した。
展示後半は、パロディ本や明治時代に出版された雑誌『幼年雑誌』掲載の「清き貴女」(パネル掲示)、蕗谷虹児(ふきや・こうじ)や朝倉摂(あさくら・せつ)が描くシンデレラ、ロシア、スイス、フランス、韓国などで出版された絵本、チャップブック(ポケットサイズの本)や19世紀のメモ帳、豆本、チョコレートの箱などを紹介した。
また、展示会場に「どのシンデレラがすき?」のコーナーを設け、出版国と時代が異なる5人のシンデレラを掲示し、利用者に投票してもらった。アンケートにご協力いただいた方には、国際児童文学館移転開館10周年記念クリアファイルをプレゼントした。

●関連講演会

12月18日(土曜日)に多目的室で講演会「シンデレラ話の多様な世界を楽しもう」(講師:横川寿美子さん、主催:大阪国際児童文学振興財団)が行われた。シンデレラにまつわる様々なエピソードに会場では驚きの声や笑い声が上がった。後半では地域や時代によって語り直されている古くて新しいシンデレラの話を紹介された。

「シンデレラ本いま・むかし-三宅興子さんのコレクションを中心に-」展示風景
「シンデレラ本いま・むかし-三宅興子さんのコレクションを中心に-」展示風景

ワークショップ「欧米の住まいの絵本にみる家族の移り変わり」 NPO法人子どもと住文化研究センタ-住まいの絵本館

令和3年12月4日(土曜日)、「大人も絵本から学ぼう」という趣旨で、核家族、高齢化、子育ての様子など欧米の絵本に描かれている家族のあり様を読み取り、語り合うワークショップを開催した。定員20名のところ、当日参加を含め、21名が参加され大盛況となった。入口での検温、消毒をはじめ感染拡大防止対策をした上で開催した。

●ミニ講義

講師の北浦かほるさん(当館専門協力員)から、欧米の絵本は家の構造や成り立ちの影響で、文化的・社会的背景、住まいや集まって住む楽しさ、都市の魅力的な住まい方などが多く描かれているという講義があった。
そのため、欧米の絵本からは住まい方や家族、家事、子育てなど各時代における日常生活の情報を知る事が出来るのに対し、同じ時期の日本の絵本ではそれらが殆ど見られないのが特徴である。

●ワークショップ

講義の後、参加者は各自、中央の机に並べた絵本の中で興味を持った本を自由に読み、気づいたことをポストイットにメモした。絵本は<家族>のテーマで1950年から10年毎に年代順(初版出版年)に分けられており、メモをそこに添付した。まとめの時間には、同じ絵本を読んだ人がリレ-形式でメモをもとに感想を発表した。発表は温かい雰囲気で進み、同じ絵本について参加者の違った視点からの多様な意見が出て盛り上がった。

ワークショップ「欧米の住まいの絵本にみる家族の移り変わり」の様子


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