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「はらっぱ」 No.35 第4次大阪府子ども読書活動推進計画について

更新日:2022年3月31日


「はらっぱ」 No.35 第4次大阪府子ども読書活動推進計画について

掲載日:2022年3月31日更新

大阪府教育庁市町村教育室地域教育振興課

1.子どもの読書活動を推進する意議

子どもは読書をすることで、言葉を学んだり、新しい知識を得たり、他の人の考えに触れたり、ワクワクしたり、感性を豊かにすることができます。
自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に行動する力、また、他人を思いやる心や感動する心など、たくましく心豊かに生きるための力を身に付けるために、読書は欠くことのできないものです。
そのため、大阪府では、読書をすることの楽しさや大切さを伝え、子どもが自ら読書活動を行うことができるよう、平成15年から「大阪府子ども読書活動推進計画」を策定し、大阪府全体で子どもの読書環境の整備に取組んでいます。

大阪府子ども読書活動推進計画 計画期間
第1次計画 平成15年度から平成22年度
第2次計画 平成23年度から平成27年度
第3次計画 平成28年度から令和2年度
第4次計画 令和3年度から令和7年度

2.大阪府の子ども読書活動の現状と課題

(1)社会情勢の変化
近年のICTの発達による情報通信・収集手段の普及は、子どもの読書活動に大きな影響を与えていると言えます。子どもの1日あたりのインターネット平均利用時間は、5年間で大きく増加しており、子どもの行動が変化していることがわかります。

  小学生 中学生 高校生
平成27年度 84.8分 127.3分 192.4分
令和元年度 129.1分 176.1分 247.8分

(「青少年のインターネット利用環境実態調査」(内閣府))

また、グローバル化や、平成30年に改正された「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」(出入国管理法)や、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の開催により、世界中の様々な人と繋がる機会が増加すると想定されます。

(2)令和元年度大阪府子ども読書活動調査(大阪府教育庁)
現行の計画である「第4次大阪府子ども読書活動推進計画」(令和3年3月策定)を策定するにあたり、令和元年度に「大阪府子ども読書活動調査」を実施しました。
小学5年生、中学2年生、高校2年生を対象に実施した調査結果によりますと、学校の授業時間以外で「全く本を読まない」子どもの割合は、中学生になると増加し、高校生では約半数の子どもが全く本を読まないことがわかりました。
その理由として、1「時間がない」2「読みたいと思う本がない」3「読むのが面倒」という回答結果が、どの学年とも多くなっていました。
1「時間がない」要因として、「塾や勉強」と回答する子どもの割合がどの学年でも高く、中学生になると「部活動」、高校生になると「部活動」に加えて「アルバイト」で読書をする時間を取れないということが調査結果を元に分析することができました。 一方で、「テレビ」「友だちとの遊びや付き合い」「インターネット・メール・SNS・電話」といった行動により、読書をする時間を割いていないということがわかっています。
2「読みたいと思う本がない」という要因については、読書に興味関心が向いていないといった意識的なものや、身近に本がないという環境的なものが考えられます。
3「本を読むことが面倒」と回答した要因として考えられることは、言葉のとおり「面倒である」という意識的なものや、文字を読むことが苦手であるため面倒と感じるのではないかと想定されます

大阪府子ども読書活動調査結果のグラフ

3.第4次大阪府子ども読書活動推進計画について

(1)基本的方針と成果指標
近年のICTの発達による情報通信・収集手段の普及は、子どもの読書活動に大きな影響を与えていると言えます。子どもの1日あたりのインターネット平均利用時間は、5年間で大きく増加しており、子どもの行動が変化していることがわかります。

  小学6年生 中学3年生
全国 18.7% 34.8%
大阪府 24.4% 44.8%

(令和元年度「全国学力・学習状況調査」結果(文部科学省))

(2)計画における読書の位置づけ
「読書」とは、「物語などの紙の本を一冊読むこと」のみが「読書」ということではありません。
第4次大阪府子ども読書活動推進計画では、読書の概念を広く捉え、子どもが発達段階や生活の場の状況に応じて、自分自身にあった読書活動ができるよう「読書」を以下のように位置づけました。

・本を読んだり、読んでもらったり、絵画集を見たり、図表を読み取り活用することも読書である。
・紙媒体だけでなく、電子媒体で本を読むことも読書である。
・本を一冊全て読むことだけでなく、自分の興味や関心のある箇所を読んで知識を得たり心に留めることも読書である。

本を読むことが面倒、文字を読むことが苦手と感じている子どもに、まずは読書のきっかけを作り、読書をすることにより、子どもが楽しいと感じたり、役立つと感じたりすることで、興味・関心が高まり、それにより、自ら読み、楽しむ行動につながれば、読書習慣が形成されていくのではないかと考えています。
なお、成果指標で設定している全国学力・学習状況調査では、教科書・参考書・雑誌・漫画は含まないとされており、第4次大阪府子ども読書活動推進計画で位置づける「読書」との相違がある点については、まずは読書の概念を広く捉え、大阪府の子どもが自分自身のスタイルで本を読むことで、不読率の改善に繋がるのではないかという考えに基づくものとなっています。

(3)第4次大阪府子ども読書活動推進計画の重点的な施策について
第4次大阪府子ども読書活動推進計画において、7つの重点的な施策を掲げて取組むこととしています。

1)読書活動普及・啓発
大阪府では、学校、図書館、その他関係機関及び民間団体と協働して、社会全体に対して、子どもの読書活動についての関心と理解を深めるとともに、子どもの読書活動を推進する気運を醸成し、子どもに読書の楽しさと大切さと豊かさを伝えることを目的とし、OSAKA PAGE ONE(大阪府子ども読書活動推進普及啓発)を実施します。
また、商業施設等における読書イベント等の開催や、様々な広報媒体を活用し、普及・啓発を行います。

OSAKA-PAGE-ONEのロゴマーク

2)乳幼児の時期の保護者や教育保育施設への読書活動支援
乳幼児の時期の子どもの読書活動については、家庭が大きな役割を担っています。
令和元年度大阪府子ども読書活動調査結果によると、読み聞かせをしてもらった経験が多い子どもの方が、読書をする傾向にあるということが分かりました。
第4次大阪府子ども読書活動推進計画では、読書活動の取組を行うことができていない教育保育施設や、保護者に焦点を置いて幅広い支援を実施します。

3)中高生が読書への興味・関心を高めるためのインターネットを活用した取組
特に中高生のインターネット利用時間が増加していることを踏まえ、興味・関心がインターネットでの動画視聴やゲーム、SNS等に向いている中高生に対し、読書への興味・関心が高まるよう、読書イベントの動画配信やSNSを活用したおすすめ本の紹介など、インターネットを活用した取組を実施します。

4)支援が必要な子どもへの読書環境づくり
令和元年に「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」が施行され、全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を受けることができる社会の実現が求められています。
これに基づき、府では、基本的な施策の方向性を示し、取組を推進するための指針として令和3年3月に「大阪府視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画(読書バリアフリー計画)」を策定しました。
(大阪府HP https://www.pref.osaka.lg.jp/chikikyoiku/barrier_free/index.html
支援が必要な子どもを含め、すべての子どもに本を自由に読むことのできる環境を等しく提供するため取組を実施します。

5)子どもに本を届けるネットワークの整備
子どもが読書をしない理由として「読みたいと思う本がない」という回答割合が多くあった結果を踏まえ、貸出等による直接的に本を届ける取組、研修やフォーラムを通した人を介して本を届ける取組を実施し、様々な場所や状況にいる全ての子どもに本を届けるネットワークの整備に努めます。

6)子どもの読書活動を進めるための組織の設置
府教育庁にて子ども読書活動推進会議を設置し、子どもの読書活動の取組の進捗管理、子どもの読書活動を取巻く環境の変化や課題の共有とともに、毎年度子ども読書活動推進事業計画の内容を検討します。
毎年度の子ども読書活動推進事業計画は大阪府社会教育委員会議へ報告し、意見を聴取しながら、めざすべき姿にむかって進んでいくこととしています。

7)電子書籍の活用検討
令和元年より世界的大流行となっている新型コロナウイルス感染症の影響により、非来館による図書館資料の利用や電子書籍への関心が高まっており、府内においても電子書籍貸出サービスを導入する図書館は増えつつあります。
従来の紙媒体でも電子媒体でも「よみもの」としては同じですが、紙媒体・電子媒体それぞれの特性があり、どちらか一方だけというのではなく、それら特性を切り分けて、両方をうまく活用することで、子どもの読書環境がより充実するよう導入施設における電子書籍活用調査等を行うとともに、無料コンテンツ紹介等の取組を進めます。

4.おわりに

第4次大阪府子ども読書活動推進計画に基づき、府内の学校や図書館、読書ボランティア、民間事業者等の皆様とともに子どもを主軸に置いた取組を実施することにより、子どもが読書の楽しさや大切さを実感し、読書活動を行うことをめざしています。
令和2年から、新型コロナウイルス感染症対策による図書館の休館、学校の休校等があり、また、GIGAスクール構想による学校のICT化の加速など、計画策定時よりもさらに、子どもの読書活動を取り巻く環境は、日々大きく変化しています。
そのような状況においても、「子どもの読書活動を推進する意議」に記したように、読書をすることにより、様々な力が育まれます。子どもが読書活動を通じて、いかに社会が変化しようと自ら豊かな未来を切り開くための生きる力を育んでほしいと願っております。引き続き皆様の一層のご理解とご協力のほどお願いいたします。


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