大阪府立図書館

English 中文 한국어 やさしいにほんご
メニューボタン
背景色:
文字サイズ:

 大阪府立中央図書館 国際児童文学館「大金塊」

大阪府立図書館 > 来館案内・施設案内 > 国際児童文学館(中央図書館内) > 国際児童文学館について > 大阪府立中央図書館 国際児童文学館 新収古書一覧 > 大阪府立中央図書館 国際児童文学館 平成25年度新収古書一覧 >  大阪府立中央図書館 国際児童文学館「大金塊」

更新日:2015年11月28日

『大金塊』
(有楽社 昭和24年2月10日) 江戸川 乱歩:著 小松崎 茂:装幀及口絵  161頁 縦19cm×横13cm 90円

大金塊表 大金塊裏

名探偵・明智小五郎とその助手・小林芳雄が活躍する少年探偵団のシリーズ第4作。本作は、もとは昭和14年1月から『少年倶楽部』(大日本雄弁会講談社)に連載され、その後同社から単行本化(昭和15年2月)されたものだが、本書は出版社を変えて出された戦後版になる。

シリーズ第1作「怪人二十面相」(『少年倶楽部』昭和11年1月~)、第2作「少年探偵団」(『同』昭和12年1月~)、第3作「妖怪博士」(『同』昭和13年1月~)までは、変装名人の大怪盗・怪人二十面相が登場、明智探偵と小林少年率いる少年探偵団との対決を描いていた。それに対し、第4作である本作には、時局の影響から怪盗が登場・活躍するのはよくないとの理由で二十面相は登場しない。本作から戦後の「青銅の魔人」(『少年』昭和24年1月~)で復帰するまで、怪人二十面相も乱歩とともに苦難の時代を歩んだ。

作品『大金塊』は、父(鉱造)とたった二人、叔父が建てた寂しい西洋館で暮らす小学校6年生の宮瀬不二雄が、ある夜何者かにピストルで脅されるところから始まる。この屋敷に、鉱造の祖父が隠した大金塊の在り処を示す暗号文があることを賊が突き止め、それが盗まれたのだった。暗号を取り返し、隠し場所を見つけるべく、明智探偵と小林少年が活躍する。

戦前版の結末では、宮瀬鉱造氏は大金塊をすべて大蔵省に納め、その代わりに政府から下げ渡されたお金を「陸海軍に献金」したとあるが、戦後版では軍への献金の部分は削除されている。当時はGHQの統制下にあり、削除指示もしくは自主規制によるものであった可能性がある。

小林秀恒、梁川剛一ら、人気画家が『少年倶楽部』の誌面を彩ってきた少年探偵団。本作の初出時は林唯一が担当したが、有楽社版は当時の人気画家・小松崎茂が装幀・挿絵を手がけているところが注目される。

PAGE TOP