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レファレンスサービスのご案内 饅頭の神様について知りたい

更新日:2024年1月12日


大阪府立中央図書館レファレンスサービスのご案内
2023年10月 »饅頭の神様について知りたい[PDFファイル]

八百万の神々が出雲に集まる神無月。
今回は少し意外な神様についての質問をご紹介します。

質問:饅頭の神様について知りたい

饅頭の神様はどのような神様なのでしょう…まずは神様の「名前」を確認してみましょう。
(※【 】は府立図書館の請求記号)

■『パン (ものと人間の文化史 80)』(安達巌/著 法政大学出版局 1996.5)【383.8/173N/】

「ものと人間の文化史」のシリーズは、「寒天」(シリーズ190)、「百人一首」(シリーズ189)等々、それぞれ取りあげられている個々の「もの」に関する文化や歴史などがまとめられています。このシリーズには、蒸すという点では饅頭と共通点のある『パン (ものと人間の文化史 80)』があります。目次を確認してみますと、「第12章 唐菓子から点心・茶の子文化へ 饅頭にみる二系統」という項があります。p.172「薬饅頭の起源」に、林浄因は「饅頭づくりの名手でもあった。そこで彼はいまの奈良市漢国町林小路に住居して、生業のため饅頭を売り出した。その跡にいまこの林浄因を祭神とする林神社が建っていて、この神は日本の菓祖神として崇められている」とあります。

次に、「林浄因」という神様を調べてみます。

■『日本神祇由来事典』(川口謙二/編著 柏書房 1993.10)【172/5N/(2)】

この事典は、日本の神社や神々にまつわる事項、記紀(古事記・日本書紀)に登場する神々の系譜や神話、そして民俗の神々や神社を調べる事典です。総索引もついていますので、神様の名前しかわからなくても調べることができます。さて、饅頭の神様の名前が「林浄因(りんじょういん)」であることがわかりましたので、総索引で「林浄因」を調べますと、「第三編 民俗の神様・神社」の中に項目があるとわかります。「林浄因」(p.496-497)に「饅頭の守護神」とあり、奈良市にある漢国神社の境内末社「林神社」の祭神であることがわかります。この資料によれば、「林浄因」は中国浙江省西湖の人で、日本へ渡り、奈良に居住、饅頭を作って商ったことがわかります。また、「林浄因」が祭神の林神社は、「全国の菓子製造業者に信仰されている」のだそうです。

饅頭をつくった人である林浄因が饅頭の神様としてまつられるようになった経緯も調べてみましょう。奈良県の神社の祭神ですので、奈良県の歴史を調べます。各自治体の歴史を調べるには、まず都道府県史や市町村史を確認します。

■『奈良県史 13 民俗 下』(奈良県史編集委員会/編集 名著出版 1988.11)【327/2677/#】

p.98「第1章 祭事と芸能 第二節 春の行事 二、四月 饅頭まつり」に「日本における饅頭の開祖である浄因が、饅頭の神様としてまつられ、林神社が創建されたのは昭和二十四年のことである。漢国神社の境内に饅頭塚とよばれる塚がある。それは浄因が生前に、饅頭製造者や林家の発展を祈念して紅白の饅頃(ママ)を埋めて封土を盛った塚であるといい、その因縁をもって漢国神社の和田宮司のよびかけで、全国の生菓子製造業者の協力によってはじまり、昭和三十一年には社殿も造営された」とあります。


饅頭の神様のレファレンス、いかがでしたでしょうか。
ぜひ、お気軽にレファレンスサービスをご利用ください!

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