大阪府立中之島図書館 平成18年度 第4回ビジネスセミナー

-フィルムコミッションと地域・観光振興-
を開催しました。
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平成19年3月17日(土)に上記セミナーを開催しました。申込多数につき定員を当初の50名から90名に増やしました。当日は79名(申込者99名)の方にご参加いただきました。
田中まこ氏の講演は大変エネルギッシュでFCの魅力を存分に語っていただきました。以下に内容を一部ご紹介します。
フィルム・コミッションの最低基本用件は、(1)中立的な公的機関であること(2)非営利であること(3)ワン・ストップ・サービスを提供すること(4)作品は拒まないことであり、提供するサービスとして(1)撮影ポイントの紹介などのロケーションに関する各種相談(2)道路・公園などの公共施設や民間施設などの撮影許可手続きの簡便化(3)ロケーション・ハンティングのセッティング(4)映像製作に関する各種関連業者や滞在に必要な宿泊施設などの紹介斡旋、(5)市民エキストラの紹介などである。神戸フィルムオフィスでは現在までで1100件以上の支援を行っている。現在、
全国フィルム・コミッション連絡協議会に加盟しているFCは95団体あり、加盟していないものも含めると100を超えるFCが日本全国にある。

文化庁も各地のFCの情報を元にロケ候補地を平成18年5月よりインターネット上に公開した。この
全国ロケーションデータベース(JLDB)は「商店街」「名所」「オフィス」などのカテゴリーや「明治」「昭和戦前」といった時代別のキーワードなどからもロケ地を探すことができるようになっている。
ロケ撮影の誘致・支援による直接的経済効果としては、映画「ラスト・サムライ」では90%をニュージーランドで撮影しているが、姫路で撮影した1週間だけでもロケ隊の滞在により約1億5百万円の経済効果があった。俳優やスタッフの宿泊はおもに神戸であったがその費用は含んでいない。ハリウッド映画は平均制作費は約80億円位。半分は監督と役者のギャラであとの半分が制作費になるが、スタッフの数、使う機材、フィルムの量が日本映画とは格段に違う。日本映画は予算規模が平均3〜4億円でテレビは数百万円程度。

映像による間接的経済効果としてよく例に出すのが映画「ローマの休日」。もし今ガイドブックを持たずにローマに行くとすると、まず行くのがトレビの泉、スペイン広場、真実の口だろう。実際に映画を見ていない世代にも影響を与え続けている。香港の夜景は「慕情」という映画で有名になった。神戸や函館の夜景の方が綺麗だと思うが海外にまで知られていない。その他、国内でいえば呉・尾道で撮影された「男たちの大和」は映画のセットを補強してそのまま残し観光地にしており、今も観光客が来ている。香川県庵治町で撮影された「世界の中心で、愛をさけぶ」は撮影現場の堤防にカップルが多数訪れるようになり、町が記念館を建てた。テレビドラマの例では「北の国から」(富良野)「風見鶏」(神戸)「ちゅらさん」(沖縄・小浜島)などが地域の地名度を高め、観光客が集まるようになった。
韓国ドラマ「ユリファ〜ガラスの華」は韓国映画で初の日本本格ロケを神戸で敢行した。ドラマの企画段階から地元が関与することにより、シナリオハンティングの段階でスタッフに神戸の魅力・支援をアピールできた。神戸国際観光コンベンション協会がロケに立会いホテルと協力して「韓国誘致キャラバン」を編成し、ドラマの舞台をめぐる宿泊プランの企画、韓国でのドラマ放映の時期に合わせてソウルで商談会・観光説明会を開催した。韓国メディア(新聞、女性誌、旅行関連)でもドラマ紹介記事とともに神戸特集記事を組んでもらい、韓国のガイドブックでは紹介されることのなかった神戸に韓国からの観光客が多数訪れるようになった。
「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」を神戸で撮影された際には、「神戸ロケ地マップ」のパンフレットを作成し、配給会社の松竹と協力して映画館においてもらった。他にも神戸地下鉄とタイアップして「ウルトラマン号」を走らせたり、「ポートライナー1DAY
PASS」や記念切符を作成、空港や水族館でもキャンペーンを展開した。
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>> 「フィルムコミッショナーの仕事」配布資料
【平成18年度第4回ビジネスセミナー「フィルムコミッショナーの仕事 -フィルムコミッションと地域・観光振興-」】 |
■ 日時: |
平成19年3月17日(土)13:30〜16:45 |
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■ 場所: |
大阪府立中之島図書館 3階 文芸ホール
大阪市北区中之島1-2-10 |
■ 定員: |
50名 |
■ 受講料: |
無料 |
■ 講師: |
神戸フィルムオフィス 代表 田中まこ氏
大阪ロケーションサービス協議会 大野聡氏
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「フィルムコミッション(FC)」は、映画・テレビ等のロケーション誘致や撮影を支援する自治体設置の非営利公的機関です。全国には94(2007.1現在)のフィルムコミッションがあります。FCは撮影隊の滞在による「直接的経済効果」に加えて、映像作品による地域の知名度の向上、観光集客効果、映像関連企業集積などの地域振興に大きく貢献しています。
「神戸フィルムオフィス」の設立からかかわり、日本のフィルムコミッショナーの代表として世界的に活躍されている田中氏に、どのように事業を立ち上げていったのか、フィルムコミッショナーの仕事とは、FCの運営にまつわる話題を中心にお話いただきます。
日本で最初に設立されたFCである「大阪ロケーションサービス協議会」の大野氏からは大阪でのFC運営についてご報告いただきます。お二人のトークもありますのでご期待ください。 |
■ 問合せ先: |
電話 06-6203-0474(代表) ビジネス支援課(担当:高萩) |