大阪府立中之島図書館 平成18年度 第4回ビジネスセミナー

-フィルムコミッションと地域・観光振興-
を開催しました。
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配給会社の試写会は東京と大阪でしか開催されないので、独自に上映会・試写会を主催している。韓国映画「ぼくの彼女はサイボーグ」では今年に入り1ヶ月間神戸でロケを行ったが、配給会社にロケ中に神戸で記者会見をしてくれるよう交渉した。多くのマスコミが取材に来てメディアで取り上げられた。
現在スタッフは7名で運営している。実績を重ねて、神戸フィルムオフィスは他の場所では出来ない撮影のかけこみ寺と言われるようになった。
セミナー後半は大阪のFCである「大阪ロケーションサービス協議会」の大野聡氏からご報告いただきました。
「大阪ロケーションサービス協議会」は日本で一番最初にできたFCであり、大阪商工会議所、大阪府、大阪市から毎年それぞれ500万円ずつ予算を出しあって運営している。スタッフは2名と事務1名で運営。
大阪の特色として、世界的にも一定の知名度がある大都市であり、映像関連企業(在阪のテレビ局・制作会社・キャスティング会社)が豊富であることから、FCとしては地元の企業をもり上げながらFCにしかできない支援や地元制作者の育成など撮影環境の整備を行いたいと考えている。HPにも力をいれており、ロケ地の写真を一般の人が登録できるようにしている。

大阪は民間企業がロケの誘致に積極的で、専用のHPを作成している企業もある(有料だが東京に比べると安価である)。代表的な企業として、JR西日本、南海電鉄、関西国際空港、通天閣などがある。通天閣は柔軟に撮影を受け入れ、撮影終了後もパネル展などのイベントを積極的に開催している。作品の地域プロモーションまで考えて協力してくれる企業はめずらしい。その影響かここ2〜3年若い観光客が増えている。
スタッフが少ないため撮影の受け入れも限界にきている。大阪で撮影した作品の地域プロモーション(上映会等)にまでなかなかかかわれないことが課題である。
お二人のトークではそれぞれの地域の特色が述べられました。
そもそも、神戸市が神戸にFCを作ろうと思ったのは、震災があったから。震災後、3年たって町並みは戻ってきたが、経済がなかなかもどっていなかった。観光客も以前の水準に戻らない中で、映像を通して観光客を呼び戻そうという意図があった。このような経緯からも神戸は官主導で神戸市は頭がやわらかい。反対に一般の人はおとなしい。街自体も異人館の町並はガードレールがないので、外国の町に見える。トーアロードも中央分離帯が可動式になっており街づくりに工夫がこらしてある。ただ大阪には在阪のテレビ局、新聞社、雑誌社がたくさんあり、何かあるとすぐに取材に来てくれるが、神戸はマスコミ会社自体が少ない。
大阪は民間主導で民間企業・商店街・一般の人々はすごく協力的。行政は慎重。
神戸FCは兵庫県知事に提案して、兵庫県内の自治体に呼びかけて、ネットワークを作った。神戸フィルムオフィスだけで兵庫県のロケ地を把握できないので、撮影の問い合わせには神戸フィルムオフィスが対応し、県の職員が同行して現地での観光案内をその土地のスタッフが行う。連携の代表もフィルムコミッショナー(田中氏)なので話が早く進む。大阪は実務をしている大野氏が代表ではないので動きにくい面がある。
日本のFCはハリウッドのFCと同じにはなれない。法体系が違う。アメリカでは大規模な道路封鎖など、警察が大勢来てくれる。これはアメリカの警察は料金制になっているから。日本では許可の下りづらい道路封鎖や、人が多い繁華街などでの撮影を、無許可で行っているケースが少なくない。こういったやり方はハリウッドをはじめ海外の撮影隊には通用しない。現在は海外の映像製作者は「日本=東京」であり、国内の映像制作でも9割が関東圏で行われている。関西は海があり、山があり、歴史もあるので、ロケ地のポテンシャルは高い。東京では撮影が不可能な内容でも、大阪ならば受け入れられるような撮影環境の整備を進め、国内外の映像製作者に広くアピールしていきたい。
アメリカのFCは30年〜40年の歴史がある。日本ではまだ6〜7年。撮影の条件が整うにはこれから20年〜40年はかかるだろう。
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>> 「フィルムコミッショナーの仕事」配布資料
【平成18年度第4回ビジネスセミナー「フィルムコミッショナーの仕事 -フィルムコミッションと地域・観光振興-」】 |
■ 日時: |
平成19年3月17日(土)13:30〜16:45 |
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■ 場所: |
大阪府立中之島図書館 3階 文芸ホール
大阪市北区中之島1-2-10 |
■ 定員: |
50名 |
■ 受講料: |
無料 |
■ 講師: |
神戸フィルムオフィス 代表 田中まこ氏
大阪ロケーションサービス協議会 大野聡氏
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「フィルムコミッション(FC)」は、映画・テレビ等のロケーション誘致や撮影を支援する自治体設置の非営利公的機関です。全国には94(2007.1現在)のフィルムコミッションがあります。FCは撮影隊の滞在による「直接的経済効果」に加えて、映像作品による地域の知名度の向上、観光集客効果、映像関連企業集積などの地域振興に大きく貢献しています。
「神戸フィルムオフィス」の設立からかかわり、日本のフィルムコミッショナーの代表として世界的に活躍されている田中氏に、どのように事業を立ち上げていったのか、フィルムコミッショナーの仕事とは、FCの運営にまつわる話題を中心にお話いただきます。
日本で最初に設立されたFCである「大阪ロケーションサービス協議会」の大野氏からは大阪でのFC運営についてご報告いただきます。お二人のトークもありますのでご期待ください。 |
■ 問合せ先: |
電話 06-6203-0474(代表) ビジネス支援課(担当:高萩) |