名誉館長上田正昭の視座

大阪府立中央図書館 1階 企画展示エリア
平成23年11月12日(土)~平成24年7月16日(月・祝)

展示は終了いたしました

当館は、その使命として、「府域の図書館ネットワークの核として、広域的かつ総合的な視点から府民と資料・情報をつなぎ、府民の知りたいという気持ちにこたえ、学びたいという意欲を育み、豊かで活気あるくらしと大阪における新たな知識と文化の創造に寄与すること」を掲げております。

ご来館の皆さまにとって、当館がこれまで以上に「知的な出会いの場」となるよう、このたび「企画展示エリア」を設けました。普段は書庫に納めていてなかなか皆さまの目に触れることの少ない資料を中心に、当館が所蔵する膨大な蔵書の一端を、そのときどきの切り口で紹介してまいります。

企画展示の第1弾は、「名誉館長上田正昭の視座」と題して、名誉館長として当館の運営にも多大なご協力をいただいております上田正昭・京都大学名誉教授の著作を中心に取り上げます。

日本古代史の第一人者として知られる先生は、日本史はもとより、国文学・神話学・民俗学・宗教史学・考古学など多方面にわたる深い学識をベースに、日本古代史を広く東アジア全体のなかでとらえるとともに、「中央」史観によらない「地域」の視点を重視され、ローカルかつグローバルを意味する「グローカル」な視点から研究を進めてこられました。また、教員として部落問題、在日朝鮮人問題の厳しい現実に向き合われた体験にもとづく人権文化の探究と活動でも知られています。

こうした先生の「視座」は、わが国の歴史のみならず、これからの社会、これからの世界、そしてこれからの大阪を考えるにあたって、多くのヒントをもたらしてくれるのではないでしょうか。

本展示で、先生の大きな業績の一端にふれていただき、そこから派生する数々のテーマに想いを馳せるきっかけとしていただくことができましたら幸いです。


上田正昭氏写真
上田 正昭 氏
(うえだ まさあき)
プロフィール

京都大学名誉教授、大阪府立中央図書館名誉館長、姫路文学館館長、世界人権問題研究センター理事長、高麗美術館館長。

日本・東アジア古代史専攻。

1927年兵庫県生まれ。1950年京都大学文学部卒業。文学博士。

京都大学教授を経て、1991年6月より大阪女子大学学長(~1997年5月)。1997年6月より当館名誉館長。アジア史学会会長としても活躍するとともに中国においても西北大学名誉教授(1994年)、首都師範大学客員教授(1999年)に就任。大阪の文化への貢献に対し「大阪文化賞」(1997年)、アジアの学術発展への功績に対し「福岡アジア文化賞」(1998年)、民俗学的分野・博物学的分野の研究に業績のあった研究者に贈られる「南方熊楠賞」(2000年)などを受賞。2001年には歌会始の召人に選ばれる。2002年からは鎮守の森をはじめ、広くアジア全体の森の歴史と文化のありようを学際的に研究する「社叢学会」の理事長として尽力。2003年5月勲二等瑞宝章。