ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
大阪府立図書館 > 講演会「大阪ふしぎ散歩 怪談・奇談の現場を歩く 」を開催しました

講演会「大阪ふしぎ散歩 怪談・奇談の現場を歩く 」を開催しました

印刷用ページを表示する 2015年9月26日更新

特別講演会「大阪ふしぎ散歩-怪談・奇談の現場を歩く」

 去る平成27年7月26日(日曜日)14時から16時まで、当館2階大会議室において、展示事業「大阪ふしぎ散歩-怪談・奇談の現場を歩く」の関連イベントとして、特別講演会が、講師に関西学院大学博物館アシスタントの木場貴俊氏(博士)をお迎えして行われました。展示事業と講演会ともに、歴史街道推進協議会との共催事業で、同協議会からも広報したおかげもあり、歴史愛好会で会場は、ほぼ満員に埋め尽くされました。

 講演では、まず「井原西鶴『西鶴諸国ばなし』を読む」として、西鶴の「姿の飛乗物」、「形は昼のまね」、序文の「人はばけもの、世にない物はなし」などを取り上げられました。次に、西鶴の「ばけもの」 観について言及され、特に「人はばけもの」観は当時一般的だったのか?特殊だったのか?と投げかけられました。そして、山岡元隣の文献を例として、内外とも人間に起因した「ばけもの」観は、17世紀後期にもある程度存在したと話され、「天人合一」という、人と世界はつながっているという当時の一般的感覚の延長線上にあるものゆえに、内にも外にも「ばけもの」はいるとお話されました。

 次に、井原西鶴について、もともと俳諧師であり、浮世草子作者はむしろ余技であった。また、当時の俳諧は、和歌や連歌のような正当な雅文芸よりも一段下がる俗文芸的な地位であったと説明され、西鶴像について触れ、西鶴が生きた18~19世紀の大坂の怪異を取り巻く世界について言及されました。具体的には、当時の懐徳堂の儒学者とその周辺を、朱子鬼子論を基礎に置きつつ、運気論や西洋科学を用いることで怪異を合理的科学的に解釈しようとした(弁怪諮問機関・無鬼論)と紹介されました。

 最後に、西鶴が述べた「人はばけもの、世にない物はなし」や、懐徳堂の弁怪諮問機関(無鬼論)、上田秋成の現実主義的合理思想を取り上げられ、いずれも合理的視座に基づいたもの(得体の知れないものは得体の知れないものとして弁える)であり、これらは大坂という都市文化によって育まれたものとして位置づけられる。その意味で、妖怪や怪談について、地域や社会と切り離せないと締めくくられました。

講演会1講演会2

後半は当館の坂上館長との対談形式で和やかな雰囲気の中、妖怪や怪談についてお話しされました。

講演会3