最終更新日:2013年2月9日
資料2

大阪府立図書館におけるレファレンスサービスの取組み


1.経緯
【外部からの指摘】
・市場化テスト監理委員会(H21.9)
『大阪版市場化テスト対象業務の官民比較に関する検討のまとめ(提言)』の指摘
「民間事業者が提供できないサービスというわけではなく、将来的には対象範囲の見直しを否定するものではない。(中略) 府職員が行なう高度なレファレンスサービスについては、職員が時間をかけて行っているものもあり、職員の人件費等のコストから考えると、 現状のサービスレベルを維持すべきかといった疑問を感じた(後略)」
・知事記者会見(H21.9)
府立図書館のレファレンスについて「レファレンス事例とそれにかけているコストについて府民にその是非を問うていきたい」


【府立図書館における検討状況】
平成21年度
・第2回大阪府立図書館協議会(以後「協議会」)において状況説明(H22.3.26)
 今後のレファレンスサービスのあり方、継続実施する意義等、全般的な方策を検討し、検討結果をHPで広報し、サービスの向上に努める。
平成22年度
・両館合同検討チームを立ち上げ、課題の分析と、サービスの充実に向けた考え方の整理と、新規の取組みを開始
・第2回協議会において、考え方のイメージ図(未定稿)を説明(H23.2.9)
平成23年度
・22年度に引き続き、両館合同検討チームと業務とで連携して、取組みを推進
・第1回協議会において、「大阪府立図書館レファレンス・トータルプラン(仮称)【準備稿】」を提示(H23.8.31)
・第2回協議会において、この間の取組みおよび府民向け「図書館の力!」案を説明(H24.3.28)


2.基本的な考え方
【レファレンスサービスに対する基本的な考え方】
・レファレンスサービスは、府民の情報へのアクセスを保障する資料提供において、不可欠なサービス
・レファレンスサービスは、窓口での調査相談にとどまるサービスではなく、多様なサービスを生み出す、図書館における基盤をなすサービス

【大阪府立図書館のレファレンスサービスの現状】
・調査相談件数は他館と比較しても多く、全国トップクラス。
・全国から多様な問合せを受ける中で、司書の調査ノウハウは着実に蓄積されている。
・利用者のニーズは多様化・高度化している。
・レファレンスサービスそのものが府民に認知されているとは言えず、その意義や府民にとってのメリットが理解されているとは言い難い。
・館運営の効率化が求められる中、職員数の減少や一部業務委託の導入といった状況がある。

【課題】
(1)レファレンスサービスの意義、必要性について、府民および設置者の理解の獲得
(2)利用状況、ニーズの多角的な分析
(3)都道府県立図書館としての役割の強化
(4)サービス向上・高度化と発信力の強化
(5)将来に向けた人材育成・サービスの基盤整備


3.具体的な取組み(平成22年度-23年度)
(1)レファレンスサービスへの府民の理解を広げる取組み
・広報リーフレット(事例紹介)作成・配布(H22.10~、年4回更新)
・府民向けパンフレット「図書館の力!」の作成(H24.3)
・メールマガジンを通じた事例の紹介、広報
(レファレンス事例の公開 ⇒ 「司書のノウハウの発信」の項参照)

(2)利用状況、ニーズの多角的な分析
・「平成23年度中之島図書館ビジネス資料室アンケート等調査結果」(H23.5-6)
・来館者アンケート調査(平成23年度 中之島:H23.9-10 中央:H23.11実施)
・政策立案支援サービス利用者満足度調査(H23.12)
・e-レファレンス満足度調査
 「回答の満足度について」のうち「1. 満足」と「2. やや満足」の合計が占める比率96%(回答数96件のうち92件)(H23年度。H23.11末まで)

(3)都道府県立図書館としての役割の強化
・市町村図書館向けレファレンス研修の実施
 (集合研修)平成23年度
  ・参考業務基本研修(3コース 参加計39名)/参考業務実務研修(参加6名)
  ・法情報コンシェルジュ研修(参加44名)
 (出前講習)ニーズ調査を受けて、平成23年度から新たに開始。
       府立図書館職員を市町村に講師として派遣。
  ・寝屋川市立中央(H23.4、参加24名)/八尾市立山本(H23.10、参加13名)/富田林市立中央(H23.2、参加13名)

(4)サービス向上・高度化と発信力の強化
[1]【多様な利用者ニーズへの対応】
・e-レファレンス(インターネットによる調査相談)の開始 (H22.5試行開始、H22.12実施)

[2]【情報リテラシー支援】  ターゲットを絞った、利用者向け講習会の開催
   平成23年度
   (中央)「夏休み自由研究応援団!2011」(H23.7)/「医療情報の調べ方がわかる!」(H23.10)/「歴史を調べるはじめの一歩」(H23.12)
   (中之島)「企業情報の調べ方」(H23.8-9)/「就職活動に役立つ業界情報の調べ方」(H23.11)/「判例・法令の調べ方」(H24.1-2)

[3]【司書のノウハウの発信】
・「調査ガイド」の発行(ちらし、インターネット公開)
・「教材開発のための図書館活用ガイドシリーズ」(12種)の改訂
・レファレンス事例データベース(府立図書館運営)
・レファレンス協同データベース(国立国会図書館運営)へのデータ登録、公開
 (中央)
 当館登録件数: 平成23年  675件(前年の約1.4倍)
         平成22年  ・・486件
 アクセス件数: 平成23年 ・・・・136,114件(前年の約1.5倍)
         平成22年 ・・・・87,456件
 ※国立国会図書館から感謝状
 (中之島)
 調べ方マニュアル(2011) 年間アクセス件数 全国TOP
         「図書館調査ガイド 大阪の商工名鑑・商工会議所名簿」
・レファレンス・ツールスの作成・公開(大阪文献データベース、各種目録・資料一覧等)

[4]【府の施策と連動した取組み】
・教育センターと連携した教員向け研修の実施(平成22年度~)
・児童生徒の調べ学習支援(授業の一環として受入 / 調べ学習用図書セットの貸出)
・行政支援(政策立案支援サービス<Pサポート>)
             平成23年度レファレンス件数 89件(H23.12末現在)

(5)将来に向けた人材育成・サービスの基盤整備
・館内職員研修
  平成23年度(中央)外部講師によるオンラインデータベース検索研修2回
           職員間によるスキルアップ研修2回
・規定・マニュアル類の整備に向けた検討


4.今後の方向性
・府民向けパンフレット(「図書館の力!」)等を活用した広報の強化
・平成22年度以降新たに開始した取組みを含む、サービス全体の計画的実施と効果の検証
・サービス分析(利用分析・ニーズ分析)、サービスの評価手法の検討
・人材育成の取組みの強化(職員間の情報共有の推進等)
・サービスの基盤となる規定・マニュアル等の整備