最終更新日:2013年2月9日
資料1-5

平成23年度 大阪府立図書館総合評価(仮評価)
市場化テストについて(たたき案)


 平成21年9月、府は「行政責任の中心をなすもの以外の業務は民間事業者に開放する」という大阪版市場化テストの理念のもと、 府立図書館管理運営業務の民間開放を決定した。
 これをうけて、民間事業者の有する能力と経験を有効に活用し、より効果的・効率的な図書館運営の実施を図るため、平成22年度から、 府立図書館の管理運営業務の一部を包括的に外部委託している。これまでの約2年間の取組みの成果を検証し、現時点での自己評価を以下にまとめた。


外部委託している主な業務
・資料の整理、保存業務
・所蔵資料管理業務
・貸出・返却・登録業務
・市町村図書館等への協力貸出業務
・生涯学習事業、広報・展示等の補助業務

  ※以下の基幹業務は、図書館で引き続き実施
   ・館運営方針の決定
   ・司書の技能・知識・経験を必要とする業務
   ・市町村図書館等との協力・支援業務
   ・行政施策の推進に関する業務


委託先の概要
・委 託 先  株式会社図書館流通センター(TRC)
・委託期間  平成22年4月1日~平成25年3月31日(3年間)
・委託金額  665,234,463円 (1年間あたり221,744,821円)
・体  制  GM(1)、統括責任者(中央1、中之島1)副統括責任者(中央2、中之島2)、 部門責任者(中央6、中之島1)スタッフ(中央60、中之島25)
        ⇒ 合計99名(平成23年9月末日現在)
        ※委託開始時(平成22年4月)は合計77名


モニタリングの実施
<大阪版市場化テスト対象業務モニタリング委員会>
・対象業務の評価項目、実施方法等に関し、指摘及び提言を行う第三者機関
(事務局:総務部行政改革課) 委員4名
・半期ごとに開催(平成23年7月11日、平成24年1月12日)
・モニタリング評価シートに基づき、説明、評価 【別紙:モニタリング評価シート】


成果

・運営コストの縮減
・セルフ複写サービスの導入、複写機の増設
・外部団体との連携によるイベントの増加
・書籍販売の試行実施


今期の評価と課題

概ね円滑な業務運営を行った。受託事業者は、量的には概ね日常業務を処理できており、受託者のリスク負担によるイベントの拡充、図書館内での書籍販売の試行実施など、 あらたな取組みもすすめている。その一方で、次のような課題が見いだせた。

○体制整備に時間を要した点
受託者は市町村図書館を中心に広い実績を持つが、大規模都道府県立図書館の委託に関して組織としての経験が不足しており、府立図書館にふさわしいサービス水準を 維持するため、大幅な人員増や勤務時間増により対応している状況である。大規模な業務委託に関する館側の経験が不足していた部分もあり、安定したサービスに入る までの体制整備にかなりの時間を要した。

○業者スタッフの課題
スタッフがなかなか定着せず、期間中のメンバー交代が頻繁に見られた。前項とも共通するが、これは、現受託者に限らず、図書館委託事業の市場は未成熟で、 民間に経験豊富な人材のプールが乏しいことに起因していると考えられる。都道府県立図書館クラスの大規模館で責任ある立場を務められる人材となるとさらに限定され、 人材が想像以上に不足していると思われる。

○委託している業務の切り分けの問題
現在、受託者と館との連携は概ねスムーズに機能しているが、一部業務については、館で担わなければならない業務と委託した業務とが入りくみ、業務の非効率化を 招いているものがあり、整理が必要である。

○レファレンスに関する課題
「利用案内と所蔵調査、所在調査の一部」を対象範囲として委託したが、一定の水準に達するにはかなりの時間を要した。館からも研修等のサポートを行うとともに、 月次報告による対応記録をもとに検証とフィードバックを絶えず行うことで現在の水準を維持している状況である。特に受託業者スタッフには、一次受付窓口として、 利用者のニーズを概略で聞き取り、適切なカウンターに短時間で振り分けを行うことが求められるが、この部分に課題が多い。スタッフの入れ替えが頻繁なこともあり、 水準の維持のため、継続して検証していく必要がある。


次期委託に向けて

今期の課題を踏まえ、次期委託にあたっては、柔軟により良い官民協力の形を今後も探っていく必要がある。特に、次の点に留意する必要があると考えている。

○委託範囲について
業務の流れの検証を踏まえた委託業務範囲の見直し作業が必要である。レファレンスについては、今期の範囲が限界であると考えている。

○事業者の選定方法について
府立図書館にふさわしいサービス水準を維持していくため、最適な事業者選定方法を選択する必要がある。