としょかんせんなりびょうたん
(資料紹介のページ)
2009年10月掲載
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 のぞいてみよう戦国時代
 ここ数年、テレビドラマ、映画、ゲーム、ご当地キャラクターの世界にまで広がっている戦国人気。その魅力はどこにあるのでしょうか。今回は、歴史小説や伝記とは一味違った視点から戦国時代を描いた資料をご紹介します。
 
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戦国武将名言録 (PHP文庫 く9-2)
楠戸義昭著 PHP研究所 2006年7月刊
『戦国武将名言録』表紙画像
 天下を制した織田信長、豊臣秀吉、徳川家康をはじめ、ドラマや歴史小説では脇役として登場するような武将の言葉も丁寧に拾い集められた、200項目におよぶ名言集です。
 それぞれの名言には2ページずつの解説があり、出典が記載されていますので、心に響いたものは原典にあたってみるのも楽しいのではないでしょうか。大阪府立図書館にも数多く所蔵しています。

 本書にも出典としてよく登場する『名将言行録』は、同じく戦国武将などの言動を膨大な史料から集めたものです。岩波文庫版は古文の完全収録、教育社新書版は現代語訳のダイジェストです。読書の秋、いにしえの武将たちの言葉にじっくりと耳を傾けてみられてはいかがでしょう。

名将言行録』全8巻(岩波文庫 岡谷繁実著 岩波書店 1943〜1944年刊)(書名の部分をクリックすると第1巻の書誌詳細表示画面にジャンプします)
『名将言行録』      (教育社新書 岡谷繁実原著 北小路健、中沢恵子訳 新装版 教育社 1987年5月刊)

 
日本甲冑史  下巻 戦国時代から江戸時代
中西立太著 大日本絵画 2009年3月刊
『日本甲冑史』表紙画像
 タイトルは「甲冑史」となっていますが、この本では甲冑だけでなく、本陣の構造や布陣の方法、戦い方、武器や装備、馬具の種類、戦場での炊事の注意から資材の運び方まで、イラストを駆使して紹介しています。「足軽の着装順序」や「当世具足の着装順序」では、下帯をつけるところから、すべて着終わるまでを、一動作ごとに詳細に図示し、季節によって少しずつ着るものが異なることまで、丁寧に描かれています。全文、日本語と英語の併記で、読み慣れない用語(たとえば「肩上」は「わだかみ」、「四幅袴」は「よのばかま」など)には振り仮名も付いています。

上巻 弥生時代から室町時代』も所蔵しています。

 
戦国史新聞 乱世をスクープ!
戦国史新聞編纂委員会編 日本文芸社 1996年10月刊
『戦国史新聞』表紙画像
 応仁の乱から大坂夏の陣に至る戦国時代の出来事を新聞報道形式でまとめた本です。
 「織田信長 武田騎馬軍団をせん滅 3千挺の鉄砲に武田軍の死傷者1万を超える」(1575年(天正3年))といった政治的な記事だけでなく、「ご新居訪問 大坂城(摂津国)羽柴秀吉さん」(1584年(天正12年))や「ワールド・ナウ 海外ではコーヒーが大流行?」(1554年(天文23年))といった小さな囲み記事、「週刊大勝 大特集渇殺(かつえごろ)しに備えての築城五十の知恵」(1580年(天正8年))といった雑誌広告風の記事など、ユーモアにあふれた内容となっています。 あたかも戦国時代に暮らしているかのような気分で楽しめる一冊です。
 なお、この本は絶版となっていますので、ぜひ図書館でご覧ください。

 
時空忍者おとめ組! (講談社青い鳥文庫)
越水利江子作 土屋ちさ美絵 講談社 2009年1月刊
『時空忍者おとめ組!』表紙画像
 遠足で、安土城址を訪れた小学6年生の竜胆、三香、薫子の三人組。時空を超えて現代にやってきた伊賀忍者に連れられて、戦国時代にタイムスリップしてしまいます。三人三様の個性を発揮して、安土城主・織田信長と対決することになるという奇想天外な展開から目がはなせません。シリーズの2巻(2009年5月刊)も所蔵しています。
 同様に現代人が戦国時代にタイムトリップする物語で、一般向けには、『戦国自衛隊』(半村良著 角川書店 1979年10月刊)や『戦国自衛隊1549』(半村良原作 福井晴敏著 寺田克也画 角川書店 2005年5月刊)もあります。

 
秀吉の太田城水攻め 中世の自治から近世の平和へ(和歌山大学フィールドミュージアム・ビデオライブラリ 1)(DVD)
和歌山大学紀州経済史文化史研究所(発行) 2009年刊
『秀吉の太田城水攻め』外観画像
 桜の花が満開の美しい土手の眺めから、話は始まります。
 1585年(天正13年)、天下統一をめざして敵対勢力との戦いを進めていた武将、羽柴(豊臣)秀吉は、抵抗を続ける紀州惣国一揆の残党に対し、大規模な「水攻め」を敢行したとされています。桜の咲く土手は、その水攻めに使われた堤防の跡と考えられています。
 このDVDでは、今に遺されている古文書や絵図、現存する堤防跡の調査結果をもとに、図解とコンピュータグラフィックスによる映像で、水による城攻めの様子を再現しています。
 実際に、住んでいるところに人為的に水を流し込まれるという状況は想像しにくいものですが、この再現映像を見ることで、短期間で大堤防を築き、水攻めを実行するということがいかにすごいことだったかが分かります。
 簡潔なナレーションと図解と映像を使うことで、見る人にとっての分かりやすさを実現した郷土資料ともいえるでしょう。
 また、DVD作成のもとになった研究は、『中世終焉 秀吉の太田城水攻めを考える』(海津一朗編 清文堂出版 2008年5月刊 中之島図書館所蔵)に収められています。

 

作成:資料情報課


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