としょかんせんなりびょうたん
(資料紹介のページ)
2009年6月掲載
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 カビ
 梅雨時に気になるカビ。やっかいな存在ではありますが、実は私たちの暮らしになくてはならない存在でもあります。今回はカビのいろいろな側面を取り上げた資料を紹介します。身近なカビを改めて見つめてみませんか。
 
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クサレケカビのクー  月刊たくさんのふしぎ第256号
越智典子文 伊沢正名写真 塩田雅紀絵 福音館書店 2006年7月刊
『クサレケカビのクー』表紙画像
 楽しみにしていたおやつに生えたカビに、「カビなんて、この世から消えてなくなればいいのに!」と叫んだ「わたし」。「ひどーい!」と抗議の声をあげたクサレケカビのクーちゃんが、カビの世界を案内してくれます。裏表紙は、39ページの[ジャガイモでカビをそだてる方法]でそだてた、手形のカビの写真です。こども向けの本ですが、大人にも人気のシリーズの一冊です。
 大人向けの科学エッセイでは、
『カビへの招待』(のぎへんのほん 中野政弘著 研成社 1990年4月刊)なども所蔵しています。

 
菌が地球を救う!  あなたのまわりの発酵菌が人を幸せにする (宝島社新書)
小泉武夫著 宝島社 2007年9月刊
『菌が地球を救う!』表紙画像
 著者は発酵菌の研究者の立場から、菌類・細菌類の力を活用して、現在の人類が抱える大きな問題「環境」「食料」「健康」「エネルギー」を解決する方法を提唱しています。
 細菌の発酵により発生する水素エネルギーの利用、大規模なコンポストによる生ゴミの堆肥利用、発酵による汚水の浄化、菌類が作る抗生物質の医療利用、落ち葉を菌で発酵分解したブドウ糖を食料問題解決の糸口に・・・など。著者の提案する「FT(Fermentation technology=発酵技術)革命」を知ると、もっと菌類を利用しないのはもったいない!という気がしてきます。

 日本酒、焼酎、しょうゆ、みそは、麹菌がなければ作れません。日本の伝統食を支えるカビ、すなわち麹菌について詳しくまとめた一冊として、
『麹』(ものと人間の文化史138 一島英治著 法政大学出版局 2007年7月刊)も所蔵しています。


 
カビがつくる毒 日本人をマイコトキシンの害から守った人々 (科学のとびら)
辰野高司著 東京化学同人 1998年9月刊
『カビがつくる毒』表紙画像
 1995年のある日、新聞記者の健一さんが、カビ毒(マイコトキシン)の研究者である叔父の辰野博士を訪ねてくるところから物語は始まります。その頃、凶作のため外国から輸入した米にカビなどが発見され、社会問題となっていたのです。
 博士に詳しくインタビューするうち、第二次世界大戦後の食糧難の時代にも「黄変米事件」という輸入カビ米事件があり、その米が国民に配給されるのを阻止するため、カビの毒性を証明しようと奮闘した科学者たちのことなど、カビ毒についての知られざるさまざまなエピソードが語られます。
 つい昨年も、カビ米を含む事故米の不正転売事件があったことは記憶に新しいところです。食糧難という時代の中でも「国民に毒を食べさせない」という信念のもと、困難な研究に取り組んだ科学者たちの姿に心を打たれます。

 
チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話 植物病理学入門
ニコラス・マネー著 小川真訳 築地書館 2008年8月刊
『チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話』表紙画像
 19世紀セイロンのコーヒー農園で起きたコーヒーノキ絶滅事件や、1990年代にブラジルでカカオノキが大量枯死した事件は、いずれもカビ・キノコの類の菌が原因の植物伝染病によるものでした。
 植物学者、栽培業者たちによる殺菌剤の開発や栽培方法の工夫、検疫など懸命の努力にもかかわらず、菌は強くしたたかに、あるものは風に乗って大洋を渡り、またあるものは虫や動物や人間の商業活動に付いて広い大陸の端から端へと移動し、世界中へ広がり続け、今日でもなお農業や植生にとって大きな脅威となっています。
 小さな菌がこれほど大きな影響力を持っていることに驚かされます。また多くの場合、自然界では菌と植物は一定の調和を保っているが、人間が特定の植物を大規模に単一栽培し始めた途端、菌が猛威を振るいだすということから、人間と自然との関わりについても考えさせられる一冊です。

 
アンパンマンとかびるんるん
やなせたかし作・絵 フレーベル館 198-年刊
『アンパンマンとかびるんるん』表紙画像
 雨の日、パン工場のごみ捨て場に現れたかびるんるん。かびるんるんが息を吹きかけると、パン工場はたちまちかびだらけに。カビには人の役に立つ種類もありますが、パン工場にいてもらっては困ります。「パンをつくるところだから、せいけつにしなくちゃいけない」のです。大切なパンを守ろうと、アンパンマンたちは知恵を絞ります。さて、かびるんるんの天敵は何だったのでしょうか。ユーモアたっぷりの紙芝居で笑った後は、大掃除をしたくなるかもしれません。

 

作成:資料情報課


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