としょかんせんなりびょうたん
(資料紹介のページ)
2009年5月掲載
 ☆他の号はこちら としょかんせんなりびょうたんINDEX
 
 
 4年に1度の食のイベント「‘09食博覧会・大阪」が4月30日から5月10日まで、インテックス大阪で開催されるのにちなみ、5月号のテーマは「食」です。
 人間食べなければ生きていけません。元気も出ません。食べて!読んで!考えて!でまた食べる!大阪といえば食いだおれですが、倒れない程度に楽しく食べたいものです。
 
<書名(タイトル)の部分をクリックすると、蔵書検索の書誌詳細表示画面を見ることができます>
 
日清食品50年史 1958-2008 [1] 安藤百福伝
日清食品株式会社社史編纂プロジェクト編集 日清食品 2008年8月刊
『日清食品50年史』表紙画像
 おなじみの袋の中身は・・・? なんと『安藤百福伝』『創造と革新の譜』『映像でつづる日清食品の50年』(DVD) の3点からなる『日清食品50年史』です。身近な食品が、この50年間で、宇宙にまで進出したことを思うと、食を支える技術の素晴らしさを感じます。
 装丁が大変凝っていて、ぜひ手にとってご覧いただきたい資料です。『安藤百福伝』『創造と革新の譜』は地下書庫、『映像でつづる日清食品の50年』(DVD)は3階カウンターと、所在が異なりますので、3階カウンターにてご相談ください。『映像でつづる日清食品の50年』(DVD)のパッケージも見ごたえがあります。3点とも貸出できない資料ですので、館内でご覧ください。

 
「粉もん」庶民の食文化 朝日新書 065
熊谷真菜著 朝日新聞社 2007年9月刊
『「粉もん」庶民の食文化』表紙画像
 この本は、2007年の大阪コナモン博覧会の開催に先立ち刊行されました。関西だけでなく、日本全国からアジアの「粉もん」の文化人類学的考察満載の1冊です。著者は、大学の卒業論文に 『たこやき』 (リブロポート 1993年6月刊)を発表した後、「粉もん」全般の研究を続け、2003年には「日本コナモン協会」を設立して初代会長に就任しました。当館では、ほかに、
  『たこやきの正しい食べ方』 熊谷真菜 著 ゴマブックス ごま書房 1996年1月刊、 『たこやきのナゾ』 熊谷真菜著 シノハラガク絵 草土文化 2000年9月刊、 『たこやき 大阪発おいしい粉物大研究』 熊谷真菜[著] 講談社文庫 講談社 1998年5月刊(リブロポートの文庫化) などを所蔵しています。

 
なにわグルメ百景 食いだおれの街・点描 大阪府立中之島図書館特別展示 平成19年度
大阪府立中之島図書館 2007年11月刊
『なにわグルメ百景』表紙画像
 この資料は、大阪府立中之島図書館が、所蔵資料紹介等事業の一環として平成19年に行った、江戸から大正にかけてのなにわのグルメ事情を伝える特別展示のパンフレットです。食いだおれの街大阪と、そこに集う人々の姿が、紹介された資料によって生き生きと浮かびあがってきます。日頃、なかなか触れにくい古い資料も、このようなパンフレットに掲載されたものなら、身近にごらんいただけるのではないでしょうか。100年を超える歴史がある中之島図書館では、大阪関連資料の収集につとめるとともに、古典籍も数多く所蔵しており、錦絵や貴重書などは、デジタル化した画像をホームページでも公開しています。
    貴重書画像データベース
    錦絵にみる大阪の風景
    人魚洞文庫データベース

 
働く人の災害食 神戸からの伝言
奥田和子著 編集工房ノア 2008年6月刊
『働く人の災害食』表紙画像
 第一章、「阪神・淡路大震災で働いた人たちはなにを食べたか」に掲載された実態調査結果からは、ライフライン復旧と平常化に向けて、身体的にも精神的にも厳しいなか、十分な食事がなくても働き続けた人たちの姿がうかがわれます。この本では、職務遂行のためにも「まず食事が必要」の観点から、災害時の想定食事プランを作成して消防署員に試食してもらった結果や、近畿地方や警戒地域での、災害時に重労働の復旧に携わる職員のための飲食料備蓄状況などを示したうえで、今後、もしものときに、消防・警察、病院、ガス・電気会社、水道局、自治体などの現場で、地震・災害時に救助や復旧のために命がけで働く人たちの食事をどう確保し、どう食べるか、について提言しています。

 
たべものがたり 食と環境7の話
山本良一企画監修 ダイヤモンド社 2009年3月刊
『たべものがたり』表紙画像
 本書は資源、生産、流通、消費などの観点から食と環境について述べられた本です。日本の食糧需給率は40%(2007年度)、大量のCO2を排出しながら、わが国は海外から食糧を調達しています。食糧を輸送する時に排出されるCO2は、朝食メニュー8項目(食パン、ソーセージ、オレンジなど)では、国内産59gに対し、輸入すると193gにまで膨らみます。CO2の排出により、ますます温暖化が進めば、食物に甚大な損害が生じます。手遅れにならないうちに食糧と地球環境の問題を解決しなければ、輸入に頼る日本は痛手を被ることになると示唆しています。
 この本は食文化の意識を高めるため、全国の小・中・高等学校に寄贈されています。食材輸入にかかるCO2に関心のある方は『フード・マイレージ あなたの食が地球を変える』(中田哲也著 日本評論社 2007年9月刊)、『食べ方で地球が変わる フードマイレージと食・農・環境』(山下惣一ほか編 創森社 2007年7月刊)などもご覧ください。

 
食道楽 (岩波文庫)
 上 2005年7月刊 下 2005年8月刊
村井弦斎作 岩波書店
『食道楽』表紙画像
 明治のベストセラー『食道楽』をご存知ですか?
 小説『食道楽』は、物語仕立ての中で、主人公の料理上手なお登和が作る和洋料理の数々が評判を呼び、当時としては破格の10万部を超える人気となりました。内容は、例えば、
 「お登和嬢が料理に対する才覚は源々として竭(つ)くる事なし『(中略)今のがサンドウィッチのお料理ですからその次は立食風の冷肉料理がようごさいましょう。冷肉料理はお弁当に限らず暑い時分には家庭の食事に用いてもお客への御馳走にしてもようございます。(中略)第一がコールポークと申して豚の冷肉に致しましょう。それには豚のロース肉を三斤買ってそのままテンパン即ちブリキ皿へ載せて塩胡椒を振かけてテンピの中へ入れてロースのように焼きますが、十分間ばかり過ぎたらテンピの戸を明けて引出して肉の上へ大匙一杯のバターを塗って肉から出た汁を匙で掬って肉の上へかけてまた焼きます。(中略)それを冷しておいて薄く二十人前に截(き)ればコールポークが出来ます』」(秋の巻「冷肉料理」より)
 といった具合で、彩り豊かなメニューはもとより、テーブルマナーや食の大切さ、家庭生活のあり方にいたるまでに話は及び、とても面白い作品です。(原本刊:1903-1904年)

 
奇跡の毒抜き ふぐの卵巣の糠漬けに見るいしかわの発酵文化(石川新情報書府) (DVD)
小泉武夫出演,監修 石毛直道出演 北陸スタッフグループ(制作)
『奇跡の毒抜き』外観画像
 ふぐの卵巣には猛毒テトロドトキシンがあり、加熱したぐらいでは毒素は消えません。これを食べられるように加工した石川県の特産品「ふぐの卵巣の糠漬け」を歴史的・文化的な背景をまじえ紹介したDVDです。(平成18年度制作)
 漁場に恵まれ、有名な穀倉地であり、また冬の間厳しい積雪に悩まされる、石川ならではの発酵文化。およそ「文化」や「伝統」と呼ばれるものは、地道な日々のつみかさねや、支える人の努力の上にあります。究極のスローフードと紹介されているとおり、この毒抜きにはなんと3年を要します。1年かけて30%もの量の塩に漬け、そのあと糠につけこむのです。
 「なぜ毒のあったものを食べるのか」「なぜそこまで手間ひまをかけるのか」。その答えはこのDVDを見て、実際に石川を旅し、ふぐの卵巣の糠漬けをあぶってお茶漬けにのせて食べてみてはじめてわかるのかもしれませんね。
 石川の文化や伝統を紹介するシリーズ「石川新情報書府」はそれぞれの制作元から市販されているものですが、図書館には毎年、石川県から寄贈していただいています。ほかにも加賀友禅や九谷焼など、愛情をこめて紹介される石川の伝統産業の数々を、ぜひごらんください。ホームページも制作されています。

 

作成:資料情報課


ボール中央図書館のページへ
ボール大阪府立図書館のページへ