としょかんせんなりびょうたん
(資料紹介のページ)
2008年8月掲載
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オリンピック
 8月8日から北京オリンピックの開幕です。それにちなんで、「オリンピック」または「北京」をキーワードに資料をご紹介します。なお、8月15日から9月10日まで当館4階でもオリンピック関連の資料展示をいたします。あわせてご覧ください。
 
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夢を走り続ける女たち 女子マラソン炎の闘い 
増田明美著 講談社 2004年5月刊
「夢を走り続ける女たち」表紙画像  陸上競技の中で、日本が「もっともメダルに近い」と言われている女子マラソンは、その代表選手選考の時から、有力選手が多数いる中、誰が選ばれるのか、注目されています。
 アテネで金メダルを獲った野口みづき選手をはじめ、今回の北京にも出場する土佐礼子選手、シドニーで金メダルを獲ったものの選ばれなかった高橋尚子選手。アテネオリンピックで選ばれた選手と、選ばれなかった選手のそれぞれの努力とドラマの記録を記したのが本書です。
 著者の増田明美さんは、自身もロサンゼルスオリンピックに出場したものの、残念ながらリタイアしています。オリンピック女子マラソンの選考委員であり、現在もマラソン解説でおなじみの著者ですが、四年に一度のオリンピックへの出場が如何に難しいかが、本書からはひしひしと伝わってきます。
 なお、Qちゃんこと高橋尚子選手が書いた『風になった日』(幻冬舎 2001年2月刊)をはじめ、高橋尚子選手を育てた小出監督が書いた『君ならできる』(幻冬舎 2000年10月刊)、『Qちゃん金メダルをありがとう』(扶桑社 2000年11月刊)、バルセロナで銀メダル、アトランタで銅メダルを獲った有森裕子選手の『アニモ』(メディアファクトリー 1997年10月刊)『わたし革命 Be proud of yourself』(岩波書店 2003年11月)などの資料も、所蔵しています。本書とあわせてお楽しみください。
  
メダルへの伴走者 スポーツ用具開発に携わる者たちの熱きドラマ
石田雄太著 出版文化社 1998年1月刊
「メダルへの伴走者」表紙画像  10年前、長野オリンピックを目前に発行された本です。巻頭に取り上げられているのは「スラップスケート」。蹴ると、かかとから刃が離れる構造で、これを履いたスピードスケートの選手たちが次々と記録を塗り替えたことで話題になりました。日本選手陣が採用する・しないで悩む様子は、スピード社の水着をめぐって揺れ動いた最近の競泳界と重なります。
 メダルに沸き立つ人々と、想像を絶するトレーニングを重ね重圧に耐えるアスリートたち。「泳ぐのは僕だ」と書かれたTシャツで水着騒動に一石を投じた北島康介選手のいうとおり、あくまでも主体は選手で、用具は支えです。しかし百分の一、千分の一秒を争う競技において、用具開発者たちは大きな責任を担っています。この本に書かれたジャンプ競技のスーツ、マラソンシューズ、短距離用シューズ等々は、科学的分析と職人芸の集大成といえますが、加えて精神面で選手を支えることも大きく、裏方仕事ながらまさに「メダルへの伴走者」と言えるのではないでしょうか。
 一連の水着騒動に「いっそみんなおんなじ海パン・水着で泳いだらええやん」と、ちょっとうんざり気味の人は、1960年ローマオリンピックのマラソンを裸足で制したエチオピアのランナー、アベベ・ビキラの話『アベベを覚えてますか』(山田一廣著 新声社 1984年刊(山田一廣著 ちくま文庫 1992年刊)はいかがでしょう。
 また自分の進路を模索中のみなさんは、『スポーツにかかわる仕事―なり方完全ガイド』(学研 2005年刊)もあわせてどうぞ。
 
プロジェクトX 挑戦者たち  DVD box5-[10]料理人たち炎の東京オリンピック (DVD)
NHKソフトウェア(発行)  2002年12月刊
「プロジェクトX 挑戦者たち 料理人たち炎の東京オリンピック」外観画像  東京オリンピックの選手村では7,000人分の選手の食事を用意しなければなりませんでした。このDVDには、チーフ料理人の村上さんが、若手シェフに自分のレシピを次々と公開して勉強を促していく姿が紹介されています。
 帝国ホテルで下働きから始め、フランスに留学し、苦労してやっと会得したレシピや技術は、村上シェフにはまさにお宝だったはずです。
 しかし戦後復興の象徴「東京オリンピックの成功」という目的の前には「レシピは自分だけのもの」といった自分本位の考えは浮かばなかったのかもしれません。
 出来ることはやり尽くそうとする村上シェフの姿勢からは、一つの目的に向かう時代全体のエネルギー、勢いのようなものまで感じられそうです。
 
<財>日本オリンピック委員会公式写真集  2004
日本オリンピック委員会監修 コナミメディアエンタテインメント 2004年11月刊
「<財>日本オリンピック委員会公式写真集2004」表紙画像
Copyright:2004Konami
Copyright:AFLO SPORT&Getty Images2004
 2008年北京オリンピックではどんなドラマが生まれるのでしょうか?
 オリンピックを支える日本オリンピック委員会関連の当館所蔵資料の一部をご紹介します。
 この公式写真集を見ていると、4年前のアテネオリンピックでの日本選手の活躍がよみがえります。また、オフィシャルフォトチームならではのアングルと思われる絶妙なショットもあり、思わず時間を忘れてページをめくってしまう1冊です。
 シドニー大会
ソルトレ-ク大会のものもあわせてどうぞ。
 また、日本オリンピック委員会が、いつまでもスポーツが楽しめる地球環境を守るための取り組みをまとめた『スポーツ環境委員会活動報告書 平成18年度』(日本オリンピック委員会スポーツ環境専門委員会 2007年9月刊)があります。柔道着のリサイクルの話やユニフォーム姿以外の選手の写真を眺めながら(残念ながら貸出不可です)、オリンピックというスポーツの祭典を通して、地球環境のことを考えてみるのもいかがでしょう。
 
パラリンピックへの招待 挑戦するアスリートたち
中村太郎著 岩波書店 2002年2月刊
「パラリンピックへの招待」表紙画像  今では、オリンピックと同年に開催されるようになった、パラリンピック。この本の冒頭では、陸上男子100メートル走と男子パワーリフティング(重量上げ)のベンチプレスの記録を例に、改めて、パラリンピックの競技レベルの高さについて注意を喚起しています。
 このほか、選手によっては、日常生活を送るために必要な薬の中に、ドーピング検査に抵触しかねない成分があること、義足や車椅子などの補助具の性能に競技結果が大きく左右されることもあること、など、パラリンピックならではの課題もわかりやすく紹介されています。
 選手それぞれの活躍ぶりを紹介する本としては、2004年アテネパラリンピック前に6種目の有力選手6人について書かれ、北京パラリンピックにも出場予定の選手も登場する『パラリンピックがくれた贈り物』(佐々木華子著 メディアファクトリー 2004年9月刊)
 2000年シドニー、車椅子マラソンの選手たちをレポートする『ケンタウロス、走る! 車椅子レーサーたちのシドニー・パラリンピック』 (土方正志著 文芸春秋 2001年1月刊)などがあります。
 また、冬季の種目なので、今回の北京には登場しませんが、チェアスキー選手の語る『壁なんて破れる パラリンピック金メダリストの挑戦』(大日方邦子著 日本放送出版協会 2006年6月刊)もおすすめです。
 
ぞうの金メダル
斉藤 洋作 高畠那生絵 偕成社 2004年7月刊
「ぞうの金メダル」表紙画像  ぞうがオリンピックに出場したら・・・重量挙げでも金! 水泳でも金! 100メートル走でも金! メダルを総なめにしていきます。でもぞうにだって、苦手な種目はあります。そんな時は客席で長い鼻を上げて応援します。どうやら、ぞうは金メダルの数よりも四年に一度のスポーツの祭典を楽しんでいるようです。そんな多才で人助けの好きなぞうが、最後に手にしたメダルは・・・。
 色鮮やかな高畠さんの絵は躍動感があり、見ているだけで楽しい気分になれます。
 
笑って学んでin北京 桂小米朝落語&算数交流
彭飛編 桂小米朝編 佐藤学編 小西豊文編 堀俊一編 和泉書院 2007 年8月刊
「笑って学んでin北京」表紙画像  今回のオリンピックの舞台となる「北京」をとりあげた1冊をご紹介します。
 表紙を見てまず、「んー、落語と算数?いったい何の関係が?」と思ってしまいますが、算数をネタにした落語の話ではありません。北京での落語会と北京での算数授業という2つの日中国際交流を紹介している、きわめて題名そのまま直球の本なのです。
 この本は交流に関わった人々約50名による回想録の形をとっており、それぞれの苦労と喜びが丁寧に記録されています。落語の部では桂小米朝さんの芸の力と北京の聴衆の感受性を、算数の部では教える技術と経験に磨きをかける先生たちの情熱と北京の小学生のいきいきとした様子を実感することができます。また、落語によく似た中国伝統芸能「相声」の存在や、以前とは違う北京の印象(自転車がワァーと走っている・・・のではなく、自動車が多い、とか)、中国側の先生の持つ独特の「テンポの速さ」についての話など盛りだくさんです。
 国際交流というと少し固い感じがしますが、この本を読むと、と にかく実際に行ってみる・会って話してみることの大切さが伝わっ てくるような気がします。この本は直球であり、まじめで前向きな本でもあるのです。
 北京に出かけたくなった方には、『地球の歩き方 北京・天津』(ダイヤモンド・ビッグ社 2008年6月刊)などもどうぞ。

作成:資料情報課


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