『探偵奇譚 大宝窟王』
(大正元年12月14日 中興館書店) モーリス・ルブラン:原作 三津木春影:訳 260頁 縦19㎝×横13㎝ 1円20銭


ケースと表紙 挿絵「大宝窟内最後の活劇


 フランスの小説家、モーリス・ルブラン原作「奇巌城」の翻案。鉄仮面伝説を絡めながら、アルセーヌ・ルパンこと「隼白鉄光」と青年探偵・三井谷散史との対決を描く。訳者の三津木春影(本名:一実)は、明治14年に長野で生まれ、早大英文科を経て短編小説を執筆。「少年」「日本少年」「少女の友」等の児童雑誌に探偵ものを多数寄稿し、フリーマンを翻訳した「呉田博士シリーズ」が人気を博した。横溝正史や江戸川乱歩など、のちの探偵・推理作家に多大な影響を与えたことで知られる。