2008(平成20)年5月1日に、ヤングアダルト(以下「YA」とする)世代を対象としたホームページ「YA!YA!YA!べんりやん図書館」が公開され、2年近くが過ぎた。ここで、これまでの経緯と現状、これからの課題について、まとめたいと思う。
2007(平成19)年度に「若者利用者増アクションプラン概要作成チーム」が発足した。その会議の中で、YA対象のホームページ作成が提案され、以下5点をポイントに作成が進められた。
HTMLの知識がなくても迅速な更新を可能とするCMS(1)を導入したコンテンツを含め、大きく分けて以下の6つのコンテンツから成る。
@トップページ
サイトの対象とサイトの狙いを明確に伝え、「そうや!図書館に行こう!」のキャッチコピーとリード文、YA世代の写真が掲載されている。
Aみんなで楽しむ
「みんなのQ&A集」「みんなの書き込み板」「職員の日記帳」の3つから成る。
予め設定された「本について」「図書館について」「催し物について」の3テーマについての質問や要望を「みんなの書き込み板」で投稿してもらい、それをもとに、「みんなのQ&A集」で公開する。現在13項目のQ&Aを公開している。「職員の日記帳」は、図書館の仕事や本の話などを、ブログ形式で一般公開する。現在、76本の記事が掲載されており、平均すると毎月3〜4回の更新となる。
B図書館を使いこなす
「図書館ってこんなところ」「読みたい本、さ・が・そ!」に大別される。
「図書館ってこんなところ」は、簡単な図書館利用案内である。「『そんなとき、図書館へ』パネル」「レファレンスって何だ?」は2005(平成17)年度、2006(平成18)年度の当館職員の活動を活かした内容となっている。詳細については、「『そんなとき、図書館へ』−『図書館サービス紹介パネル』作成について」を参照されたい。
「読みたい本、さ・が・そ!」は、YA世代に向けた資料紹介である。 「Web版ヤングアダルトYA!YA!YA!」は、当館作成の資料紹介リーフレットのウェブ版である。 開設当初より遡及作業をはじめ15よりバックナンバーの閲覧が可能となった。毎回5〜6冊の本が紹介されており、 現在70まで発行済で288冊の本が掲載されている。また、8つのジャンル別や、キーワード検索が可能となっている。 「文学賞受賞作品」では、YA世代を対象に選んだ「日本ケータイ小説大賞」などをはじめ、当館未所蔵資料もあるが39の賞を紹介している。 「読書感想文全国コンクール課題図書」では、中学校の部と高等学校の部の課題図書を紹介している。 「ノーベル文学賞」はノーベル文学賞受賞作家の邦訳作品を、受賞理由作家の経歴とともに紹介している。
C調べものをする
「情報探索の基礎」として「分類記号と本の並べ方」「本を探す」の2つから成る。図書館やウェブ情報源を使っての調査方法を、イラストや図を用いて、見やすくなるように工夫されている。必要に応じて、リンク先の情報を参照できるようにした。
Dべんりやんサイト集
「仕事」「学校」「図書館」「本」「エンタテインメント」「大阪」「世界」「スポーツ」「知識」「こころとからだ」「その他」から成る。YA世代が興味をもつようなテーマ、役立つものを選んでいる。
Eその他
お知らせや開館日カレンダーなども掲載している。
記事作成などYAチーム(社会教育主事2名を含む、各課より構成されたメンバー)でおこなう。職員の日記帳については、全館的に職員に執筆を依頼し、起案作業などは、YAチームでおこなう。
2008(平成20)年12月 | :366件アクセス |
2009(平成21)年5月 | :1111件アクセス |
2010(平成22)年1月 | :1147件アクセス |
当館ホームページ内でのページ別アクセス頻度としては30位。中央図書館トップページが12559件で1位であり、続いて中央図書館開館日カレンダー7261件が2位となる。
mixi(ミクシィ)のようないわゆるSNS(2)や、ウィキペディアに代表されるようなwiki(3)の時代から、いまやTwitter(ツイッター)(4)がブームである。図書館からの情報発信の仕方も、今一度見直す必要があるだろう。
「みんなのQ&A集」「みんなの書き込み板」で、利用者の声を取り入れる機能は準備できたが、「書き込み板」への書き込みがほとんど無いという現状がある。情報の速報性(事務処理の煩雑さの解消)や双方向性も検討していかなくてはならない。
また、YA世代は圧倒的に携帯電話世代であり、PC対応のホームページから、今一歩踏み出すのか、技術が追いつくのを待つのか、難しいところである。
今回の原稿作成過程において、アクセス数の変化をとりたかったのだが、CGI(5)を使って、CMSを作成しているため、困難だった。アンケートを用いるなどして、当ホームページを客観視し、分析する必要もある。
さらに、広報手段としてチラシ作成などを計画中だが、このページを知らないYA世代が、ウェブ検索をした際に上位でヒットするような工夫が必要である。
YA世代の声をなかなかつかめないのも課題である。いつか、このページを支えてくれるYA世代の読みたい資料を収集することによって、図書館に来館してもらい、さらにはYA世代自身が当ホームページ作成などにも関わっていけるような環境が整えられればと思う。
YAサービスの中で、ホームページをどのように位置づけ、そのためにどう動いていくのか、開設から二年目を迎えるにあたって、考えていきたい。
※注
(1)コンテンツ・マネジメント・システムの略。「Webコンテンツを構成するテキストや画像、レイアウト情報などを一元的に保存・管理し、サイトを構築したり編集したりするソフトウェアのこと。
(2)ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略。「人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型のWebサイト。
(3)Wiki(ウィキ)とは、Webブラウザから簡単にWebページの発行・編集などが行なえる、Webコンテンツ管理システム。
(4)Twitterとは、今していること、感じたことなどを「つぶやき」のような短い文章にして投稿するスタイルのブログサービスの一つ。
(5)CGIとは、Webサーバが、Webブラウザからの要求に応じて、プログラムを起動するための仕組み。
以上(出典:「IT用語辞典 e-words」 http://e-words.jp)
※本稿は、小笠原弘之著「YA!YA!YA!べんりやん図書館--大阪府立図書館ヤングアダルト対象のホームページ・サービス」(『みんなの図書館』376 2008)を加筆したものである。