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古書の形態

更新日:2014年2月1日

書物の仕立て方、製本の方法を装訂といいます。

日本でも、昔からさまざまな装訂の書物が現れ,改良が加えられつつ今日私たちの目にする本の姿になりました。

ちなみに「ソウテイ」には「装訂」「装幀」「装釘」「装丁」などの字も用いられますが、「仕立てる」というイメージから「装訂」を用いることが一般的です(川瀬一馬『日本書誌学用語辞典』雄松堂出版 1982年、『日本古典籍書誌学辞典』岩波書店 1999年)。

本の装飾、意匠も「ソウテイ」といいますが、ここでは古書のさまざまな「綴じ方」についてご紹介していきます。

《巻子本 カンスボン》

巻子本

書物の装訂としては一番古い形式のものです。紙や絹を糊でつなぎ合わせて後方から巻き込んだものをいいます。巻物(マキモノ)、巻本(マキホン)、手巻(シュカン)ともいいます。 巻子本は開閉が不便な書物です。後ろの方に書かれた部分を少し確認するためだけでも、全部を開いていかなくてはなりません。さらに丁寧に巻き取らないと形が崩れるなど取扱が不便なものでした。読書量の増加にも耐えにくいものとして、やがて新しい本の形が生まれることになります。

《折本 オリホン》

文字の書かれた紙を糊でつなぐところは巻子本と同じで、巻子本を折り畳んだものです。紙を一定の幅に折って畳むことで、開閉の不便さは解消されました。帖装本(ジョウソウボン)ともいいます。この形態が多いものにお経があります。

《旋風葉 センプウヨウ》

中国からきた書物によく見られます。折本の表紙の上下を1枚の紙でつなげた装訂をいいます。風に当たると各葉が翻るために「旋風葉」の名がついたとされています。同じ様式で背に糊付けした書物もありますが、風に翻らないので、これを旋風葉とするかは意見の分かれるところです。藤井隆氏はこれを「固定式旋風葉」と呼んでいます。

《畳物 タタミモノ》

地図など、1枚の紙をそのまま利用した書物を一枚物といいますが、これを折り畳んで表紙をつけた時、「畳物」といいます。

《粘葉装 デッチョウソウ》

折本や旋風葉では紙を折るために、どうしても痛みが生じます。その解消のために生まれた新しい装訂の方法が粘葉装です。
文字の書かれた面を内側に入れこんで折り、折り目の外側を糊付けした書物です。したがって、文字の書かれたページと書かれていないページが交互に現れます。ただし、日本では文字を両面に書写または印刷したものが多く、こうした場合には空白ページは生じていません。

《綴葉装 テッチョウソウ》

列帖装(レッチョウソウ)ともいいます。
紙を重ねて2つ折りにして、これを2折以上糸で綴じた装訂で、今のノートがこの綴り方に近いものといえます。 結びが内側にあるのが特徴です。日本で発展した装訂と考えられています。
糊で止める方法では糊がはがれたり、本が傷むために糸で綴じる方法が生まれました。

《袋綴 フクロトジ》

線装本(センソウボン)ともいいます。文字の書かれた面を外側に2つ折りし、これらを重ねて折り目の反対側を糸で綴じます。和本・唐本・韓本の一般的な装丁の方法です。

「四針眼訂法」…綴じ穴が4つのもの。中国、日本の書物の一般的なかたち。

「五針眼訂法」…韓本は大型本のため、綴穴が5つありました。

《大和綴 ヤマトトジ》

綴葉装や袋綴の綴じ方で、1・2ヶ所仮綴したものをいいます。装飾本を組紐で綴じる場合が多く、そのために普通の糸で仮綴したものを大和綴としない考え方もあります。
綴葉装が日本独自の発展をとげたことから、これを「大和綴」と称することも多かったようです。そこで、大和綴を「結び綴」にすべきである、という考えも出されています。

【参考文献】

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