大阪府立図書館

English 中文 한국어 やさしいにほんご
メニューボタン
背景色:
文字サイズ:

「はらっぱ」 No.34 令和2(2020)年の記録 国際児童文学館 イベント紹介

更新日:2021年3月31日


「はらっぱ」 No.34 令和2(2020)年の記録 国際児童文学館 イベント紹介

掲載日:2021年3月31日更新

大阪府立中央図書館 国際児童文学館

令和2年、国際児童文学館は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、令和2年3月3日(火曜日)から5月15日(金曜日)まで休館となった。開館後は、感染拡大防止に努めながら、子どもの本に関するイベントや貴重な所蔵資料を紹介する展示等を開催した。ここでは、1月から12月の活動の中から紹介する。イベントの概要や資料リストは国際児童文学館ホームページに掲載している。併せてご覧いただきたい。
【大阪府立中央図書館 国際児童文学館 イベント情報】
https://www.library.pref.osaka.jp/site/jibunkan/kiroku.html

ワークショップ「大人も絵本で考えよう!『共生』をキーワードに」(令和元年度)

「専門協力員」※である住まいの絵本館(NPO法人子どもと住文化研究センター)の協力のもと開催した。(※国際児童文学館では、児童文学・児童文化に関する高い専門性を有する外部の研究者等に、当館資料を活用しつつ運営にも協力していただく「専門協力員」制度を実施している。)
令和2年1月18日(土曜日)、ITが暮らしの中に浸透してきた今、改めて「共生」について考えることをテーマに開催。参加者24名。

●ミニ講義

中村孝之さんから、「変化する住まいと住宅新時代」として戦前から戦後にかけての暮らしの変化についてご講義いただき、続いて北浦かほるさんから、少子高齢化社会の家族像と住まいの絵本から捉える「共生」についてご説明いただいた。

●絵本プロジェクト

スクリーンに絵本を映しながら実施。久好素子さんが『おだんごスープ』(偕成社 1997.11)を、飛田優子さんが『ピンクのれいぞうこ』(ひさかたチャイルド 2010.10)をとりあげ、「人との繋がり」や「新しいことを始めて世界を広げる」を重点に置いた解説があった。

●ワークショップ

5つのテーマに分けた絵本を4班に分かれて読み、「共生」をキーワードに、グループ内で意見を出し合った。話し合いの時間が足りなくなるほどグループ内で活発に意見交換されていた。

令和元年度の絵本プロジェクトの風景写真

遠隔講座「講演と新刊紹介 2019年に出版された子どもの本」

令和2年6月26日(金曜日)から7月31日(金曜日)、動画配信(「YouTube」での限定公開)の形で開催し、日本全国から1558名の申込があった。
大阪府立中央図書館で毎年開催している「講演と新刊紹介 ○○○○年に出版された子どもの本」は、前年1年間に発行された児童書について解説と紹介を行う講座で、一般財団法人大阪国際児童文学振興財団総括専門員の土居安子さんによる講演と、当館の専門協力員である科学読物研究会の西村寿雄さん、当館国際児童文学館及びこども資料室の職員による絵本・読物・知識(自然科学、社会科学)の本の紹介で構成している。
例年5月の連休明けの週末に3日間開催しているが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大により、初めて動画での開催となった。
講座の申込者は紹介する資料の一覧をPDFでダウンロードできるようにしたが、希望者には先着100名で郵送での資料配布も行った。また、動画配信開始に合わせて、7月1日(水曜日)から7月31日(金曜日)まで、国際児童文学館とこども資料室内で紹介資料を展示した。
動画での開催については、遠方でも参加できる、好きなペースで見られるなどのご意見をいただいた一方で、話を聞いてすぐ本を手に取れる会場での開催を望む声もいただいた。

資料小展示「日本の子どもの本~珠玉の30選~」

新型コロナウイルス感染拡大防止対策に伴う予約制による利用が解除された令和2年7月1日(水曜日)から、室内小展示コーナーにおいて開催(9月13日(日曜日)まで)。
本展示は、平成28年度、30年度にも国際児童文学館の定例小展示として企画したものである。
国際児童文学館では、80万点に及ぶ貴重な資料を所蔵している。その中より、巖谷小波『こがね丸』、呉文総『八ツ山羊』、宮沢賢治『注文の多い料理店』、江戸川乱歩『怪人二十面相』、なかがわりえこ『ぐりとぐら』、巖谷小波著・杉浦非水ほか画『日本一ノ画噺』など、30点を紹介した。今年は移転開館10周年ということで、『日本一ノ画噺』は特製本棚とともに展示した。特製本棚付きで現存するのは国内では当館のみで、貴重な資料である。
会期中にアンケートを行い、「時代の背景や空気感が本1つ1つに表れているなと感じた」「貴重なものを見せてもらって嬉しかった」などの声をいただいた。特に『日本一ノ画噺』に興味を持たれた方が多かった。アンケートの回答者には、オリジナル絵葉書をプレゼントした。

資料小展示「日本の子どもの本~珠玉の30選~」の展示風景写真

出張資料展示「フランダースの犬-ネロとパトラッシュのさまざまな姿-」展

令和2年8月7日(金曜日)から9月2日(水曜日)の期間、大阪市立中央図書館1階エントランスギャラリーにおいて開催した。
当展示は大阪市立中央図書館主催(協力:当館)で、国際児童文学館の資料を広く知ってもらうという趣旨で企画され、当館から展示キャプション等がセットになっている「国際児童文学館展示用貸出パック」を提供した。
内容は、昨年に当館室内小展示コーナーで行った同タイトルの展示と同内容(明治から平成にかけての様々なネロとパトラッシュの姿を貴重な初期翻訳作品の数々と共に紹介)であるが、当館の紹介も併せて行った。
展示した資料は76点。当館職員が搬送し、展示設営を行った。
展示期間中に、大阪子ども文庫連絡会児童文化講座が開催され、多くの講座参加者や、野坂悦子さん(翻訳者)もご覧くださったと大阪市立中央図書館の担当者から伺った。

出張資料展示「フランダースの犬-ネロとパトラッシュのさまざまな姿-」展のチラシ

【「国際児童文学館展示用貸出パック」のご案内】
https://www.library.pref.osaka.jp/site/jibunkan/tenjipack.html

「むかしの紙芝居を楽しもう!」実演および関連資料展示

●街頭紙芝居実演

令和2年10月3日(土曜日)、一般財団法人大阪国際児童文学振興財団と共催で多目的室にて開催し、のべ53人の参加者があった。
塩崎おとぎ紙芝居博物館(大阪市西成区)の紙芝居師である古橋理絵さん・古山千賀子さんに、街頭紙芝居を実演していただいた。新型コロナ感染拡大防止のため、参加定員を限定し、ビニールシートごしでの実演となったが、それを感じさせない、熱気あるイベントとなった。演目は、ほのぼのとした『チョンちゃん』、博士の薬を巡り怪人と闘いを繰り広げる『コントラット』、宿命の姫を忍者として育てる『女忍者』と続き、鳴り物も交えた紙芝居師さんの緩急ある語り口に会場中が引き込まれた。最後のクイズではたくさんの手が上がり大いに盛り上がった。

街頭紙芝居実演の風景写真

●資料展示

実演イベントにあわせて、令和2年9月19日(土曜日)から11月8日(日曜日)、室内小展示コーナーにて街頭紙芝居の展示を行った。
当館では、故・塩崎源一郎氏が紙芝居の絵元(制作元)として設立した塩崎おとぎ紙芝居博物館(三邑会(さんゆうかい))から寄贈された貴重な街頭紙芝居コレクションを所蔵している。この中から、代表的な画家6人の作品を取り上げ、画家の解説とともに展示した。手塚治虫との共作『新宝島』で知られる酒井七馬(さかい・しちま)=左久良五郎(さくら・ごろう)の『宇宙少年』や、小寺鳩甫(こでら・きゅうほ)=熱田十茶(あった・とさ)の『大久保彦左衛門』、塩崎氏から日本一の紙芝居画家と称された佐渡正士良(さわたり・しょうじろう)の『南海の果て』、宇田野武(うたの・たけし)の『鉄拳』、くつなつとむの『もう半分』、相馬一平(そうま・いっぺい)の『シルバープリンス』などである。
また、昨年につづき塩崎おとぎ紙芝居博物館のご協力により、同館所蔵の日本画も展示し、紙芝居画家の幅広い活動を紹介することができた。
なお、当館所蔵の街頭紙芝居約4千巻の絵のデジタル画像をホームページに公開している。

【大阪府立中央図書館国際児童文学館所蔵 街頭紙芝居】
https://www.library.pref.osaka.jp/central/kamishibai/index.html

「むかしの紙芝居を楽しもう!」関連資料展示の風景写真

企画展示「国際児童文学館移転開館10周年記念 しかけ絵本に驚く、楽しむ -イギリスの歴史からはじめて-」および関連講演会

令和2年11月13日(金曜日)から12月27日(日曜日)、中央図書館1階展示コーナーおよび国際児童文学館で開催した。
国際児童文学館では、海外で出版された児童向け図書や児童文学研究書等も一部所蔵している。この度、三宅興子さんよりご寄贈いただいた海外の資料の中からしかけ絵本をテーマに選び、200年ほどの歴史を辿りながら、多様なしかけに読者はどう驚き、楽しんできたかを紹介した。
展示作品選択と解説執筆には、三宅興子さん(大阪国際児童文学振興財団特別顧問・梅花女子大学名誉教授)ならびに一般財団法人大阪国際児童文学振興財団にご協力いただいた。
内容は、まず1800年代に出版されたしかけ絵本の始まりと言われている折り返し本から始まり、組み合わせを楽しむものや着せ替え人形本、フラップをめくるしかけ絵本、のぞきからくり本、パノラマ本、ロウザ・メッゲンドルファーのしかけ絵本、だまし絵、音が出る絵本などを展示した。
後半は20世紀に入りポップ・アップ絵本の時代に作られたヨーロッパのしかけ絵本シリーズとして、ブッカーノ童話集とヴォイチェフ・クバスタの昔話ポップ・アップ絵本、アメリカのしかけ絵本としてジュリアン・ヴェーアのしかけ絵本、ウォルト・ディズニーのアニメーション映画からつくられたしかけ絵本を並べた。続いて、20世紀後半から現代に出版されたデビッド・ペルハム『ひときれのケーキ』やロバート・サブダ『オズの魔法使い』、デビッド・カーター『一つの赤い丸』、ジャン・ピエンコフスキー『おばけやしき』などを展示した。
最後に、しかけ絵本の名手とユニークな作品群として様々なしかけがある絵本や日本で1931年に出版された『お伽の森』を紹介した。
展示会場では、しかけが動く様子が分かる動画を上映した。また、国際児童文学館内では体験コーナーとして実際に触れることができるしかけ絵本を数種類展示し、子どもから大人まで楽しんでおられた。
本展示が移転開館10周年記念として開催されたことから、アンケートにご協力いただいた方には、国際児童文学館移転開館10周年記念クリアファイルをプレゼントした。

企画展示「国際児童文学館移転開館10周年記念 しかけ絵本に驚く、楽しむ -イギリスの歴史からはじめて-」の展示風景写真

●関連講演会

11月28日(土曜日)に多目的室で関連講演会「しかけ絵本に驚く、楽しむ-イギリスの歴史からはじめて-」(講師:三宅興子さん、主催:大阪国際児童文学振興財団)が行われた。コロナ禍であることから参加人数を減らし、その代替に後日、オンライン配信も行った。講演当日は会場にしかけ絵本の体験コーナーも設けられた。

ワークショップ「大人も絵本で考えよう!2020『共生』をキーワードに」(令和2年度)

令和2年12月5日(土曜日)、前年度のテーマを引継ぎ、「共生」をテーマとした。19名の申込者中、開催直前に大阪府のコロナ対策のレベルが上がり、参加者8名に。感染染拡大防止対策をした上で開催した。

●ミニ講義

北浦かほるさんから、「住まいの絵本による共生の学び直し」と称して、日本と欧米を比較しながら歴史的な背景による共生の考え方の違いなどをご講義いただいた。

●絵本プロジェクト

久好素子さんが『プールーとセバスティアン』(セーラー出版 1990.2)、谷口美紀子さんが『ぼくのおじいちゃん』(アノニマ・スタジオ 2017.3)の絵本映像をもとに、「自分と違う暮らし方の人を受け入れること」などを重点に置いた解説があった。

●ワークショップ

2班に分かれ、共生の「国や異文化・社会の関係」と「生き方」の2つの内容に限定して、関連した絵本を各自2~3冊ずつ読み、意見交換後に全体発表を行った。「共生」というキーワードから発展して絵本論や社会情勢など、多岐にわたり議論が盛り上がった。

令和2年度のワークショップの風景写真


PAGE TOP