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「はらっぱ」 No.33 大阪府域 図書館における科学遊びに関する実態調査報告

更新日:2024年2月21日


「はらっぱ」 No.33 大阪府域 図書館における科学遊びに関する実態調査報告

掲載日:2020年3月31日更新

 「はらっぱ No.33」を作成するにあたり、府域市町村の現状を把握するため、実態調査を実施した。あわせてチラシ等をお送りいただくなど、お忙しい中、ご担当の方々には多大なご協力をいただき、誠にありがとうございました。

調査概要

・調査対象:大阪府域市町村図書館および公民館図書室(複数館ある場合は主に中心館について)
・調査時期:令和元年12月
・回収率:97%(42市町村)※未回収の1自治体(守口市)は開館準備中のため
※( )内の数字は同様の回答があった市町村数
 なお、今回調査の【科学遊び】は、図書館内で開催している子どもの科学への興味を引き出す実験や工作、科学にまつわる講演会等を対象とした。学校等に出向いてのもの、また定例行事(毎週のおはなし会や毎月の工作教室等)の中で行われたものは省いた。ただし、問6で定例行事の中での実施の有無について尋ねた。

<設問>

問1.科学遊びや科学に関するイベントを行っていますか(ここ5年以内)【選択】
[1]過去行っていたが、今は行っていない⇒問2~問8へ
[2]行っている⇒問3~問8へ
[3]今まで行ったことがない⇒問4~問8へ
 
問2.なぜ行わなくなったのか、理由があれば教えてください【複数回答可】
□人員不足 □予算不足 □参加者が少ない □必要性を感じない その他( )
 
問3.どのような内容か、教えてください(過去行っていたものも含め分かる範囲で)※別シート
 
問4.科学遊びや科学に関するイベントを行う上で課題となる点を教えてください【自由記述】
 
問5.イベント以外で、【科学】に関連した児童サービスの取り組みがあれば教えてください【自由記述】
 
問6.上記のイベント以外に、定例行事などの中で科学遊びを行ったことがありますか【選択】
[1]行ったことがある [2]行ったことがない
 
問7.これから取り組んでみたい科学遊びや科学に関するイベントなどがあれば教えてください【自由記述】
 
問8.大阪府立中央図書館に科学遊びに関して望むことなどがあれば教えてください【自由記述】
 

問1.科学遊びや科学に関するイベントを行っていますか(ここ5年以内)

[1]過去行っていたが、現在は行っていない 5
[2]行っている 18
[3]今まで行ったことがない 19

問1の結果の円グラフ

問2.なぜ行わなくなったのか、理由を教えてください(複数回答可)
・人員不足(2)、予算不足(2)
・定期的な実施が難しく、単発事業となりその後の図書館利用に結びつきにくい。
・テーマを固定して定期的に実施している講座はなく、毎年内容が変わるため。(科学をテーマにしたものを行ったこともある)
・科学遊びの講座は、読み聞かせやリサイクル工作など様々な内容の講座の一つとして開催するので、年度により企画内容が変わる。

問3.どのような内容か、教えてください(過去行っていたものも含め分かる範囲で)※問3回答

問4.科学遊びや科学に関するイベントを行う上で課題となる点を教えてください(自由記述)
問4の結果の棒グラフ
 通常図書館でイベントを行う上で課題となる「講師探し」「人員」「予算」「場所」以外にも、「材料・道具」「参加人数」「科学的な知識」「安全性」についても課題として挙がった。
▼講師探し:(9)▼テーマ選び:(8)
・科学に関する知識及び児童書に関する知識の両方を持つ講師を見つけること
・小学生が理解できる、興味を持てる内容
・幅広い年齢層を対象にしたいがそうするとテーマ選びが難しい
▼人員:(9)▼予算:(15)▼材料・道具:(13)
・講師を依頼する謝礼金や材料を用意するための費用
・事業を手伝ってくださるサポーターの確保
▼場所:(11)
・火が出るもの、臭いのあるもの、水を使うもの等の実験が困難
▼参加人数:(5)
・参加人数の集まりが悪い
・会場となる場所、内容、材料によって参加できる人数に制限がある
▼科学的な知識:(9)▼安全性:(3)
・講師依頼をせず自館で行う場合には「なぜそのようになるか」の説明などが必要だが、知識不足
・適切な指導が行える職員が不在
・知識やスキルが乏しく頻繁に気軽に行えずにいる
▼その他:(10)
・科学遊びを紹介する本についての選定と保存(新しい本ばかりとは限らない)
・毎週必ずおはなし会を開催しており、これ以上のイベントを開催する必要性を感じていないため
・対象となる子どもたちが参加しやすい日程を確保すること

問5.イベント以外で、【科学】に関連した児童サービスの取り組みがあれば教えてください
 問1で「イベントを行ったことがない」と回答した19市町村のうち、イベント以外の取り組みを回答したのは7市町であった。
○時期やトピックに合わせた展示
夏休みに「自由研究」についての本、梅雨の時期に「気象」の本、ノーベル賞の受賞発表の時期に「科学の本」を展示するという回答があった。また、天体観測を行うときやはやぶさのニュースに合わせて、「宇宙」の本を展示するという回答も複数見られた。その他のテーマとしては、「昆虫」「地震」「人体の中身図」「カエル」「音」など。
○その他の展示
・特集テーマに合わせたペーパークラフトを展示
・エントランスロビーで宇宙の展示を行い、顔出しパネルを設置。はやぶさに関する新聞情報を掲示
・創刊○周年記念で『かがくのとも』、『たくさんのふしぎ』の所蔵している本をすべて展示
・『リアルサイズ古生物図鑑』のパネルの展示と館内全体を使って、恐竜等の飾りつけをした
・「科学道100冊ジュニア」で取り寄せした冊子の配布と掲載している資料の展示
※「科学道100冊」「科学道100ジュニア」…理化学研究所と編集工学研究所が共同で推進しているプロジェクトで、リスト掲載の本を展示する団体へ書棚ツール一式とブックレットを無償で提供(要申込)
○他機関主催のイベントに協力
・図書館と同じ建物内にある「自然体験学習室」が主催する行事を行う際、会場に図書館の本を展示し、貸出を行っている
・市民ボランティアが制作した市内の野生動物の手作り作品や写真等を、本と一緒に展示(子どもたちから募集した絵や作品も)
・自然博物館の学芸員や研究員を講師に迎え、図書館と博物館合同のおたのしみ会や標本、パネルの展示を行った
・市民団体主催で閉館後の図書館の屋上で星空の観察会を実施した(関連資料は事前PRで展示)

問6.上記のイベント以外に、定例行事(毎週のおはなし会や毎月の工作教室等)などの中で科学遊びを行ったことがありますか
 「行ったことがある」と回答したのは9市町。問1で「イベントを行ったことがない」と回答したが、定例行事の中では行ったことがあると回答したのは3市であった。

問7.これから取り組んでみたい科学遊びや科学に関するイベントなどがあれば教えてください
今まで科学遊びに取り組んだことがない市町村の中にも、科学絵本や科学に関する本の展示、リスト作成や科学工作に取り組んでみたいという回答があった。
(その他の回答)
・「図書館を使った調べる学習コンクール」の作品作りや本の貸出につながるようなイベント
・子どもたちが実際に実験を体験する科学遊びをし、関連本をブックトークで紹介する講座
・実験や観察を通して自分の考えをまとめるなど、調べ学習に繋がるイベント
・夏休みの自由研究の参考にしてもらえるような科学遊び

問8.大阪府立中央図書館に科学遊びに関して望むことなどがあれば教えてください
 「科学遊びの事例と講師の紹介」または「科学遊びの職員研修」を望む声が多かった。科学関係の講演会だけでは人が集まりにくいため、実験や工作を通じて子ども向けや親子で参加できる講座ができる講師の紹介をしてほしいという意見もあった。一方で、小規模会場であまり道具(特にはさみやカッター等の刃物)を使用しなくてもできる科学遊びや、職員が定例のおはなし会とあわせて実施できるような科学遊びを知りたいという意見もみられた。
 外部から講師を呼べない場合も、科学絵本の後ろに載っている簡単な実験を試したり、どんぐりやまつぼっくりなど実物を用意しておはなし会の中で子どもたちに触ったり観察したりしてもらう、などの方法もある(終了後はカウンター前などに資料とともに展示)。参考になる図書リストや府立中央図書館での実践報告を後半に掲載しているのでご参照いただきたい。

 

問3.どのような内容か、教えてください(過去行っていたものも含め分かる範囲で)

<集計結果>
事例数:45(23自治体)

1 主催

図書館独自 12
他機関連携 27
その他 6

他機関連携先(主なもの、五十音順):
・大阪管区気象台
・大阪市環境局
・NPO法人大阪自然史センター
・大阪市立科学館
・大阪市立自然史博物館
・科学読物研究会
・国立研究開発法人理化学研究所
・NPO法人子ども・宇宙・未来の会(KU-MA)
・JAXA宇宙教育センター
・日本弁理士会
・パナソニック(株)ライフソリューションズ社

 

2 開催時期

夏休み 24
随時 4
その他 17

 半数は夏休みの開催であった(自由研究の参考にしてもらうため夏休み前半など)。その他(17)としては、市主催の他のイベントと重ならないこと、連携先や講師の方の都合に合わせて決めるなどが挙げられた。
 子どもが集まるときに開催するところが多い一方で、逆に来館が少ないと感じる時期にあえてイベントをし、集客を狙う館もあった。また、夏休みに行うことで、土日ではなく平日にイベントを行うことも可能になる。

 

3 実施対象と定員

<実施対象>(複数回答可)
未就学児 22
小学校低学年 39
小学校中学年 44
小学校高学年 39
中学生 17

 全体的に「小学生」を対象としたイベントが多かった。未就学児~小学校中学年ぐらいまでの低年齢を対象としたもの、反対に小学校中学年以上のある程度1人で作業できる年齢を対象としたものもあった。

 「兄弟の下の子も数人いて、対象年齢外の子にも一緒に工作してもらった」、「未就学児(場合によっては低学年)は保護者同伴とした」ほか、逆に保護者同伴を断るケースもあった。想定よりも低年齢の参加者が多数だったときに、「応用はせず、基本のものを作った」という回答もあった。また、小学校1・2年/3・4年/5・6年の3回、小学校1~3年/4~6年の2回、というように対象年齢で分けている事例が1件あった。

<募集定員>
1~10人 1
11~20人 12
21~30人 14
31人以上 14
決めていない 2

※無回答2

 「1~10人」のところでは、1回の定員は少人数とし、3回行っていた。「決めていない」という回答では、サイエンスショーや大規模な展示、複数のワークショップなどを行っていた。

 

4 参加費(材料費含む)

徴収した 3
徴収していない 41

※無回答1

 参加費(材料費含む)を徴収したのは、高額な材料を講師の方が用意するようなケースであった。
○材料はどのように用意したか
・図書館が購入
・段ボールやペットボトルをリサイクル
・参加者持参
・連携機関がすべて用意(講師謝礼に材料費等込)
 講師に依頼する場合でも、講師側、図書館側両方がそれぞれ別々の材料・道具を用意するという回答が多かった。一方で、「連携先が木や竹など自然に存在する物を利用して自然体験学習室の場を設けており、多種類の材料がある」という例もあった。

 

5 関連する絵本等の読み聞かせ/イベントに合わせた資料展示

<関連する絵本等の読み聞かせ>
行った 9
行っていない 35

※無回答1

<イベントに合わせた資料展示>
行った 34
行っていない 10

※無回答1

  絵本の読み聞かせを行った 絵本の読み聞かせを行っていない
資料展示を行った 7(15.9%) 27(61.4%)
資料展示を行っていない 2(4.5%) 8(18.2%)

 イベントに合わせて資料展示を行った(34)のうち、「イベント開催日のみ」は19件、「イベントの前後の期間」は15件であった。

 

6 市町村の具体的な取り組み

※たくさんの個別事例をお寄せいただきましたが、紙面の都合上、その中から一部ご紹介します。

6-1 大阪市

●「おやこで学ぼう!お天気&防災実験教室」
他機関連携
連携先:大阪管区気象台
開催時期:夏休み(自由研究のヒントと、9月の防災月間のPRにもなるよう8月に実施)
募集定員:31人以上(80名)
対象:未就学児から中学生(どなたでも)
【講演会】
気象台の専門家によるお天気と防災のお話
【実験】
気象台ならではの実験器具をつかった実験
【読み聞かせ】
お天気に関する絵本を司書が読み聞かせ
【絵本展】
お天気にちなんだ絵本展。来場記念に、当館デジタルアーカイブオープンデータを活用したコラボ企画限定ブックカバーをプレゼント、気象庁マスコットキャラクター"はれるん"も来館。

参加費は徴収しておらず、材料は講師側が用意。イベント開催日のみ資料展示。
参加者より「雲をつくれてたのしかった」「家に帰ったら地震の話をしてみる」など参考になったと好評の声をいただいた。
気象台では天気のことなどを身近に感じてもらえるよう、夏休み期間を中心にイベントの開催をしており、図書館より共催イベントができないか持ち掛け、実現した。

6-2 豊能町

●科学の絵本を楽しもう
他機関連携
連携先:科学ボランティア夢LABO(豊能科学工作教室)
開催時期:年3回(夏冬春休みに各1回)
募集定員: 11人から20人(正確には11組から20組)
対象:小学生(保護者同伴可)
【内容】
科学に関する絵本の読み聞かせや紹介と実験・観察・工作
・第1回 しゃぼんだまとあそぼう
・第2回 ふゆめがっしょうだん
・第3回 かみひこうき
・第4回 むしたちのさくせん
・第5回 大昔の生きものが石になった~化石~

 参加費の徴収は基本的にはしておらず、大方の材料を講師側が準備し、一部は図書館が用意。講師の話をしっかり聴き、それについての実験・観察・工作などの活動を体験した。科学絵本の事項を具体的に体験でき、「理科・科学の面白さ」を体感したことで、科学絵本への興味、およびその分野への関心がわき、充実した時間を過ごせた様子であった。
 以前より、科学や理科の本に関する講座を行いたいという意向が図書館にあったこと、図書館員が理科読に関する講座を受けたこと、また、町内で児童・生徒向けの科学に関する活動をしている団体の協力があったこと等により、開催に至った。

6-3 吹田市

●ペットボトルであそぼう!「うきしずみする ふしぎなサカナ」
図書館独自
開催時期:夏休み
募集定員:11人から20人
対象:小学校低学年から中学年
【内容】
ペットボトルをにぎると、中の魚やイカが浮いたり沈んだりする、科学工作。

 参加費は徴収しておらず、市内の図書館から使用済みのペットボトルを集めた。資料展示は行っていない。
 夏休みに例年行なっている工作の行事が、その年は科学工作になった。一番人気はネコ、次いで、イカを作る子が多かった。完成後、子どもたちは、ペットボトルをにぎって動かしてみるだけではなく、逆さにしたり、横向きにして転がしてみたりと、沈む速さを競争させたりと、とてもうれしそうだった。
 その他、吹田市の千里山・佐井寺図書館では「吹田図書館ともの会」と共催し、科学遊びを毎年行っている。
・色水を使ったスライム作成と実験とおきあがりこぼしの作成
・『よわいかみつよいかたち(かこ・さとしかがくの本 8)』(かこさとし/文・絵 1988.9 童心社)を紹介し、その内容を実験する。
・糸でんわを作って、音の伝わるふしぎを実験
・トリック工作を作って、見え方の不思議を実験
・わゴムを使って実験や工作(わゴムの力で進むゴムまき車、足がひらひら回るたこ)

6-4 熊取町

●ワークショップ「おしえてハカセ!化石クリーニング」
他機関連携
連携先:大阪市立自然史博物館、NPO法人大阪自然史センター
開催時期:6月(夏休みの宿題の参考になるように、夏休み前の行事などが少ない6月に開催)
参加人数:31人以上(20名×2回)
対象:未就学児から小学生
【内容】
 化石について紙芝居などを見て学び、学芸員による化石のクリーニングの実演や体験、また本物の化石も観察した。最後に観察した化石についてのカードを作成した。

 参加費は徴収しておらず、材料は連携先が準備。イベント開催の前後の期間に関連資料を展示。
顕微鏡による化石の観察や本物の化石を見ることができたので、子どもたちは興味津々で、終了後も学芸員の方に質問をしていた。また、普段子どもたちが借りる機会が少ない大人向けの化石の本や郷土資料(学芸員の方が執筆者のため)が貸出されていた。
 実施のきっかけは、「図書館を使った調べる学習コンクール」(図書館振興財団主催)のテーマ選びの参考になるよう、科学関係の事業を開催したいと考えた。そこで、府立図書館で大阪自然史博物館の方が講師となった事業のチラシを拝見したため、依頼した。本来ワークショップを行う担当はNPO法人大阪自然史センターになるのだが、博物館の学芸員の方が町内在住であったため、特別メニューを考えてくださり、開催することとなった。
 好評であったため、翌年、そのまた翌年も開催。「はりはり恐竜はりえ」では、レプリカの恐竜の歯を観察。現在でも恐竜の体の色は、研究者でもはっきり分からないため、子どもたちが考えた恐竜の色を色画用紙で貼り、貼り絵を作成した。
 「ビックリ!むし・ムシ親子」では、昆虫の標本と幼虫カードを見ながら、この幼虫は大きくなったらどの昆虫になるのかを考え、キーホルダーを作成した。

6-5 泉南市

●図書館・本と工作のひろば「科学マジック!紙のふしぎ実験」
図書館独自
開催時期:夏休み
募集定員:31人以上(40名×2回)午前/午後
対象:小学生
【内容】
 紙をテーマにした、簡単にできる科学実験を行う。絵本の読み聞かせや、関連本の紹介も行う。

 参加費は徴収しておらず、新聞紙や画用紙等、材料は職員が準備。イベント開催の前後の期間に資料展示。
 新聞紙を折った花が水に浮かべると花弁が開いていく等、身近なものを使って驚きの体験ができ、楽しんでくれた。
 科学に興味をもってもらい、科学の本の貸出につながればと思い、2~3年ごとに科学実験を開催。「図書館→本→紙」とつながることもあり、また準備物が簡単に手に入るので、家でも楽しめるためテーマを「紙」にした。

 

7 まとめ

<科学遊び・講演会のテーマ>
外来生物 昆虫 恐竜
気象 化石
宇宙 錯覚 浮力
エネルギー 弾性力

 個別事例のテーマとしては、プラネタリウム等の「宇宙」が複数挙がったが、様々なテーマで開催されていた。また「気象」と併せて、近年関心の高まる「防災」を意識した構成があった。親子で参加するイベントもあり、保護者の興味・関心をひくことで、子どもを連れて来館するというきっかけづくりになることも考えられる。
 今回の実態調査の中で、「開催することになった経緯」を質問したところ、「外部からの持ち込み企画」「他市での取り組みを参考にした」「以前の講師の方から、他の講師の方を紹介していただいた」など様々な回答があった。
<継続性>
 他機関との連携では、予算がついたため突発的に行われたものもある。しかし、その地域で科学遊びや自然工作を行う活動をしている団体、あるいは市町村内在住の科学関連施設職員と連携し、関係性を築くことで、毎年様々にテーマを変えながら継続して開催している図書館もあった。
<外部連携>
 「他施設のイベントの広報のため」開催に至った例もあり、図書館に出張して何かをすることで、本体のイベントを周知する狙いもあるとみられる。
 外部からの提案で共催する場合にも、そこに図書館としてどう協力できるか、様々な検討の余地がある。関連した資料を用意したり、展示したい資料がほとんど貸出中で少ない場合はブックリストをイベントで配布したり、図書館だからこそできるサービスを加えていくことが期待される。
 読み聞かせを行ったイベントは今回少なかったが、高学年以上向けのイベントではブックトークをすることもありうる。また、「前年度に実施した科学系イベントの際に貸出冊数が倍増」という回答もあり、効果を計測し、報告することで次の開催につなげやすくする工夫もみられた。
 講師については、「教員」という例もあった。科学的な知識を持ち、実験器具の扱いや実験の経験もあり、子どもたちに適切に伝えることのできる人物として、理科系の教員の協力を得る方法も考えられる。回答によると次のとおり。
・図書館で科学関連のイベントをしたいと教育委員会の学校所管課にたずねたところ、市内府立高校の教師を紹介された。その教師が市内在住であったことから、その後の講師を依頼することとなった
・地域のボランティアの仲介で、小学校で理科を教えていた方が毎年講師をされている
<参加者の反応>
 子どものたちの反応を聞いた設問では、「興味を持って」「考えながら」「楽しく」と好評の声が多数であった。自分で作るイベントでは、参加者の年齢によって進行等が難しいこともあるが、成功したときに自分で考えて試行錯誤する楽しさを感じることもできる。また、珍しい特別なものを使った普段はできない体験だけでなく、身近なものを使って驚きの体験をする方法もある。

 今回、5年以内に実施したイベントが対象のため回答結果に含めなかったが、15年以上前の実践事例も挙がっていた。「科学遊び」というものが、昔から親しまれ行われてきたものであるということが窺がえる。また今回の調査で対象外とした、学校等に出向いてのもの、おはなし会などの定例行事の中で行われているものも少なくない。
 今回の調査結果が、科学実験や科学的な体験を通して子どもの科学への興味を引き出し、科学の本と子どもを結びつける、各館に適した継続可能な方法を見つける手助けになればと思う。

 


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