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「はらっぱ」 No.32 国際児童文学館 イベント紹介

更新日:2024年2月21日


「はらっぱ」 No.32 国際児童文学館 イベント紹介

掲載日:2019年3月31日更新

大阪府立中央図書館 国際児童文学館

 平成30年、国際児童文学館では、子どもの本に関するイベントや貴重な所蔵資料を紹介する展示等を開催した。ここでは、その中からいくつかをとりあげて紹介したい。これらの概要や資料リストは国際児童文学館ホームページに掲載している。併せてご覧いただきたい。
【大阪府立中央図書館 国際児童文学館 イベント情報】
https://www.library.pref.osaka.jp/site/jibunkan/kiroku.html

「講演と新刊紹介 2017年に出版された子どもの本」および関連資料展示

●「講演と新刊紹介 2017年に出版された子どもの本」

 平成30年5月11日(金)~5月13日(日)、大会議室を会場に行った。
 平成29年度からプログラムをリニューアルし、前年1年間に発行された児童書について、一般財団法人 大阪国際児童文学振興財団総括専門員の土居安子さんによる講演および当館の専門協力員(※p.28で解説)である科学読物研究会の西村寿雄さんと国際児童文学館・こども資料室職員による個別紹介で構成している。
 講演では、土居さんが最近の子どもの本の傾向を「戦争と平和」「性を考える」「虐待」などのトピック別に紹介。その後【絵本】【よみもの】【知識の本】の3分野に分けて、200冊の新刊書を紹介した。年に1回3日間(1日コース×3回)同一内容を開催している。毎年西村さんには、ミニ科学実験も披露していただいている。今年は、身近な傘袋を利用したロケットで会場が大いにわいた。主な参加者は、図書館関係者・学校関係者・読書活動ボランティアなど298人で、近畿外からの参加もある。

●資料展示について

 イベント中の3日間は、紹介資料ほか主な新刊児童書を中会議室に展示した。開場時間は、イベント時間外ということで細切れではあったが、実際に本を手に取り、熱心にメモする姿が多数みられ、会場は熱気にあふれていた。
 イベント終了後(5月15日(火)より)は、国際児童文学館室内(~6月10日(日)まで)とこども資料室内(~6月3日(日)まで)で当日配布のリスト掲載資料を展示した。応募者多数のため、イベント当日に参加できなかった方や学校図書館の選書のための再確認などにご利用いただいた。このリストは、府内市町村図書館と国立国会図書館に配布している。当館こども資料室で貸出・複写も可能である。

「むかしの紙芝居を楽しもう!」実演および関連資料展示

●街頭紙芝居実演

 平成30年7月8日(日)、大阪国際児童文学振興財団と共催で多目的室にて開催し、86人の参加者を得た。
 塩崎おとぎ紙芝居博物館の紙芝居師である垣淵貞子さん・古橋理絵さんに、街頭紙芝居を実演していただいた。にぎやかな太鼓の音とともに始まり、ほのぼのとした『チョンちゃん』、マジックやクイズ、『桃太郎博士』、『智恵をつかえ』と続いた。実演の中での子どもたちとの掛け合いや、音が出るおもちゃ、軽妙な語り口を子どもも大人も一緒に楽しんでいた。子どもたちはクイズのときはこぞって元気よく手を挙げる一方で、後半は紙芝居から目を離さずに次の展開を想像しながら、じっと聞き入っていた。

街頭紙芝居実演の風景

●資料展示

 今年度は実演イベントにあわせて、平成30年7月3日(火)~7月29日(日)、国際児童文学館 室内小展示コーナーにて展示を開催した。
 当館には、故・塩崎源一郎氏が紙芝居の絵元(制作元)として設立した塩崎おとぎ紙芝居博物館(三邑会)から寄贈された貴重な街頭紙芝居コレクションがある。この中から、代表的な画家六人の作品を取り上げ、画家解説とともに展示した。手塚治虫との共作『新宝島』で知られる酒井七馬(さかい・しちま)=左久良五郎(さくら・ごろう)の『鞍馬小天狗』や、所蔵紙芝居の中の傑作と評価されている小寺鳩甫(こでら・きゅうほ)=熱田十茶(あった・とさ)の『孫悟空』、塩崎氏から日本一の紙芝居画家と称された佐渡正士良(さわたり・しょうじろう)『どんぐり横丁に集まれ』、宇田野 武(うたの・たけし)『海の鷹シーホーク』、くつな つとむ『少年龍騎隊』、相馬 一平(そうま・いっぺい)『風神雷神』などである。手描きで世界に1枚しかない作品は迫力満点だった。
 また当館所蔵街頭紙芝居のレプリカには、裏書も掲示し、ストーリーもあわせて楽しんでいただいた。
 塩崎おとぎ紙芝居博物館にも情報提供いただき、解説パネルを整えることができた。

街頭紙芝居資料展示の風景

 なお、当館所蔵の街頭紙芝居約4千巻の絵のデジタル画像をホームページに公開している。
【大阪府立中央図書館国際児童文学館所蔵 街頭紙芝居】
https://www.library.pref.osaka.jp/central/kamishibai/index.html

ワークショップ「大人も絵本で考えよう!日本の暮らしと北欧の暮らし」

 国際児童文学館では、児童文学・児童文化に関する高い専門性を有する外部の研究者等に、当館資料を活用しつつ運営にも協力していただく「専門協力員」制度を実施している。
 本イベントは平成30年12月1日(土)、専門協力員である住まいの絵本館(NPO法人子どもと住文化研究センター)の協力のもと、多目的室にて開催し、19人の参加を得た。

●ミニ講義

 代表の北浦かほるさんから、実際に北欧やアメリカで見学された保育園の写真などを見せながらお話いただいた。上田仁美さんからは、日本とノルウェーの基本的な情報について、図や表などのデータを基にご説明いただいた。
 その後、大きな画面を使って日本の絵本『おばあちゃんがこどもだったころ』と、ノルウェーの絵本『うちってやっぱりなんかへん?』を読みながら、絵本の中に描かれている家具や生活の様子について解説していただいた。

●トークセッション

 衣食住のライフスタイル、家族というそれぞれのテーマで班ごとに話し合った。絵本を読み、気づいたことをふせんに書いて模造紙の表の中に貼るという形式で、1960年代の日本とノルウェーの暮らしの比較、そして昔と現代との比較を行った。模造紙いっぱいにふせんが貼られ、活発な議論がされていた。「北欧」というテーマに関心を持って参加してくださった方も多かった。当日は北欧関係の本(図書館資料)と住まいの絵本(国際児童文学館資料)を展示した。

トークセッションの風景

出張資料展示 「江戸/明治/大正/昭和の大阪マンガ選」

 平成30年5月15日(火)~6月13日(水)、大阪府立中之島図書館3階大阪資料・古典籍室において開催した。
 近世資料を豊富に所蔵する中之島図書館の資料とあわせて、国際児童文学館所蔵資料の出張展示を行った。中之島図書館で国際児童文学館所蔵資料が展示されるのは今回が初めてである。
 大阪に縁のある作家、出版社の資料として、中之島図書館から耳鳥齋(にちょうさい)『歳時滅法戒』『絵本古鳥図賀比』、宮武外骨『滑稽新聞』、小寺鳩甫『大阪パック 第18年第2号』を、国際児童文学館から、織田小星『お伽 正チヤンの冒険』、酒井七馬・手塚治虫の共作『新宝島 冒険漫画物語』、左久良五郎(酒井七馬)『鞍馬小天狗 第1巻』、さいとうたかを他『日の丸名作全集』を展示した。
 展示会場では、国際児童文学館の利用案内、開催中であった資料小展示「日本の子どもの本~珠玉の30選~」のチラシなどを手に取っていただけるよう配備した。

資料小展示「日本の子どもの本~珠玉の30選~」のチラシ

 なお、国際児童文学館では所蔵資料の展示貸出も随時実施している。希望により個別資料を貸出するほか、展示キャプション等がセットになっている「国際児童文学館展示用貸出パック」の貸出しもおこなっている。

【「国際児童文学館展示用貸出パック」のご案内】
https://www.library.pref.osaka.jp/site/jibunkan/tenjipack.html

資料展示 発見!「明治ポンチ本」 明治末期の出版流通空間

 明治150年関連イベントとして、国際児童文学館の特別研究者である明治ポンチ本研究会の監修のもと、平成30年8月1日(火)~10月31日(水)、国際児童文学館室内小展示コーナーにて開催した。
 本展示では、明治後半から末期にかけ大量に刊行された、タイトルに「ポンチ」という言葉が入った小型本のことを「明治ポンチ本」と総称し、約60点の資料とパネルで、その歴史的位置づけを紹介した。
 造本や画風に江戸からの伝統を残しつつ、西洋から影響を受けたコマ割り表現を使ったものも見られ、「ポンチ」は現在の「マンガ」につながる出版物と言われている。絵も内容も愉快な本を取り上げながら、明治ポンチ本が作られた場、売られていく場にスポットをあてた。

明治ポンチ本の展示の風景

 「ポンチの登場」を紹介するコーナーでは、ポンチの語源となった『The Japan Punch』(1862年横浜居留地で創刊)、ポンチを西洋戯画として掲載した『江湖新聞』、滑稽風刺画を取り入れた絵雑誌・新聞ブームを代表する『團團珍聞』(まるまるちんぶん)などを展示し、作られた場を紹介するコーナーでは、玩具問屋街に近接する浅草橋周辺で集中的に作られていたことを、展示資料の奥付を見ながらパネルの版元マップで参照できるようにした。また綱島書店という発行所兼販売所の明治39(1906)年の出版目録をもとに、双六やかるたなどの紙製おもちゃとともに明治ポンチ本が売られていたことも紹介した。監修者から提供された明治ポンチ本の複製版も閲覧に供した。
 マンガの歴史の一部分としてポンチ本が紹介されることはよくあるが、明治ポンチ本だけを取り上げての展示は珍しく、観覧者からは大変興味深いと好評だった。
 なお、当館では、所蔵資料を調査研究に利用していただきやすい「特別研究者」制度を設けている。展示など研究成果の発表の場として活かしていただくことも可能である。例年11月に、次年度の募集を行っている。
【大阪府立中央図書館 国際児童文学館 特別研究者について】
https://www.library.pref.osaka.jp/site/jibunkan/tokubetu.html

資料展示 「ふしぎの描き方-あまんきみこ&富安陽子の世界-」と関連講演会

●資料展示

 平成30年11月9日(金)~12月28日(金)、中央図書館1階展示コーナーおよび国際児童文学館で開催した。展示作品選択と解説執筆には、大阪国際児童文学振興財団にご協力いただいた。
 日本を代表する児童文学作家であるあまんきみこさんと富安陽子さんについて「ふしぎ」を切り口に展示した。「ふしぎのはじまり」と題する導入部で略歴とアルバム写真を掲示するとともに、子どもの頃に読んでいた本、デビューまでの経緯を紹介した。そして「あまん作品に登場するキャラクター」「富安作品に登場するキャラクター」「ふしぎなできごと」「ふしぎな空間」「ふしぎのナゾ解き」「ふしぎ×戦争」「『ふしぎ』のゆくえ」と多くのテーマの下、豊富な解説・キャプションとともに当館所蔵資料を紹介した。また、あまんきみこさんからは『ちいちゃんのかげおくり』『とりよめ』『海うさぎのきた日』の挿絵原画を、富安陽子さんからは直筆の原稿やスケッチブックなどをお借りし、本以外の展示も充実した。さらに中央図書館所蔵の関連資料も展示し、貸出に供した。
 展示をご覧になられ、アンケートにご協力いただいた方には特製のしおりをプレゼントした。また、小学生以下の方(および希望者)にはブックリストを差し上げた。

特製のしおりの写真

 国際児童文学館内では、展示資料や、単行本になっていない作品やエッセイ等が掲載された雑誌などを展示し、観覧者にさらに理解を深めてもらった。
 また、鎌倉文学館より富安陽子さん作品のキャラクター衣装をお借りし、利用者が自由に着て写真を撮ることができるコーナーを設置した。
【大阪府立中央図書館 ツイッターより】
https://twitter.com/osaka_pref_lib/status/1070477123498913794

●関連講演会

 11月10日(土)に大阪国際児童文学振興財団主催で大会議室にて行われた。講演として「あまんきみこにとっての『ふしぎ』」「富安陽子にとっての『ふしぎ』」が続けて行われ、休憩の後、対談「ふしぎの描き方」が行われた。参加者は111人だった。

「ふしぎの描き方-あまんきみこ&富安陽子の世界-」資料展示の風景


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