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「はらっぱ」 No.32 大阪府立中央図書館における読書支援としてのブックリスト

更新日:2024年2月21日


「はらっぱ」 No.32 大阪府立中央図書館における読書支援としてのブックリスト

掲載日:2019年3月31日更新

こども資料室

はじめに

 大阪府立図書館において、現在継続的に発行しているブックリストは、3種類ある。主に小学生向けとして毎年6月末に発行する「ほんだな こどものほんのリスト」、10代のYA世代に向けて年に数回発行する「ヤングアダルトYA!YA!YA!」、国際児童文学館が事務局となって作成している、乳幼児と楽しむ絵本を掲載した保護者向けリーフレット「親と子が楽しむ はじめての絵本」である。
 それらとは別に、不定期ではあるが必要に応じて更新発行する乳児向け絵本のリスト「だっこでよんで 0・1・2歳と楽しむ絵本のリスト」、幼児向け絵本のリスト「よんでよんで-3・4・5歳と楽しむ絵本のリスト-」の2種類があり、提供しているブックリストは合計で5種類である。
 いずれも、子どもが本を選ぶときの手助け、子どもに読書をすすめる時の手がかりとなることを発行目的としている。
 また、これらのブックリストは必要に応じて配布し、カウンターで読書相談を受ける際にも活用している。どのリストも表紙画像に紹介文を付与しており、資料自体が貸出等で手元になくとも書影等からイメージを伝えることができるようにしている。
 加えてホームページにおいてすべて公開している(平成31年3月現在)。冊子によって公開の方法に違いはあるが、アクセシビリティには注意を払っている。

 以下、個別にとりあげていく。

〇「ほんだな こどものほんのリスト(年次)」
主に、小学生を対象とした冊子リスト。

ほんだな こどものほんのリストの表紙

 前年1年間に発行された児童書より、赤ちゃん絵本・絵本・昔話絵本・知識絵本・低学年向きよみもの・中学年よみもの・高学年向きよみもの・昔話・知識の本(社会・生物・科学・技術・産業・芸術・スポーツなど)の分野に分け、赤ちゃんから小学生までに、読んであげたい本、読んでほしい本を選んで紹介。知識の本は分野以外に、紹介文末尾に対象学年を記載して、よみもの同様、対象学年の目安を示している。
 選書にあたっては、1年間、大阪府立中央図書館国際児童文学館の職員とともに新刊書に関する選書会議を定期的に行い、複数の職員により選択して決定している。

 年1回、6月末発行。A5、36ページ。モノクロ。外注で2,000部印刷。執筆は、国際児童文学館職員とこども資料室職員による。イラストやカットも職員。
 過去、「なつのほんだな」として、大阪府立夕陽丘図書館が発行していたリストの後継のため、夏休みを意識して発行している。そこで夏休みなどにおすすめの本を求められた際の1つの手がかりとして活用している。リストで紹介した資料はブックトラックによる展示を行っている。
(写真:「展示風景1」参照)
 この展示は次号が発行されるまでの1年間、常設展示。課題図書などが出払った際、この展示から貸出しされるケースも多い。そのため、可能な範囲で複本を用意している。

展示風景1の写真
展示風景1:ほんだな展示
こども資料室入口すぐに配置。
配布用、閲覧用リストも添えて展示している。

 来館利用者のほか、見学や研修の際にも配布している。また、府内市町村図書館、各学校にも配布しているが、部数に限りがあるため、複数配布はできていない。
 ホームページでも公開。アクセシビリティにも注意し、音声読み上げにも対応するべく、PDFのほかHTML形式を作成してアップしている。
 HTML形式のページでは、タイトルからのリンクで蔵書検索の書誌詳細画面へ遷移することができる。

・「ほんだな」 ‐こどものほんのリスト‐
https://www.library.pref.osaka.jp/site/kodomo/hondana-index.html

〇「ヤング★アダルトYA!YA!YA!」

ヤング★アダルトYA!YA!YA!の表紙

 おもしろかった本、読んでいて何か感じた本、話題の本からこだわりの一冊まで、いろいろな本を10代、特に中高生に向けて紹介するリーフレット。
 不定期ではあるが、年3回から4回発行。A4三つ折。毎号約100部を自館印刷。
 2001年から発行開始。当初はA4サイズ1枚ものだったが、手に取りやすいように、A4三つ折に形態を変更した。
 2019年2月現在、106号まで発行。YA展示コーナーおよびこども資料室カウンター等での配布。
 編集発行責任はこども資料室が担っているが、活動に関しては館内各課から選出した委員であるYA利用活性化チームが中心となって原稿作成・編集を行う。なかには、大学実習生や体験学習等で来館した中・高校生からも原稿やイラストカットを作成してもらい掲載することもある。
 イベント等にあわせた発行も多く、夏休みや冬休みを意識した号やダンスカーニバルといったイベントに合わせてダンスに関係する資料を紹介するなど、新刊書だけでなく、様々な切り口から紹介するようにしている。

・大阪府立中央図書館ヤングアダルトのページ
YA!YA!YA!べんりやん図書館
https://www.library.pref.osaka.jp/cgi-bin/benriyan/display_top.cgi のなかにある
・Web版ヤングアダルトYA!YA!YA!
https://www.library.pref.osaka.jp/cgi-bin/benriyan/display_yayaya.cgi において、HTML形式により公開している。
 このページは検索機能があり、ジャンル別や号をまたいでの検索も可能。
 また、タイトルからリンクがはってあり、蔵書検索の書誌詳細画面へ遷移することができる。

〇「だっこでよんで 0・1・2歳と楽しむ絵本のリスト」

 保護者に向けた、乳児向け絵本の冊子リスト。0、1、2歳児の保護者や仕事や地域で子どもたちと関わりのある大人が子どもたちと一緒に絵本を楽しむためのガイドブックとして作成。
 「はじめてであうえほん(0歳の時に)」「すこし絵本になじんだら(1歳半頃)」「2歳になったら」と対象年齢ごとに分け、絵本の紹介にあわせて絵本と子どもへの接し方、絵本の選び方など大人へのアドバイスを記載している。

だっこよんでの表紙

 A5・36ページ・色上質紙の表紙にモノクロ印刷。外注。  現在活用している改訂版は平成16年3月31日発行。編集が大阪府立中央図書館こども資料室、発行は大阪府教育委員会。4,500部作成。
 選書・原稿作成は大阪府立中央図書館職員が担当。
 「だっこでよんで」で紹介している資料は「ほんだな」の展示同様、ブックトラックで常時展示している。(写真:次ページ「展示風景2」参照)

 ホームページでも公開している。HTML形式のみでPDFはない。
 解説のページから対象年齢ごとのページにリンクしており、表形式で紹介。書影はなく、タイトルから書誌詳細情報へのリンクもない。
・だっこでよんで 0・1・2歳と楽しむ絵本のリスト
https://www.library.pref.osaka.jp/site/kodomo/dakkosetumei1.html

展示風景2の写真
展示風景2:だっこでよんで展示

〇「よんでよんで-3・4・5歳と楽しむ絵本のリスト-」

 保護者に向けた、「だっこでよんで」の次の年齢層である幼児向け絵本の冊子リスト。
 A5横・36ページ・色上質紙の表紙にモノクロ印刷。外注。

 現在活用している改訂版は「だっこでよんで」と同様、平成16年3月31日発行。編集が大阪府立中央図書館こども資料室、発行は大阪府教育委員会。1,500部作成。
 選書・原稿作成は図書館職員が担当。
 3歳になると簡単なスト-リ-を理解できるようになり、4歳、5歳と実体験が増えるにつれて、子どもの世界はどんどん広がってゆき、絵本の世界もますます楽しめるようになる。そんな子どもたちを対象にした絵本のガイドブックとなっている。
 このリストでは、読書相談をうけた時は作家を思い浮かべることが多いことから作家を中心にして構成。どの作家を選ぶかを決めるのは大変難しいため、次の基準で選択した。
(1)比較的多作の作家である。
(2)比較的多数の子どもに人気のある作家であること。
(3)ある程度評価の定まっている作家であること。
 このリストでは、本選びの一助として、3歳から楽しめる絵本には「*」、5歳から楽しめる絵本には「#」マークを目安として付与。作家ごとに1ページずつ紹介。1作品に紹介文を付し、ほかの作品はリスト化して掲載。

 ホームページでの公開は、HTML形式のみでPDFはない。解説と表が一緒のページで、表の作家名からリストページへリンクしている。書影はない。
・よんでよんで-3・4・5歳と楽しむ絵本のリスト-
https://www.library.pref.osaka.jp/kodomo/d0.html

よんでよんで-3・4・5歳と楽しむ絵本のリスト-

〇リーフレット「親と子が楽しむ はじめての絵本」

親と子が楽しむはじめての絵本の表紙

 保護者向けブックスタート用リーフレット。年1回発行。平成30年度版は、A5仕上がり・観音開き8ページ・全頁フルカラー(コート90kg)仕様。印刷は、広告主の協力による。
 2010年5月の大阪府立国際児童文学館の大阪府立中央図書館への移転以降も継続して発行。内容については一般財団法人大阪国際児童文学振興財団に、発行に関する広告主との連絡調整や府内市町村への配布などは大阪府教育庁地域教育振興課に協力をいただいている。国際児童文学館の「子どもの読書支援センター」の機能の一つとして、読書活動推進に関する業務と位置付けている。
 毎年、3月に内容を見直し、絶版により入手できない図書については差替え、改訂している。
「せいかつ」「ものがたりのはじまり」「どうぶつ」「のりもの」「たべもの」「あそび」「いろ・かたち・おと」のカテゴリー別にそれぞれ2~4冊を表紙画像入りで紹介している。また絵本をいっしょに楽しむ大人へのアドバイスも記載している。広告主による事業広告の記載もある。
 発行部数は約60,000部で、府内自治体の保健センター所管課および社会教育主管課へ配布し、市町村の保健所で4か月検診時に保護者へ配付、府内公立図書館のラック等に設置、読書イベントでの配布及び設置等に活用されている。
 大阪府教育庁のホームページで公開されており、ダウンロードが可能である。
http://www.pref.osaka.lg.jp/chikikyoiku/oyatokoga/

〇課題と今後について

 「ほんだな」などは発行部数以上に求められる場合があり、部数を増やす以外に、カラー印刷への切り替えなど予算の確保が課題である。
 また改訂が必要なリストもある。「だっこでよんで」、「よんでよんで」については前回の改訂が平成16年であり、長く改訂していない。内容の見直し、改訂が追い付いていないのが現状である。
 今後の展開としては、資料展示やイベント時に紹介文を付したブックリストが発行できないかと考えている。展示やイベントは時節にあったものやテーマを特定しているものなので、積み上げていけば、パスファインダーにもなり、レファレンスへの活用も視野に入れて作成していきたい。
 また、近年大阪府へ移管された、支援学校に向けたブックリストなども検討していきたい。この点は、府立図書館の使命だと考えている。

過去に発行されたブックリストを画像でご紹介

なつのほんだな92の表紙

あきのほんだな93年の表紙

YAブックメニューの表紙YAブックメニュー表紙裏


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