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「はらっぱ」 No.30 第3次大阪府子ども読書活動推進計画について

更新日:2024年2月21日


「はらっぱ」 No.30 第3次大阪府子ども読書活動推進計画について

掲載日:2017年3月31日更新

大阪府教育庁市町村教育室地域教育振興課

はじめに

 大阪府では、子どもの読書活動の推進に関する法律(平成13年法律第154号。以下「推進法」という。)に基づく「第3次大阪府子ども読書活動推進計画」(以下「第3次計画」という。)を平成28年3月に策定しました。
 今回は、第3次計画策定の背景、計画の概要と今年度の取組み、計画策定のメリットとその経過についてご紹介します。

大阪府の子ども読書活動の状況

 「全国学力・学習状況調査」(文部科学省)によると、大阪府の「読書が好き」な子どもの割合は、近年上昇傾向にありますが、平成28年4月の調査結果では、小学6年生が46.8%(全国49.3%)、中学3年生が39.2%(全国46.5%)と全国と比べて低い水準となっています。
 第3次計画の策定にあたり、大阪府独自で「子どもの読書活動推進の取組み等調査」(大阪府教育委員会 平成27年3月~6月)を実施した結果、

・子どもの年齢が上がるにつれ、「本が好き」な子どもの割合は減少している。

・子どもの年齢が上がるにつれ、平日、休日を含めて「本を全く読まない」子どもの割合が急増し、高校3年生では、49.1%となっている。

・本を「好きでない」、「本を全く読まない」理由としては、いずれも「読むのに時間がかかる」、「読みたいと思う本がない」が上位を占めている。

・「小学校入学前や低学年時に読み聞かせをしてもらった経験がある」子どもほど「読書が好き」である傾向がある。

ことがわかりました。

 一方で、第2次計画策定時の5年前と比べて、学校、教育・保育施設における読書活動ボランティアとの連携は拡大し、保護者に対しての働きかけを行う教育・保育施設や公立図書館と連携している学校の割合も増加しています。
 以上のとおり、子どもの読書環境づくりは徐々に進んでいますが、読書が好きな子どもの割合や日頃の読書活動実態などに関する指標は全国平均に達していないものも多く、特に中高生の読書離れが顕著になっていることがわかりました。

「読書が好き」と答えた児童・生徒の割合・小6

「読書が好き」と答えた児童・生徒の割合・中3

普段の日に全く読書をしないと答えた児童・生徒の割合・小6

普段の日に全く読書をしないと答えた児童・生徒の割合・中3

第3次計画の概要

 第3次計画は、これまでの計画を総括するとともに、前述のアンケート調査の分析を踏まえ、有識者のご意見をいただきながら策定しました。
 計画の概要については、P15-16に掲載しているとおりですが、
 基本方針は、

発達段階や生活の場に応じて本と親しむことにより、全ての子どもが読書の楽しさと大切さを知り、自主的に読書活動を行うことができる環境整備に大阪全体で取り組む。

こととし、成果指標としては、

5年後に「読書が好き」な子どもの割合を全国平均以上とする。

を掲げています。
 また、(1)本と出合う、(2)親しむ、(3)目的に応じて読む力をつけ、本から学ぶ、(4)人と体制づくりの4項目に沿って、府が主体となって進める41の取組み、社会全体で取組みを進めるための40の実践例を示すとともに、「中高生向けに子ども読書活動の支援を行っている公立図書館の割合」や「市町村子ども読書活動推進計画の策定率」等9つの取組みの指標を掲げています。
 公立図書館をはじめとした読書活動を支援する機関や人材の状況は市町村により様々であるとは思いますが、実践例を参考にそれぞれの市町村の状況に応じて取り組んでいただけたらと考えています。

OSAKA PAGE ONEキャンペーン

 「大阪府では、第3次計画に基づき、

・自治体・企業・民間団体等の連携による読書環境づくり

・乳幼児・児童への読み聞かせの機会の拡大

・中高生が読みたいと思う本と出合う機会の拡大

・人材育成・ネットワークづくり

について重点的に取り組んでいくこととしています。
 平成28年度の取組みのひとつとして、大阪全体で子ども読書活動の推進に取り組む機運を高め、読書の大切さを府民に伝えていくために、8月から家庭や地域で読書を楽しむ日として、第1土曜日及び日曜日を「OSAKA PAGE ONE の日」とし、キャンペーンを展開しています。

OSAKA PAGE ONEキャンペーン

 具体的には、

・「OSAKA PAGE ONEの日」における読書活動のよびかけ、公の施設、民間施設等でのおはなし会やワークショップ、本に関する催しの展開

・図書館以外の場所を活用した「えほんのひろば」の市町村との共同実施

・「OSAKA PAGE ONEの日」の取組みの広報

等を行っています。
 事業の展開にあたっては、趣旨に賛同していただいた団体で構成する「OSAKA PAGE ONE キャンペーン推進会議」を組織し、行政だけでなく、教育・保育機関、書店や出版業界をはじめとした民間団体と連携しながら進めています。

市町村と連携した取組み

 一方で、子どもの読書活動を推進するには、子どもや保護者が参加しやすいより身近な地域での取組みが広がることが大切と考えています。
 そこで今年6月に、イオンモール茨木、茨木市及び摂津市の図書館やボランティアサークルのご協力をいただき「えほんのひろば」を試行的に開催しました。その後も、大阪市、四條畷市、大阪府子ども文庫連絡会や地域のボランティアの方々と一緒に、商業施設や書店、大阪府公館で、絵本に関連する催しを実施しました。
 商業施設での開催は、常時50人~100人のお客様に来場いただき、きっかけがあれば、子どもも大人も本に関心を寄せていただけることを実感できました。これまで本に関心のなかった子どもや保護者に、少しでも本の楽しさを知ってもらえるよう、今後も図書館以外の地域資源を活用した読書推進の取組みのモデルを普及していきたいと思います。
 その他にも

・「絵本」と絵本を並べる「面展台」等の地域への貸出し

・「面展台制作講習会」等各種研修の地区別開催

・「“読みメン”になろう講演会&研修会」、「ビブリオバトル(書評合戦)研修」、「子ども読書活動推進リーダー研修」の開催

・地域のボランティアリーダー研修等での読書活動の働きかけ

をすることにより、地域における読書活動の推進と地域で活動する方々への支援を進めています。

えほんのひろば

絵本に関連する催し

計画策定メリットとその経過

 「読書計画の策定がなぜ必要なのか?」との問いに関して計画を策定してきた立場から、そのメリットをお伝えしたいと思います。
 教育現場にはたくさんの課題があり、「読書活動は大切で意義がある」と理解をしていても、予算の確保や人員の配置が難しい市町村も多いのではないでしょうか。また、子どもの嗜好に関わることについて、メルクマールを明確にしづらい現状があると思います。
 しかし、計画策定の過程を通じて、教育現場の現状、先進的な取組み、有識者の様々な意見を聞くことで、欠けていた視点への気づきがありますし、行政計画策定のための意思決定プロセスの中で、組織内で事業の必要性を説く機会を確保していくことにより、読書活動推進の重要性についての認知を高めることができるというメリットがあります。
 また、読書は、子育てとのかかわりが深く、福祉や医療と連携した取組みが実施しやすいことから、計画策定段階からいわゆる首長部局と一緒に検討することで、既存事業の活用や新たな事業展開につなげていくことが可能であると思います。
 計画策定には、マンパワーが必要ですが、それ以上に獲得できるものは大きいと思います。ぜひ、教育委員会内だけでなく、さまざまな部署、機関と連携し、ひとつひとつ、取組みを進めていただければと思います。

 参考に、第3次大阪府子ども読書活動推進計画の策定の行程を掲載します。

平成27年2月~6月
関係機関、児童、保護者アンケートの実施
平成27年7月3日
大阪府社会教育委員会議(第1回)
・計画策定方向性の確認
・意見聴取(計画骨子)
平成27年8月12日
庁内会議(第1回)
・アンケート調査(速報)の報告
・意見交換(計画骨子)
・作業依頼(取り組むべき項目の抽出)
平成27年9月16日
庁内会議(第2回)
・アンケート結果の報告
・意見交換(本文の構成、基本方針、成果指標、序文)
平成27年9月25日
大阪府社会教育委員会議(第2回)
・アンケート結果の報告
・意見聴取(本文の構成、基本方針、成果指標、序文)
平成27年11月26日
庁内会議(第3回)
・意見交換(基本方針、成果指標、府の取組み、活動指標)
平成27年12月10日
大阪府社会教育委員会議(第3回)
・意見聴取(具体的な取組み)
平成28年2月8日~3月8日
パブリックコメント手続きの実施
平成28年3月
教育委員会議において、計画決定
平成28年3月25日
公表

おわりに

 読書活動は、人生を豊かにし、より深く主体的に「生きる力」を育むうえで欠くことのできない重要なものです。子どもが読書の楽しさや大切さを知り、自ら読書に親しんでいける環境をつくっていくのは、大人の重要な役割であると考えます。
 今後もみなさんと一緒に子どもの読書活動の推進に取り組んでまいりたいと思います。

第3次大阪府子ども読書活動推進計画

第3次大阪府子ども読書活動推進計画

「第3次大阪府子ども読書活動推進計画」(概要) [PDFファイル/449KB]

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