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「はらっぱ」 No.29 大阪府域 学校への資料貸出についての実態調査報告

更新日:2024年2月21日


「はらっぱ」 No.29 大阪府域 学校への資料貸出についての実態調査報告

掲載日:2016年3月31日更新

 「はらっぱ No.29」を作成するにあたり、府域市町村の現状を把握するため、実態調査を実施しました。お忙しい中、ご担当の方々にはご協力をいただきまして、ありがとうございました。ここに報告させていただきます。

調査概要

・調査対象:大阪府域市町村図書館および公民館図書室(複数館ある場合は中心館のみ)
・調査時期:平成27年10月
・回収率:100%(43市町村)
※Webサイトの参照はいずれも平成27年12月時点です。

問1. 学校への資料の貸出を行っていますか

問1円グラフ

 条件つきで行っている1市は、来館校のみ貸出。また、八尾市では、学校貸出(校単位1年)と団体貸出(1ヶ月)を行っており、学校貸出の対象は市内学校園すべてであるが、公立保育所・幼稚園・小学校と貸出実績のある市内私立保育園等に毎年貸出開始前に通知文を送付し、希望があったところに貸出を行っている。学校貸出は貸出期間が約一年と長いこともあり、専用資料を設けて対応。団体貸出は、学校園(クラス・学年単位)のほか、放課後児童室・公共的団体(社会福祉協議会、商工会議所などの公益法人、NPO法人など)、地域・家庭文庫、読書会グループ、自治会、子ども会、地域で活動する読書活動(お話会など)ボランティアなどの非営利団体へ貸出を行っている。

問1棒グラフ

 その他は、学童保育室、専門学校、放課後児童会、地域文庫、留守家庭児童育成室、子育て支援センターなどへ、要望があれば対応する。

問2.学校専用の貸出用資料がありますか

問2円グラフ

・学校専用ではないが、学年別学校用貸出セットは、各学年4クラス分ずつ用意している。ただし、一般の本扱い(泉南市)
・保育所(園)、こども園、幼稚園向けには専用の絵本セットがある。(熊取町)

問3.学校専用の貸出用資料を用意する予定がありますか(問2で「ない」と回答した館のみ)

問3円グラフ

(2)予定はないが必要だと回答した中で、用意できない理由としては、予算不足をあげるところが10市町村と多くなっていた。また、スペースの問題が4市町、蔵書自体が少ない点を2市町が理由としてあげていた。その他としては、まずは、学校からの要望をうかがって参考にしたい、教科書が変わると利用されない場合がある、小中学校については、継続して学校司書が資料購入も行っていることで資料の蓄積もでき、学校間の相互貸借を行うことで必要な資料、冊数を用意しているなどが挙げられた。

(3)必要でない理由
・開架書架、書庫を合わせ、その都度提供する本を集めるが、蔵書数があるのでさほど不自由はない。学校専用図書としないことで柔軟に活用できるメリットがある。
・学校に対して、個人・団体とも自由に図書を選んでもらい年間15万冊程度貸出している。
・本市の小中学校はすべて学校図書館図書標準に達していないが、子ども読書活動推進計画を策定して、そのメインプロジェクトとして学校図書館の資料充実に取り組んでいるため。
・学校からの要望が多岐にわたっていて、特定の資料に限定できないため。
・現状で特に問題がないため。
・今まで要望がない。貸出希望があった際は特別貸出用図書セットで対応。
・利用頻度が低い。
・調べ学習に役立つ資料など、学校貸出目的を考慮しながら選書している資料はあるが、町の規模が小さいため、通常は図書館の資料として開架にしている。
・資料を一元的に管理するため。
・現在は学校から資料貸出の要望があった時だけ用意して貸出をしているため。
・先生方に必要に応じて自由に本を選んでもらっているため(かつて幼稚園専用の絵本を用意していたことがあったが、利用が限定されるという弊害もあり、中止したという経緯がある。)

問4.調べ学習用、朝の読書用などセットにして貸出する資料がありますか

「ある」と回答したのは8市。
・堺市 21セット(読書用のみ)
 セット貸出について
 https://www.lib-sakai.jp/kodomodokusyo/gakkouenShien/set_annai.htm
 団体貸出について
 https://www.lib-sakai.jp/school/index.htm#g3
・門真市 184セット
・吹田市 25セット
・高槻市 78セット
・豊中市 33セット
・富田林市 5セット
・羽曳野市 44セット
・枚方市 90セット ※学校への団体貸出図書配本事業の読書支援用配本セット
      5セット ※上記配本事業以外の希望校対象の読書支援用セット

 その他、学校用ではないが、保育所(園)、こども園、幼稚園向けには、「絵本こぐま便」という絵本の配送サービスがあり、専用の絵本約500冊所蔵し、年齢別に0~5歳児向けの絵本セットにしているところもあった。(熊取町)

問5.よく借りられるセットは何ですか。セット内容を教えてください(問4で「ある」と回答された館のみ)

・セットは低学年向け、中学年向け、高学年向けの「読書用セット」を用意しており、年度当初に学校に希望を募り貸出を行う。貸出は年1回のみ。学校からは貸出希望の学年だけを聞き、貸し出すセットは図書館側で決めている。(堺市)
・「学級文庫用セット」のみあり。(門真市)
・のりもの、昔のくらし、戦争・平和等(吹田市)
・平和、米、読み物セット(低・中・高学年)、点字、ユニバーサルデザイン、障がいを考える、環境(ごみ・リサイクル、生きもの、水・森・大気)、紙芝居(食育)(高槻市)
・図鑑セット(フレーベル館 ナチュラどうぶつ、総合百科事典ポプラディア新版)(豊中市)
・年齢別のセット貸出 実績はあまりなし(富田林市)
・ポプラディア他(羽曳野市)
・読書支援:絵本・読み物・知識の本(枚方市)

問6.学校用資料購入費がありますか

問6円グラフ

 「ない」と答えた市町村が半数以上、「ある」と回答した市も今年度予算については、14万円、70万円(全校合わせて)、100万円、150万円、240万円、250万円(全館分)、とばらつきがある。また、児童書に含むと回答のあった中で、「調べ学習用図書」の購入については例年、一定の金額をあてていると回答のあったところや(大阪市)、その他の回答には、平成27度から小学校の国語教科書が変更されることにあわせて、平成26年度に補正予算で購入した図書1,603冊(市立図書館が国語教科書に掲載された児童書を中心に選定)を、市内の小学校の学年文庫用(1校あたり229冊)として配備したとする回答もあった(四條畷市)。

問7.学校への資料搬送手段について(複数回答可)

問7棒グラフ

(1)専用便があるのは、堺市、茨木市、河内長野市、大東市、高槻市、豊中市、富田林市、羽曳野市、枚方市の9市。
・毎週木曜日に委託業者による配送を実施(堺市)
 参考:堺市立図書館団体貸出資料配送実施要項
 https://www.lib-sakai.jp/gaiyou/y_dantai_haisou.pdf
 団体貸出資料配送日程表
 https://www.lib-sakai.jp/school/schoolDeliverySchedule2015.htm
・教育委員会・学校教育推進課の運営する学校図書館の物流便を利用している。(茨木市)
・駅前返却ポストや公民館との集配送を請け負っている業者への委託。(河内長野市)
・保育園、幼稚園は定期的に(1か月ごと、もしくは年4回)貸出パックという団体貸出を実施している。(大東市)
・市立図書館と小中学校間で週1回運行(貸出・返却)(高槻市)
・市立小中学校へは各校週2回の委託業者による配送便あり。保育所、幼稚園、高等学校、私立学校等へは、取りに来てもらう場合と公用車で配本の場合がある。(豊中市)
・「ブック便」毎月1回市内の小中学校に配本している。(富田林市)
・週2回火・木曜(羽曳野市)
・月1回(第3木曜) 配本事業の指定校に読書支援用セットと第1木曜までに申込があった学校へ調べ学習用資料を搬送(枚方市)

(2)公用車利用は、15市町。
・団体貸出分(池田市)
・学校配送申込要(和泉市)
・町立小・中学校については、学校の校務員が図書館の公用車で週4日配送している。保育所(園)、こども園、幼稚園向け「絵本こぐま便」については、職員が年4回配送している。(熊取町)
・「3学期限定学級文庫お届けサービス」のみ(泉南市)
・配本車(箕面市)
・学校貸出のみ(八尾市)

(3)ゆうパック、宅配便の利用はなかった。

(4)来館での貸出は、34市町だった。
・急ぎ分または来館されたとき(池田市)
・私立学校のみ(熊取町)
・学校貸出・団体貸出(八尾市)

(5)その他としては、自動車文庫や逓送便の利用などの回答が多かった。
・教育委員会・学校教育推進課の運営する学校図書館の物流便を利用している。(大阪市)
・調べ学習用やリクエスト本は市内施設連絡用の便にのせる。(池田市)
・移動図書館車巡回時の団体貸出(貝塚市)
・軽ければ逓送便で送る。(島本町)
・自動車文庫で月2回、申込があった分を配達・回収している。(吹田市)
・BMが定期巡回している学校についてはBMで配送。(泉南市)
・一部保育所と特別支援学校へは動く図書館車が巡回し貸出を行っている。(豊中市)
・自動車文庫で小学校へ巡回する際、図書館から持って行く。(阪南市)
・基本は来館だが、やむを得ない場合は配本車で配送。(守口市)

問8.資料借受の申込方法について(複数回答可)

問8棒グラフ

(1)指定用紙
 指定用紙の提出方法は、FAXやメールなども含まれる。

(2)電話・メール
 メールは不可の市もあった。

(3)その他
・調べ学習用などはネット予約(池田市)
・直接来館(泉佐野市)
・特に方法の指定はしていない(大阪狭山市)
・来館、電話、FAX等(交野市、四條畷市)
・指定用紙で団体貸出登録後、登録カードで貸出データを入力(門真市)
・インターネット予約・来館により選書(河内長野市)
・予約不可。来館時にあるものを貸出する(摂津市)
・図書館に来て選んでもらう(高石市)
・直接来館(忠岡町)
・市立小中学校からはインターネット予約サービスによるWebでの予約申し込み、電話・FAX等による資料依頼を受付。保育所、幼稚園、高等学校、私立学校等からは電話・FAXによる申込み(豊中市)
・Web予約可・電話可(富田林市)
・図書貸出券、小中学校図書館からはWeb予約が可能(阪南市)
・公共図書館・学校図書館共通のシステムを利用し、学校図書館端末から直接入力(箕面市)

問9.当館の「特別貸出用図書セット」を利用したことがありますか

問9円グラフ

 利用または取次は、9市町にとどまったが、「知らなかった」と回答した市町村はなかった。

問10.学校への資料の貸出で問題となるところ、悩んでいるところがあれば教えてください

 同じような問題や悩みは、まとめてご紹介する。

(1)調べ学習など同時期に利用が集中することによる資料提供の問題
 早い者勝ちになってしまう、来館者用の資料も足りなくなる。対応策としては、大阪市の地域図書館で年度当初に当該区の学校の希望を集約・調整しているという事例もあった。(大阪市、堺市、池田市、泉佐野市、大阪狭山市、柏原市、交野市、四條畷市、吹田市、摂津市、高槻市、富田林市、羽曳野市、阪南市、藤井寺市、箕面市、八尾市)

(2)貸出資料の弁償について
 資料の汚損、紛失などで弁償になるケースを挙げる市も多かった(泉大津市、大阪狭山市、枚方市、藤井寺市)。また、資料の扱いが雑で汚れがひどい、延滞が多い(羽曳野市)や、搬送による資料の傷みや搬送ケースの破損を挙げる市もあった(羽曳野市、枚方市)。

(3)搬送について
 専用便などの搬送手段がない、あっても日時、搬送量や対象校に制約があるほか、頻度が少なく利用したいときに間に合わないなどが挙げられた(大阪市、門真市、岸和田市、吹田市、枚方市、藤井寺市)。

(4)児童向け郷土資料について
 郷土資料など、児童書では対応できないことがある(大阪市、大東市、富田林市、羽曳野市)。

(5)その他
・教員が多忙のため、教員間での引き継ぎや学校図書館支援員との連携が円滑でない学校がある。図書館からも働きかけて、図書館と学校との連携を充実させていくことが課題である。(茨木市)
・資料貸出の要望をいただいてから、貸出を希望されるまでの日数が短く、資料の収集が困難なことがある。(大阪狭山市)
・資料が古い(セット貸出資料)(門真市)
・事前に依頼してくる学校(クラス)等がまだ少なく、テーマによっては、該当の資料をさがしてから貸出をするため時間がかかって待たせてしまう。(四條畷市)
・学校に専任の司書がいない(2校兼務の読書活動支援者がいる)。申込内容の確認や受取などの連絡が取りにくい。毎年必要な資料などを少しずつ学校で揃える等の計画性がない。(吹田市)
・学校の要求に応えるために複本を用意したいが置き場所がない。(大東市)
・保育園、幼稚園の貸出パックは現場の先生方からも好評の声をいただいているが、季節ものの絵本など求められるものが重複するので、本のやりくりが難しい面がある。(大東市)
・申込み受付方法について。2週間前までに申込み先着で受付しているが、「早く申し込んで予約したが、授業計画がずれて、活用できなかった」という学校が多かった。(高槻市)
・これまで通り早期に計画をたてた学校の申込について先着申込順にするか、予約は認めず、2週間前から申込み受付ぐらいにして、すぐ使うところを優先したほうが、平等でより多くの学校に利用してもらえるのではないかと悩んでいるところである。(高槻市)
・小学校の団体貸出への対応時期(学校が中央図書館へ返却、本選び、選んだ本の持ち帰り)が、毎年3~4月もしくは夏休み時期に集中する。職員の対応が非常に繁忙となる。(寝屋川市)
・読書支援用セット本は学年・学級に直接貸出するため、学校図書館と連携して学校図書館を充実させる支援には結びつかない。(枚方市)
・セット内容について意見や感想を聞く場がない。(枚方市)

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