国際児童文学館は、児童文学・児童文化関係資料約70万点を旧施設から引継ぎ、平成22年5月5日、府立中央図書館内にオープンした。
試行錯誤の2年間が経過し、府立図書館が蓄積してきた児童サービスと連携して図書館全体が協力し、運営はようやく落ち着きを見せてきた。
国内有数の資料を有する「児童文化の総合資料センター」として、また、府域の「子どもの読書推進センター」としての役割を果たすべく
展開してきたこの間の取組みの成果を検証し、現時点での自己評価を以下にまとめた。
■資料の収集・整理・保存
・新刊児童書は網羅的収集(H22年度:資料受入数 購入 7,114点 寄贈 4,814点)
寄贈割合はH22年度38.8%と落ち込んだが、(財)大阪国際児童文学館と連携協力し、日本児童書出版協会等に積極的に働きかけ、H23年度はやや回復
・古書も積極的に継続して収集し、H23年度からは新収古書一覧をホームページ゙に掲載
・整理方法は旧施設の手法を継承し、H23年度に資料整理マニュアルを作成
・資料保存のため ポリプロピレン製カバーの装着作業を未装着資料に実施
(H21-22年度 65,000冊 H23年度 光交付金で17万冊装着完了予定)
・蔵書点検 ( H22年度:8,816冊 H23年度:11,790冊 )
■資料の利用
旧レストラン跡を改装した<閲覧室>を設置 地下書庫を電動化して70万点の資料を収容
・閲覧室 面積311㎡(付帯設備含) 座席数21席
・閲覧室資料 最近1年間に出版された絵本・児童書、参考図書等 約12,000冊を配架
・対 象 中学生以上(小学生以下の幼児・児童は保護者の付添い必要)
・入館者数 H22年度 22,897人(ただし、H22.5.5~) 一日平均 84人
・書庫出納 H22年度 33,419冊(旧施設とほぼ同様の利用状況)
・資料の複写 H22年度 34,276枚(すべて有人複写)
・資料の貸出 個人貸出・協力貸出実施せず(美術館等へ展示用貸出は実施:増加傾向)
・調査相談 H22年度:1,295件(文書、電話、メール、口頭)
■企画事業
・「新刊紹介講座」(前年1年間に出版された子どもの本の紹介と解説 同一内容で3日実施)
参加者数(H22年度 272人/23年度 261人)外部講師、専門員、司書で実施
・記念講演会
H22 年度:金原瑞人さん講演会「12歳からの読書」および金原さんと令丈ヒロ子さんの対談。 参加:300人
H23年度:講演と弦楽四重奏で楽しむ「宮沢賢治 ファンタジーワールド」 参加:281人
(東日本大震災復興支援・国際児童文学館1周年記念行事)
・資料展示&ギャラリートーク(年3-4回) *( )はギャラリートークの参加人数
H22年度:「なつかしの子どもの本-名著30選」(7人)/「子どもの本に描かれた妖怪・ばけもの・もののけ展」(15人)
/「翻訳いま・むかし」(10人)/「遥かなる宇宙-子どもの本が描く夢と冒険」(11人)
H23年度:「掌のなかの芸術 豆本いまむかし」(30人)/「輝く街頭紙芝居-街頭のドラマ」(7人)
/「すきとほつたほんたうのたべもの-『宮沢賢治と子どもの本』展」
■館内連携による子どもの読書活動推進の取組み
国際児童文学館の移転を機に、児童サービスを担うこども資料室はじめ関連部署が連携して新たな事業を展開してきた。■その他
・中央図書館ホームページに「国際児童文学館のページ」を開設(蔵書検索、利用案内等)■自己評価(まとめ)
資料の整理法や閲覧面については旧施設とほぼ同様の方法を継承している。整理マニュアルの整備や 未装備資料への保護カバー装着など、整理・保存の面において、継続性と安定性が高まったといえる。