最終更新日:2011年9月2日
資料3
H22.8.26

大阪府立図書館の基本方針と重点目標(素案)

 少子高齢化、高度情報化など、府民を取り巻く環境は大きく変化し、図書館に対するニーズも多様化しています。府民一人ひとりが自立的な判断を行い、自己実現を図っていくことが求められ、また、地域社会が抱える課題も複雑化しています。  こうした社会状況の中で、地域に密着した情報拠点として、「知識」「情報」を提供することを任務とする公共図書館の役割は極めて大きいものがあります。大阪府行政においても、「地域主権」を進める上での重要なインフラとして、ますますその機能を発揮することが求められています。

 大阪府立図書館は、1904(明治37)年の開館以来、多様な資料を収集、整理、保存して、広く府民に提供してきました。100年をこえる歴史の中で、日本有数の蔵書に対して寄せられるさまざまな資料要求にこたえ、資料に対する知識を蓄積し、また、利用者ニーズを把握し、資料と利用者を結び付けるノウハウを積み重ねてきました。  現在、中之島図書館は、大阪資料・古典籍の保存・活用とビジネス支援を柱とした図書館として、中央図書館は、あらゆる分野を扱う総合的機能をはたす図書館として、それぞれ機能分担を図りながら、府域の図書館ネットワークの中核を担い、大阪府域全体を視野に入れた広域サービスを行っています。

 近年、大阪府全体で厳しい行財政運営が進められる中、大阪府立図書館も大きな変革に取り組んでいます。平成22年4月からは、民間事業者との協働による図書館運営(大阪版市場化テスト)を始めました。また、児童文化の総合的な拠点として活動を行ってきた大阪府立国際児童文学館が中央図書館に移転し、5月に大阪府立中央図書館国際児童文学館としてオープンしました。

 この変革の時期において、これからの大阪を展望し、府民と地域社会の要請にこたえるため、あるべき図書館サービスを追求していく上で、大阪府立図書館の「使命」は次の2点に集約されると考えます。

○府民の「知のセーフティネット」として、必要な情報・知識を提供し、大阪における新たな「知」の創出に寄与すること。
○府民の生涯にわたる知りたい、学びたいという意欲にこたえ、豊かで活気あるくらしや地域づくりに貢献すること。

 大阪府立図書館は、この使命をはたし、より一層の府民サービスの向上を図るため、このたび、次の5つの基本方針を掲げるとともに、その基本方針ごとに3ヵ年(平成22年度~平成24年度)の重点目標を設定しました。併せて、重点目標に沿って活動内容と活動指標を定め、これらを毎年度検証し、評価結果を公表してまいります。

<基本方針 1 >
大阪府立図書館は、市町村立図書館を支え、大阪府全域の図書館サービスを発展させます。

 府民が最も利用しやすいのは身近な市町村立図書館(公民館図書室等同等施設を含む。以下同じ。)ですが、現在の多様化した情報ニーズに一つの図書館だけでこたえることはできません。これをカバーするのが府立図書館を中核とする府域図書館ネットワークです。
 府立図書館は、市町村立図書館への資料配送とともに、図書館サービスを支える「人」の育成と連携、サービス向上のための「情報」の共有と活用を通じて市町村立図書館を支援し、府域図書館ネットワークの拡充を図ります。あわせて、国立国会図書館や大学図書館、類縁機関など、館種を超えたつながりを強めます。
  • ■市町村立図書館に関する情報の収集と提供を行い、図書館間相互のさらなる連携・協力を進めます。
  • ■運営相談等を通じて、未設置市町村をはじめとする市町村立図書館の活動を支援します。
  • ■市町村立図書館・府立の学校図書館への協力貸出、市町村立図書館間物流を促進します。
  • ■府域図書館職員のスキルの向上を図り、職員間のつながりの場を提供します。
  • ■大阪公共図書館協会(OLA)、近畿公共図書館協議会等の場を活用して府内図書館活動を推進し、学校図書館、大学図書館、国立国会図書館、専門図書館、類縁機関その他の社会教育機関・施設や行政機関等との連携・協力を広げます。

<基本方針 2 >
大阪府立図書館は、幅広い資料の収集・保存に努め、すべての府民が情報・知識に到達できるようサポートします。

 情報通信技術が急速に発展する中、府民の情報ニーズはますます多様かつ高度になっています。その一方、所得や世代、障がいの有無等により情報格差が生まれているともいわれています。
 府立図書館は、市町村立図書館等と役割分担をしながら、府民の誰もが必要とする「知識」「情報」にたどり着けるような環境整備と機会の充実に努めます。その基盤として、資料収集方針のもと、幅広い分野の中から重点的に資料・情報を収集し、確実に保存することで、蔵書の一層の充実を図るとともに、利用者のニーズにあった提供を行うために多様なアクセスの確保を進めます。
  • ■市町村立図書館や国立国会図書館との役割の違いを考慮しつつ、現在のニーズだけでなく将来の利用を見据えた資料収集を行います。
  • ■大阪府域における「資料の保存図書館」としての役割をはたすため、資料収蔵能力確保に努めるとともに、資料の有効な活用を進めます。
  • ■図書館資料と検索技術に精通した職員(司書)の専門性を生かし、レファレンスや資料提供サービスを充実させます。
  • ■図書館利用に障がいのある人へのサービスを充実させ、すべての府民の情報アクセスの確保を進めます。
  • ■ビジネス活動を支援するサービスを充実します。
  • ■非来館者への遠隔サービスの利便性を向上します。
  • ■デジタル情報技術の進展に合わせて環境整備を進めます。

<基本方針 3 >
大阪府立図書館は、大阪府全域の子どもの読書活動を推進します。

府立図書館は、子どもたちへの直接サービスの実践をもとに、市町村立図書館等関係機関と連携・協力しつつ、子どもたちへの図書館サービスに取り組んできました。さらに、府立国際児童文学館から、約70万点の資料を受け継ぎ、「子どもの読書支援センター」および「児童文化の総合資料センター」機能をはたしていきます。
今後は、府域における子ども読書活動推進の拠点として、実践活動の蓄積と国際児童文学館の資料・機能を生かし、さらなる取組みを展開します。
  • ■児童およびYA(ヤングアダルト)に対するサービスに関する情報の収集と発信の拠点となります。
  • ■乳幼児・障がいのある子どもに対するサービスを推進し、取組結果を子ども読書活動の推進に還元します。
  • ■学校図書館のニーズ把握を行い、市町村立図書館と連携し、学校支援サービスを展開します。
  • ■児童およびYAに対するサービスに携わる人材(市町村立図書館職員、学校および学校図書館の司書、司書教諭、ボランティア等)の育成と交流を進めます。
  • ■国際児童文学館機能の充実に向け、資料の収集・整備・活用を図り、読書推進事業を進めます。
  • ■児童サービスにおける専門性を生かし、外部人材・機関とのネットワークを形成します。

<基本方針 4>
大阪府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。

古くから政治・経済・文化の中心地として栄えた大阪には、歴史的価値の高い資料が数多く残されています。こうした知の遺産を未来に伝えるため、府立図書館は、大阪に関する資料・情報を積極的に収集・保存します。市町村立図書館や、府民、企業等に広く理解、協力を呼びかけ、郷土の誇りとなるような共有財産をともに築き育んでいくとともに、さまざまな方法でこれを発信し、府民の郷土・大阪への理解、そして他府県、海外の人びとの大阪への理解を深めてもらうことをめざします。
  • ■地域資料を積極的に収集するとともに、古典籍を充実します。
  • ■地域資料および古典籍に関する情報を整理し、提供します。
  • ■「大阪の文化」に関わる情報を発信し、大阪への理解を広げます。
  • ■地域資料および古典籍サービスにおける専門性を生かし、外部人材・機関とのネットワークを形成します。

<基本方針 5 >
大阪府立図書館は、府民に開かれた図書館として、府民とともに前進します。

府立図書館は100年にわたり府民が大切に育ててきた大阪の「知のシンボル」です。この財産を生かし、資料・施設が最大限に活用されるようにするとともに、市場化テストの成果をふまえて、サービスの質の向上と業務の効率化、運営の透明化を図ります。生涯学習の拠点として府民により親しまれる図書館をめざします。
  • ■府立図書館の役割や活動について理解を広げ、利用促進につながる情報発信を行います。
  • ■図書館運営やサービスに関わる情報公開を推進します。
  • ■図書館が持つ資料や施設を活用し、府民の生涯学習活動を支援するとともに地域の魅力づくりに貢献します。
  • ■市場化テストによる効果を検証し、効率的な業務体制をつくります。