H21年度 大阪府立中央図書館主催 府民講座・ステージ1

   上田正昭先生講演会

日本文化の胎動  〜古代出雲からのアプローチ〜

 上田正昭先生(京都大学名誉教授、大阪府立中央図書館名誉館長)は、日本の歴史と文化の実像を明らかにするには神話の研究も重要であると考えておられます。本講座ではオオクニヌシノミコトに代表される国つ神(土着の神)やアマテラスオオミカミに代表される天つ神(天上の神)をめぐる日本の神話が、日本の文化の形成におよぼした影響についてお話いただきました。


第1回 6月20日(土)   午後2時30分〜午後4時  
テーマ
 「知られざる古代出雲の実像」
  • 日本の文化の基層を探求する一つの試みとして、日本神話の原像を究明する方法があります。特に国つ神の世界には日本文化の古層が見え隠れしています。そこで第1回講演では、国つ神系の神々にゆかりのある地、古代出雲が日本文化の形成において果たした役割についてお話いただきました。
   第1回講演会上田先生写真


第2回 
7月4日(土) 午後2時30分〜午後4時
テーマ 
「神話から日本の文化を考える」

  • 日本の文化の背景には神話の世界が大きく反映されています。また日本の文化の源流を探っていきますと土着の文化に渡来の文化が融合されている姿が見出せます。そこで第2回講演では日本神話の原像を探ることで日本の「文化力」についてお話いただきました。
  • 「文化力」・・・・本来の文化に渡来の文化を融合させ、調和させる力を意味する言葉としてもちいています。
   第2回講演上田先生写真

講師:各回とも
 上田正昭
 先生(京都大学名誉教授・大阪府立中央図書館名誉館長)
会場:当館ライティーホール



<受講者のみなさんの感想です>(抜粋)

■第1回
  • 先生のお人柄の良さにひかれ続けて、ここ4、5年ずっと参加しております。ただ、もう少し本論の内容に忠実に、また深みを持たせていただけたらと。先生の雑談も面白く、ためにはなるのですが、出雲について知りたいと思って参加された人たちにとってはちょっと物足りないなと。次回7月4日は内容の濃さを期待します!
  • 良い勉強になりました。ありがとうございます。
  • 以前より出雲地方に興味をもっており、大変面白く聞かせていただきました。上田先生の本もたくさん紹介していただきありがとうございました。是非博物館へゆっくりとまいりたいと思います。
  • 知識として知っていることもありましたが、古代出雲と現代を合わせて考えることができるお話で非常に有意義でした。
  • 本を読める知識だけでなく、上田先生の経験談が聞けた。話もじょうずで、あっと言う間に時間が過ぎた。「出雲博物館に行かなければ」と改めて思った。
  • 図書館には申し訳ないけれど、今回の内容は本を読んで得られるものではない。演者の長い学者の実績が話の処々ににじみ出ている。聞いてよかったとつくづく思った。タマに出る演者のヒトリゴトがいい。家に帰ってゆっくり古事記をよみたい。
  • やはり上田先生の話はすばらしい。年りんを感じます。
  • 上田先生の古代出雲の成り立ち等のお話を聞かせて頂き目からうろこが落ちる。感銘は一入です。先生の更なるご健勝、ご活躍を祈念致しております。(※原文のまま)
  • こんなに多くの方が古代史に興味を持っておられることを改めて知った。家で、夫や子どもにとうとうとしゃべっても「ハイハイ」「またか・・・」と言われているのに。私はひとりぼっちじゃないんだと心強くなった。上田先生のお話は今、目の前で古代の人達がたちあらわれる様だ。古典をよむと、どの時代の人(特に官職の人)も出雲大社が倒れたりすると大さわぎで新築する場面がでてくるが、記紀には記されぬ不思議な力が出雲にあることを先生のご講話で分った気がする。
  • ありがとうございました。自身の国をみつめる事、古くより伝えられてきた歴史という道のりを知り、考える事が、これからの現在からの生き方、社会の行方を考える事につながると思いを新たにしました。古きを知り新しきを考える。長い長い流れの中の一区分という現代−自分の生に思いをはせる事もできました。出雲に又、行ってきたいと思います。
  • 出雲の出身者として故郷の優れた歴史や事実を教えていただき大変喜びました。機会を見て、未だ見ていない新しく発見、整備された所を中心に是非再探訪したい。

■第2回
  • 神話と伝説、昔話の違いが明確に理解できた。伝説は各地の長老が語り伝えたものであろうが、「神話」は誰がどのようにして作成し、語り伝え残したのか。又根拠は?又何の為に作ったのだろうか?時の権力者が世の中を治める為、倭国の成り立ちを形成する為だったのか。邪馬台国の崩後は各地に豪族が割拠していただろうから、統一を目指した神武天皇一族が意図したのか。紀元前660年の紀元節の科学的根拠、伝説は一体あるのか?各風土記は各地豪族の成り立ちや遺跡をもっと研究する必要がある。小生は神は信じぬが神話の作られた根拠はあると思っている。地球の成り立ちがあるように倭国の倭人の成り立ち生い立ちもあるだろう。一歩ずつでも追いかけたいものだ。
    宣伝には「渡来・・」云々とあるので、そのあたりの内容も期待していましたが何も出てこず宣伝負けしたものでした。政治の話もいいですが、もう少し誠実な内容の話をお願いします。時間がもったいないです。
  • (1) 日本の歴史は遺跡の発掘の進歩、その解釈の変化等著しいので、若い研究者達のきたんのない意見が出る様なトーク式の方法で・・・(2)多岐の方々により、日本とは何か?日本人は何処から来たのか?日本人は何か?等のテーマで議論する会を構築して戴いたら・・・と思います。
  • 本日の話も大変面白かったです。日本の「起り」をもっともっと調べたいと思います。このことを次の世代に伝えていきたいと願っています。先生のお話、もっともっと聞きたかったです。また企画してください。
  • 説明がわかり易く聞けた。出雲と大和、難波、九州とのつながりを事例を混えて教えて欲しかった。朝鮮から北九州、日本海側の山口、島根、鳥取等は船では到着し易い場所と考えられる。これ等古代の朝鮮、唐などとの交易なども併せて説明して欲しい。
  • 「神話」と「伝説」と「昔話」の違い、日本神話は「古事記」「日本書紀」「出雲国風土記」「古語拾遺」「先代旧事本紀」などからなる、などなど、改めて気付かされることがありました。
  • 記紀だけでは神話研究は不十分であるというお話がとても印象に残りました。「中央」と「地域」の視線の違いなど、現代に通ずるものを感じました。
  • 上田先生のお話は何度聞いても楽しく心が引きつけられます。やはり『人がらと経験の力はすごい』と思いました。
    楽しいひとときでした。ありがとうございました。
  • 日本の歴史と云えば弥生、古墳時代(ヤマト)と思っていました。前回、今回の上田先生の講習を聞いて、出雲神話に興味がわいてきました。府民講座は6月号の府政だよりで初めて知りました。大阪南部(忠岡町)に在住してますので、同講座の年内実施情報を詳しく早く知る方法はないか。今後も継続して参加したいのでよろしく願います。
  • 本日、上田先生の講演を初めて参加しました。前から一度参加したいと思っておりました。本当に素晴しい内容であっという間にすぎました。次回を楽しみにして又、参加したいです。
  • いつも感じるのですが、もっと若い人達に歴史講座を聞いてほしいと思います。もっと若い人が来れるPRをしてもらいたいと思います。



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