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人文系資料室
資料案内 08
2007年10月

中国ミステリーの世界



イギリスにシャーロック・ホームズがいるように、日本に大岡越前守がいるように、中国には包拯(ほうじょう)という大スターがいます。
包拯は、宋代の実在の人物で、名裁判官とうたわれました。
包拯を主人公とした『龍図公案』をはじめとして、明代には、「公案」と呼ばれる裁判物が、非常に人気が高かったそうです。


日本語で読める中国古典ミステリー

「中国」を描いたミステリー



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          日本では、あまりなじみのない中国ミステリーの世界を少しのぞいてみませんか?

書名 編著者名 出版者 出版年 請求記号 内容紹介
棠陰比事
(中国古典文学大系 39 所収)
桂万栄 編 平凡社 1969 928/7N/39 宋代(1207年)に編纂された裁判実話集。「大岡政談」など、江戸時代の裁判物の成立に大きな影響を与えた。
鹿洲公案 
 清朝地方裁判官の記録 
藍鼎元 著 平凡社 1979 080/T1 清代、著者が潮陽県(広東省)の知事をしていた時期(1727年ごろ)に、実際に扱った裁判事件の記録。
三侠五義
(中国古典文学大系 48) 
石玉崑 作 平凡社 1978 928/C2 清代(1879年)に刊行された、公案・武侠小説の最高傑作。主人公は、北宋の名裁判官・包拯。
捜神記 干宝 著 平凡社 2000.1 923.4/8N 晋代、四世紀の半ばごろに成立したといわれる怪異短編小説集。後世の小説に多く素材を提供し、中国小説の祖といわれる。「孝女のたたり」には、名裁判官が登場。
聊斎志異 上
(中国古典文学大系 40)
蒲松齢 作 平凡社 1978 928/C2 清代(1670年ごろ)に書かれた怪異短編小説集。数は少ないが、「臙脂」など、ミステリ仕立ての佳品が収められている。
聊斎志異 下
(中国古典文学大系 41)


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書名 編著者名 出版者 出版年 請求記号 内容紹介
真珠の首飾り ロバート・ファン・ヒューリック 著 早川書房 2001.2 L9/1698N 著者はオランダ人。18世紀に中国内で人気を博した「狄公案」に感銘を受け、この名シリーズを生み出した。現在10点が刊行され、本書は第一作。唐代の名政治家・狄仁傑の活躍をご堪能あれ!
チャーリー・チャンの活躍 アール・デール・ビガーズ 著 東京創元社 1978 L933/1508N/ビガ チャーリー・チャンは、太って、子沢山で、聡明で、「論語」を引用しては人を煙にまく名探偵。『〜の追跡』も同文庫で読める。中国人=悪人のイメージを覆した本格推理小説。
酒国 
特捜検事丁鈎児の冒険
莫言 [著] 岩波書店 1996.1 923.7/77N/モイ 権力者が人肉を食べているという情報を探るため、丁鈎児は酒国へ潜入する・・・。探偵小説の枠を借りた実験小説。著者は、中国で最もノーベル文学賞に近い作家と風評が高い。
山田風太郎全集 
10 妖異金瓶梅 
山田風太郎 著 講談社 1971 222/921/# 中国四大奇書の一つ「金瓶梅」をベースとした連作短編。犯人探しに重きをおかない破格のミステリだが、凄まじい動機と奇想が一大世界を作り上げ、読者を魅了する。
紅楼夢の殺人 芦辺拓 著 文芸春秋 2004.5 913.6/25234N/アシ 「紅楼夢」が、「探偵小説であること自体が探偵小説としての仕掛けにつながっている作品」を目指したというメタ・ミステリ。
琥珀枕 森福都 著 光文社 2004.8 913.6/25631N/モリ 帯のキャッチフレーズは、「森福版”聊斎志異”」。著者は、古代中国を舞台とした小説を得意とし、『双子幻綺行』、『吃逆』などミステリ系の作品も多い。
陳舜臣中国歴史短篇集
5 王朝推理篇
陳舜臣 著 中央公論新社 2000.5 913.68/337N/5 現在は中国歴史小説家としての顔のほうが有名だが、著者のデビューは江戸川乱歩賞。本書には初期の名短編、唐代を舞台とした「方壷園」などが収録されている。
もろこし銀きょう伝 秋梨惟喬 著 東京創元社 2007.8 913.6/31606N/アキ 「水滸伝」時代の中国を舞台に描くミステリ連作集。著者は本作に収録の「殺三狼」で、第3回ミステリーズ!新人賞を受賞した。
宋の検屍官
中国法医学事件簿
川田弥一郎 著 祥伝社 1999.9 913.6/13295N/カワ 12世紀、北宋の検屍技術は世界最高水準だったという。外科医としてのキャリアをもつ著者が12世紀中国を舞台に描く法医学ミステリ。
玉人 宮城谷昌光 著 新潮社 1996.7 913.6/7134N/ミヤ 中国歴史小説界で一時代を築いた著者は「この作品集はミステリー的な部分があるなと、あとになって気がついた」と述べた。六篇の恋物語。
外地探偵小説集 上海篇 藤田知浩 編 せらび書房 2006.4 913.68/533N 「外地」を舞台にした日本の探偵小説を集めたアンソロジー。本書では、中国共産党以前が政権をとる以前のオールド上海が描かれる。他に『満州篇』もあり。
チャイナタウン S・J・ローザン 著 東京創元社 1997.11 L933/3910N/ロザ アメリカ生まれの中国人女性探偵リディアを主人公としたシリーズ第一作。舞台となるNYのチャイナタウンにも、中国の文化は根付いている。七作まで邦訳あり。


【参考文献】
     『中国ミステリー探訪』 井波律子/著、日本放送出版協会/出版、2003年/刊 (923/14N)
     『謎のギャラリー』 北村薫/著、マガジンハウス/出版、1998年/刊 (902.3/81N) P.47-70「中国公案小説と日本最初の本格ミステリ」



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