『はらっぱ』の復刊にあたって
大阪府立中央図書館長 中平 正子

このたび、『はらっぱ』を復刊することになりました。『はらっぱ』は、昭和60年2月に、大阪府立中央図書館の前身である府立夕陽丘図書館(平成8年3月に閉館・廃止)児童室が《じどうしつだより》のかたちをとって、児童書の紹介、集会の報告、児童奉仕のあり方等について、児童奉仕にかかわる人々、子どもと本に関心のある方々に向けて、おおむね年1回のペースで、情報提供を行なうことを目的としていました。その後、中央図書館の開館とともに引き継がれましたが、諸般の事情で第20号をもって休刊していました。このことは、当時から在籍する職員、また先輩たちの思いを引き継いだ職員にとっては、心残りであったと思います。

「子どもの読書活動に推進に関する法律」が平成13年に施行されて6年、また平成17年には、「文字・活字文化振興法」が制定されました。国におけるこのような動きを受けて、各地の学校・図書館等においてさまざまな取組み、努力がなされているにもかかわらず、子どもの読書離れが相当に進んでおり、さまざまな懸念が表面化してきています。

読書の大切さ、その効用については大方が唱えているところであり、子どもたちが「質のいい読書」をすることは、「子どもがちゃんと育つこと」につながっていくのではないでしょうか。また、子どもが本を読むこととあわせて、大人が本を読む姿を子どもに見せること、本に謙虚に向き合っている姿を見せ続けることは、子どもの心の中に人としてのあるべき姿・かたちを刷り込むことになるのではないでしょうか。この意味でも、読書の大切さを訴え続けていかなければなりません。

当館においては、昨今の子どもの読書離れへの対策を考えるにあたって、図書館の資源である《本》と《人材》、《ノウハウ》を使って、「何ができるのか、どういうことをすればいいのか」の検討と取組みを進めていますので、社会全体で取り組まれている読書教育・読書活動の充実のために、図書館としての役割を発揮していきたいと思います。

このような中で、「『はらっぱ』を復刊したい」という職員からの提案を受けて発行しますので、この『はらっぱ』が、読んでみてどこか心に残り、傍らにおいて少しは役立ち、そして子どもと本に関わる者の思いを交流できるような、当館発信の《図書館便り》として、府内公共図書館だけでなく、学校、地域等において活動する方々も含め、広く子どもと本にかかわる人々への支援となるよう、《号》を重ねていくことができれば嬉しく思います。どうか皆様方のご理解とご支援とともに、ご意見・感想あるいは投稿などもいただければ、幸いです。

『はらっぱ』 No.21 「『はらっぱ』の復刊にあたって」 より