<事例発表2>「One Book One OSAKA事業-大阪市の1冊の絵本-」
大阪市立中央図書館 川窪和子

●「One Book One OSAKA」とは

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平成20年度の大阪市職員政策提案制度を活用し、図書館職員グループが当該事業を提案し採用されたものです。

これは、姉妹都市のシカゴ市公共図書館の「One Book One Chicago」より発案されたものです。 この事業は、年に2回、図書館がシカゴの1冊を決定して市長が発表、そして街中がその1冊の本を話題に盛り上がるというコミュニケーションツールとしての読書を共有する催しです。

さて、One Book One OSAKA事業とは、子どもや保護者、市民が「お気に入りの絵本」1冊を選び投票し、市民ボランティアを中心とする運営委員会や、公募した小学5年生~中学生で構成される子ども運営委員会で審議の上、「大阪市のOne Book」を決定するものです。 また、同時に市民ボランティアがさまざまな場所でOne Book事業を紹介し、One Book関連イベントや絵本に出てくる料理づくりなど、絵本を介した世代間交流事業を実施します。

●これまでの取り組み

One Book One OSAKA 事業実施要綱の作成、運営委員の任命、運営委員会の開催を経て、

Ⅰ 投票

①第1回(平成21年度)

投票受付期間:7月~ 2月末(8ヶ月間)

投票数:8,466票

②第2回(平成22年度)

 投票受付期間:7月~12月末(6ヶ月間)

 投票数:13,014票


【第1回平成21年度チラシと投票用紙】画像
第1回 平成21年度 チラシと投票用紙

【第2回平成22年度チラシと投票用紙】画像
第2回 平成22年度 チラシと投票用紙

市内の学校園、保育所、区役所など600施設と協力して投票用紙を配布・回収しました。

お気に入りの理由を絵や文章で表現した力作ぞろいの投票用紙は、開票作業後も図書館内で展示し、ファイルに綴じて自由閲覧にしました。

【展示風景】画像

Ⅱ One Book発表会

4月23日の子ども読書の日に、結果を発表し、市長自ら読み聞かせをし、ブックトークやピアノ伴奏にあわせた読み聞かせなど楽しい催しも同時に実施しました。

①第1回のOne Bookは

 「はらぺこあおむし」 エリック・カール/作(偕成社)

シリーズまとめて1位の「ぐりとぐら」より、単独本としての投票数でまさった「はらぺこあおむし」が審議の結果、第1回のOne Bookと決定。

②第2回のOne Bookは

 「ぐりとぐら」 中川李枝子/作 大村百合子/絵(福音館書店)

第1回One Bookとなった「はらぺこあおむし」の投票数が多かったが、事業の趣旨から第1回と第2回は同じでないほうがよいとの運営委員会の審議の結果、「ぐりとぐら」に決定。

                    

Ⅲ One Book 関連行事の開催

1)One Book上位ランキング絵本のおはなし会と絵本展

2)世代間交流事業

①「高齢者向け絵本講座-童心にかえって絵本を楽しもう!」

②「折り紙教室-絵本の主人公を折ってみよう」

③「子どもボランティアおはなし講座-おじいちゃんおばあちゃんと一緒に絵本を読もう」

3)親子料理教室「ぐりとぐら」のプリンをつくろう! など

【ピアノ伴奏にあわせた読み聞かせ】画像
ピアノ伴奏にあわせた読み聞かせ
【「遊ぼう! One Book はらぺこあおむし絵本展」】画像
「遊ぼう! One Book はらぺこあおむし絵本展」
延べ1,300人の参加者を得て大盛況でした。

●第1回、第2回を終えて(成果)

①ランキングの中間発表や、子ども読書の日に開 催するOne Book発表会等、たびたび、マスコ ミ(新聞:朝日・産経・毎日・大阪日日、雑誌: 大阪人ほか)にも取り上げられました。

②また、第2回の総投票数が、第1回の8,466票 を大幅に上回る13,012票になるとともに、中央 図書館のOne Bookイベントや地域図書館の関 連イベントの参加者総数が、約400人から約 5,300人となるなど、事業への認知度や読書へ の関心・意欲も高まりました。

③結果、他の取り組みとの相乗効果もあり、絵本 の貸出冊数も増加しました。

 
★投票数・イベント参加者数

【表「投票数・イベント参加者数」】画像
★絵本の貸出冊数

【グラフ「絵本の貸出冊数」】画像

●市民との協働・連携

市民ボランティアが中心となった運営委員会

や、公募した小学5年生~中学生で構成される子ども運営委員会で、One Book決定に向けた審議のほか、投票促進や読書機運を高めるための関連イベントの企画、実施まで一貫して行うなど、市民との協働で事業を進めることができました。

市内の学校園、保育所、区役所など600施設と協力して投票用紙を配布・回収し、One Book決定後は出版社や書店の協力を得て広報するなど、他施設・企業とも連携して取組を進めることができました。

 

●子ども運営委員会からの主な意見反映

 ①シンボルキャラクターをつくる。

「One Book One OSAKAの票田となるのは、なんといっても子どもなのだから、子どもに興味を持ってもらうために、もっと楽しくかわいいホームページを目指すべきである。One Book One OSAKA のシンボルキャラクターをつくるべき」との意見が出され、ブッくんとなにワンが作られました。 子ども用の利用案内やHP「なにワンとブッくんのへや」でも活躍しています。

【ブッくん・なにワン】画像

②投票用紙の配布、項目の工夫

・投票用紙に年代を記入する欄を設け年代別ランキングを出す。

 →年代別ランキングリスト配付、HP公開

・学校への投票用紙配布時期について、プリント類は夏休み直前に集中するため、7月は避ける。

 →第3回の配付は5月~

③チラシは大阪らしさを出し、お役所言葉はやめ、 キャラクターの吹き出しで親しみやすい話言葉 で呼びかけて。色使いは明るく。

      

→p.11(平成23年度チラシと投票用紙)参照

④図書館ホームページ上に専用ページ開設

→p.11(One Book One OSAKA のHP)参照

第3回 平成23年度 チラシと投票用紙

【第3回 平成23年度 チラシと投票用紙】画像

One Book One OSAKA 専用ページ

http://www.oml.city.osaka.jp/1bk/1bktop.html

●課 題

・当初計画では、平成21~24年度の取り組みと し、投票は21~23年度の3回実施。

・24年度はOne Book関連イベントのみ実施の予 定。

・それ以降は未定。財源の確保や継続の必要性、 事業効果の検証等を問われている。

【One Book One OSAKA専用ページ】画像