研究協議

●パネリスト

宝塚市立西図書館    亀井 京子氏

大阪市立中央図書館   川窪 和子氏

東近江市立永源寺図書館 江竜喜代子氏

●コーディネーター

香芝市民図書館   館長 谷垣 笑子氏

●助言者

鳴門教育大学名誉教授  佐々木宏子氏

研究協議は、事例発表を聞いたあと、フロアーから質問票を提出していただき、それに答える形で進行しました。各行事の予算やPR方法、補足説明などでした。詳細は省略させていただきます。ご了承ください。

フロアーから出た佐々木氏への質問に対する回答の一部を紹介します。

Q.次世代は電子図書の時代になっていくだろうが、先生のお考えと、本の可能性は?

A.多々メディアが出てくるが、さらに質があがった言葉メディア、文字のメディアが創造されるかに関わってくる。赤ちゃんには電子メディアは無理。「めくり」は読み手と聞き手のリズムがある。深いコミュニケーションは紙媒体ならでは。人と人とのコミュニケーションの基本。教科書は電子書籍になるだろう。電子書籍も一点一点選び抜く力が必要になってくる。

<助言者まとめ>

事例発表館の職場のチームワークがいいのがわかる。新しいことをするときには、チームワークが必要。そこに図書館の持つ可能性を感じた。予想しない役割のものができる。

地域に児童図書室をつくっているが、こどものお目当ては、学生ボランティアのおにいさんとおねえさんと遊ぶこと。本もあったのかと、遊んだあと、本を借りて帰っている。

図書館という本のある子育ての場所として、光を当てていけば、可能性はある。若い大学生のボランティアを投入するとか。本があって、ネット、まんが、今子どもの興味がある物、様々なツールを置き、どんどんこちらに引き込んでいく。利用者の意見をベースにしたら、利用者の口コミが大きく広げてくれる。あまり恐がらずにどんどん図書館の役割、機能を変えていくと、新しいイメージの図書館像が出てくるかもしれない。

アンケート結果

基調講演について

・本が、図書館が子どもにどんな役割を果たすことができるのか、考えるきっかけとなった。改めて読書という行為を考え直さなければならない時代だ。読書とはただ本を読むという事ではなく、そこから第三者に伝えるというアクションまでを起こすことで、生活に読書を活かし、人間としての力をつける表現のひとつになることを教えられた。

・「絵本を小さい頃から読み聞かせていたら、ずっと本好きになるのではない」とか、「子どもによって読書に関心を持つ時期が異なる」には驚いた。ならば公共図書館としては常に誰でもいつでも、均等な読書環境の提供が必要だ。

・読みたいと思ったときに読める環境として学校図書館、公共図書館が整備されていくことが大切。

・赤ちゃんと絵本の映像を見ることができて、大変わかりやすい講演だった。同じ絵本でも子どもの反応が違うことに驚いた。子どもは一人一人違うのに、同じような反応をすると思っていたので、偏った見方に気づかされた。「個を見ることが大事」で、なんでも平均値で見がちなのは気をつけたい。

・「子どもへの読み聞かせは読み手と絵本、対子どもでなく、子ども・絵本・読み手の三角関係のスタイルがよい」に驚いた。日頃子どもに読みきかせをする場合、子どもの反応を見ながら読んでいる。子どもも読み手を見ているとは。絵本はコミュニケーションツールだと言える。

・電子図書やネットの状況を絡めながらの講演で、児童と本を媒体としてどう接するかの参考になった。

・メディアの多様化の中で、本を読むことにどんな意味があるのか、深く考えさせられた。

・現在の子どもを取り巻く新しいメディアの状況について、積極的に情報収集して考えておられることに感服した。

・拡張現実についての話がとても興味深かった。

・新しいメディア、今の子ども達のメディアとの関わり方について知ることができ、図書館としてどう関わっていくか考えるきっかけになった。

事例発表について

・様々な規模の都市の事例発表が聞け、発表されたことを参考に、少しでも子どもの読書を推進する活動ができたらと思った。これから公共図書館は行事を企画し、実行していかなければならないので、新たな催し物のヒントを得られた。

・事例発表の内容をそのまま実施できなくても、PRの方法や着眼点など、今後の取り組みに活かしていきたい。

・館長の賛同、協力を得られること、一人でなく、スタッフ全員の気持ち、パワーが必要だと思った。

・各館がいろいろな工夫をして、子どもたちと本をつなげていこうと努力しているのがよくわかった。

・リスクばかりを先に考えてしまいがちだが、新しい試みに意欲的に取り組んでいる館のことを知り、刺激を受けた。

・様々なメディアがあふれているが、絵本や児童書など、子どもの本は、その役割や読まれ方に変化はないように思った。

研究協議について

・図書館は本がある場として提供できる、子育て支援の場としての可能性を秘めている、本を媒体にコミュニケーションを促進させる効果を期待できる場所。など、図書館の可能性を示していただいた佐々木先生のお話が、とても参考になった。

・研究集会に参加して、図書館のできること、これからの図書館サービスは、より多様化し、新サービスが要求されていくのだと感じた。また、児童サービスのあり方についてもう一度考える機会になった。