対談 金原瑞人さん×令丈ヒロ子さん 「12歳からの読書 ‐言葉・ことば・コトバ‐」 (要旨)

金原さんのオススメの令丈さんの作品『モナコの謎カレ』

対談中の土居さん、令丈さん、金原さん の画像
(左から)土居さん、令丈さん、金原さん

土居(以下、土):皆さんこんにちは。

ただいまから、金原瑞人さんと令丈ヒロ子さんの対談を始めさせていただきます。

コーディネーターの土居安子です。どうぞよろしくお願い致します。

あらためましてご紹介いたしますが、ヤング・アダルト(以下、YAと表記)のジャンルのフロンティアであり、すぐれた児童文学を数多く翻訳されている金原端人さんです。

そして、子ども読者に圧倒的な人気があり、子どもの視点でたくさんの作品を書いていらっしゃる令丈ヒロ子さんです。それではまず、お互いの作品についてお聞きします。

『モナコの謎カレ』表紙画像
『モナコの謎カレ』

金原さん、令丈さんの作品でお好きな作品は何でしょうか?

金原さん(以下、金):やっぱり最新刊の『モナコの謎カレ』(1)でしょうか。新しい装幀で、加筆されたモナコちゃんの話からはじめましょう。

令丈さん(以下、令):お願いします。

金:令丈さんの作品のおもしろさっていうのは、サバサバした文体、キャラのおもしろさ、そして展開の妙という、この3つかと思います。それでもって、伝えるべきものがしっかり伝わってくる確かな手応えと僕は思っていて、赤木かん子さんも、たぶんそんなところで令丈さんの作品をあちこちで褒めているんだと思います。今回タイトルを変更したんですよね。

令:『ハジメはゲンシ人』(2)から変え、一部書き直しもしました。

金:どういうところを書き直しましたか?

令:もともと『ちゃぐりん』(3)という雑誌に連載した作品ですが、一見、乱暴者に見える男の子が、キャラとしては実は反対だったという設定でした。野性的で裸足で走り回る子どもの代表として「原始人」というあだ名がつく設定だったんですけど、今の子どもに原始人がそういうイメージかというと、ちょっと難しいと思ってその部分をおもに書き直しました。

また、携帯の扱いがどう考えても今の小学生が読んで違和感を持つだろうなというところも直しました。かなり若いときに書いているので、ちょっと説明が足りないところも我慢できずに1~2行足したりもしました。本当は、昔の作品はその年齢で精一杯書いたものだし、書き変えるとリズムも変わるのでそのまま出すようにしたいんですけど、我慢できなくて。

『ちゃぐりん』表紙画像
雑誌『ちゃぐりん』

金:表紙も変わったんですか。

令:『ちゃぐりん』連載時は、非常にほのぼのとした絵だったんですが、理論社さんで単行本として出すときに、とってもかわいい絵を描かれるイラストレーターさんに依頼して、当時の児童書としては珍しいような、おしゃれな感じの表紙になりました。

それがまた時代を経て、その表紙が子どもっぽく見えるようになってきたんです。そこで、また思い切ってマンガ家さんでもある藤岡ようこさんに描いていただきました。装幀のデザインもかなり若い方にいろいろ工夫をしていただいて、キャラの絵も現代的な美少年になっています。このタイプの絵の方が、今の小学校の4、5、6年生の女の子が見て違和感がないかなと思っています。

新版『魔法少女レイチェル』表紙画像旧版『魔法少女レイチェル』表紙画像
新版『魔法少女レイチェル』 旧版『魔法少女レイチェル』

金:表紙を見て「こういう時代になったんだなぁ」という気がしますよね。マンガ家さんに表紙を書いてもらうことに対して、令丈さんは違和感はないですか?

令:最初は大丈夫かな?と思ったんですよ。でも、実際の読者の方の好きなものとかいろいろ考えるとこの絵がいいと思いました。書いた時が古いから文章と合わなくて浮いちゃうんじゃないかなというのが一番心配した点ですが、本ができてみたら一つの世界になったなと思いました。

金:ぴったりきてますよね。いいですよね。

『ふしぎの国のアリス』表紙画像
角川つばさ文庫版
『ふしぎの国のアリス』

僕も最初、「レイチェル」(4)あたりがマンガっぽい表紙に変わった時には、エッ!と思ったんですけど、この方が今の若い読者にはぴったりくるみたいです。

ティム・バートンの映画『アリス・イン・ワンダーランド』が上映されたとき、角川がそれまで文庫で出していた『不思議の国のアリス』をそのまま新書版にして、マンガっぽい絵にして並べたら(5)、圧倒的に角川の方が売れたという話を聞きました。やっぱり今の小学生にはこっちの方が手に取りやすいのかな、という気がしています。そういう意味では、感性っていうのがずいぶん変わってきている。にも関わらず、令丈さん、そこで負けずに頑張って若い読者を相手に圧倒的な人気を誇っている理由って何だと思います?

「若おかみ」のファン層

令:そうですね。26歳のデビューの頃はかなり読者の年齢に近く、若い書き手が少なかったので、それを勝負にいかに現代的に描くかを頑張ろうという感じでした。ところが、実際それで頑張ろうと思うと空回りすることが多かったんです。

そのうち、12歳の女の子の悩みの基本っていうのが今も昔もあんまり変わらないなということに気付きました。友だちとうまくやりたいとか、自分の体がどんどん変わっていく時期ですから、人と違うことを気にする。眉毛が繋がっていてイヤですとか、かわいくなりたいという気持ちも、昔も今も一緒。彼氏関係の相談も、結構お手紙でいただいたりします。ただ、中学生と小学生ではだいぶ違いますね。

金:そんなに違うんだ。

令丈ヒロ子さんの画像
令丈ヒロ子さん

令:時代とともに低年齢化でどんどん早くなっているのかなと思ったんですけど、気持ちとしては大きく変わっていないように思います。シチュエーションとしては早いんです。小学校6年生で三角関係とかが手紙にも出てきます。ところがよく内容を読んでみると、友だちにこう思われるとかを気にしてたりするんですね。だから、OLさんの三角関係とは悩んでいる質がずいぶん違うんです。やっぱりこれぐらいの年齢の子どもって、まず友だち同士の付き合いをどういうふうにするのかが、最も大きな関心事のようです。

例えば、5人ぐらいの女の子の仲良しグループがあって、みんなそれぞれ片思いの男の子がいる中で、1人だけ男の子に興味がなく、好きなタイプの子もわからない子がいる。男の子より本を読むのが好きなんです。でも「一生懸命、好きな男の子がいるフリをし続けて辛いんです」とか、そういう悩みが6年生ぐらいからたくさん来ます。片思いの悩みも多いんですけど、どう言ったら伝わるかという相談内容かと思えば、友だちにからかわれるのがイヤという悩みが80%。まだまだ相手の男の子を異性として受け止めてないようです。

『黒魔女さんが通る!』表紙画像
『黒魔女さんが通る!』

土:前に、「若おかみ」ファンと石崎さんの「黒魔女さん」(6)ファンとでは全然違うとおっしゃっていましたが、どのように違いますか?

令:「黒魔女さん」ファンの人は、気前がいいんですよ。読者プレゼントでその本を買わないともらえない「黒魔女さん」のイラストのついたハガキがあるんです。「黒魔女さん」ファンはそのハガキを惜しみなくファンレターとして送ってくるそうです。ところが、「若おかみ」のファンレターは読者プレゼントのハガキは1枚もない。みんな質実剛健(笑)みたいな感じです。全国から送ってくれるプレゼントもすごく素朴で、折り紙の手裏剣を送ってくれたりします。

金:折り紙の手裏剣?最近の小学生にもいるの?

令:見ないでしょ。でも、全国から私に送られてくるんです。私のファンには作家を労ってくれる子が多いんですよ。たぶん、主人公のおっこちゃんのキャラが、質実剛健で無駄遣いせず、気遣いがあるキャラなので、そういう雰囲気になるのかもしれません。「黒魔女さん」の方はスタイリッシュな話なので、わりとギャグとかをとばして作者である石崎さんにもどんどん突っ込んできたりして、そういうやり取りを楽しんでいるところがあるのかもしれないですね。

金:読者層の違いですかね。

創作の苦労

金:「若おかみ」と令丈さんとは性格的には似てるんですか?

『若おかみは小学生!』表紙画像
『若おかみは小学生!』

令:いや、あんな勤労少女じゃないです。「自分がこうなれたらいいな」「そんなふうに前向きになれたらいいな」という理想型のキャラです。

金:書き方はそういうスタンスなんですか。

令:自然とそうなります。そして、その方が書きやすいかな。

鈴(すず)鬼(き)君って食い意地が張っていて、こずるいことばっかり考えていますが、自分に似てるなと思うんです。自分のダーク面が鈴(すず)鬼(き)君に反映されていますね。

金:反映されているんですね。

令:そうですね。意識してなかったんですけど。

金原瑞人さんの画像
金原瑞人さん

金:江國香織さんと翻訳家対談をしたことがあって、翻訳と創作はどっちがたいへんですかって僕が質問した時に、江國さんが「絶対翻訳の方が楽です。好きです」とおっしゃった。「なんで?」って聞いたら、「翻訳って、やったらやった分、前に進むじゃないですか。創作だと、昨日60枚まで書いたのに今日机に向かったら30枚になってしまったってことがよくある。翻訳をするときには机に体が動いていくけど、小説を書いている時はいくら乗っている時でも机に向かうのがしんどい、って言ってました。

そういう話を石崎さんにして、「書けない時はどうするの?」って聞いたら、「根性で書きます」って言ってました。令丈さんは、書けない時どうするんですか?

令:なんとかします。20代の時は理想も高いので、こうありたいとか、こういう作品を書きたいという思いに自分の技術が追いついていない部分が多くて、何ともできないことがままあるんですけども、年齢を経ていくと、「あ、自分ってこれぐらいのことしかできないな」という部分や、「これぐらいはできる」ということがだんだん把握できてくるので、無理な注文も受けないし、そういう意味でなんとかします。

金:でも、白い原稿用紙やディスプレイを見つめながら、「うーん」って唸っている時とかあります?

令:あんまりないですね。座っている時はなんとかしようというところにいるんです。ただ、江國さんもおっしゃってるみたいに、座るまでがすごくいやなんですよ。

座ったらやることはわかっているんです。職業作家ですから、座ったらなんとかやりだすし、ゼロってことはない。どっかで心の算段はつけてるんですけども、座るまでがたいへんです。

金:這いずるようにして、机のもとまで行って…。

令:もう、泣きながら。ノリノリで、「今日も書いちゃお!」みたいな日は一日もないですね。

金:そういうものなんだ。作家にはなるもんじゃないですね。

令:はい。できたら…

金:翻訳家に?

令:その方がいいと思います。

金:ぜひ皆さん、翻訳家になってください。翻訳家の方が楽しいそうです。

令:そうです(笑)。

金:訳した分、前に進みますもんね。

『かかし』表紙画像
『かかし』

衝撃的だった『かかし』

土:今度は令丈さん、金原さんの翻訳作品でお好きな作品はありますか。

令:とても好きで夢中になったのは、『ウィーツィ・バット』(7)シリーズですね。非常にショックを受けたのが『かかし』(8)です。『かかし』は1冊目でしたっけ?

金:2冊目くらいですね。

令:出版されてすぐに読んでいるので金原さんのお名前も存じ上げませんでした。後になって「あれ、実は僕が訳したんだよ」って言われて「そうだったんだ」って思いました。初めて読んだときに、衝撃度が大きくて、怖いってあんまり思わない方なんですけど、すごく怖くって、背表紙を見るのも怖いのは初めてでした。

金:そんなに怖くないよ。土居さん、そんなに怖くないですよね。

土:影が怖いですよね。ヒタヒタと迫ってくるものに心理的に追いつめられていく怖さがあります。

令:YAで、しかも、軍人のことを「人殺し」というようなことを言うところがあって、いろんな意味で今までになかった怖さを児童書の世界で表現した作品だと思いました。それまでは『開かれた窓』とか『猿の手』とかメジャーなホラー作品はよく読んでいたのですが、それらと共通するおもしろさを感じました。

また、多感な男の子のお母さんに対する気持ちがちょっと薄暗い方向に行くところに強い印象を受けましたね。翻訳が読みやすく、読んだ年齢も若かったので、内容が自分の中にガンと入って来たんです。

『ブラッカムの爆撃機』表紙画像
『ブラッカムの爆撃機』

金:『かかし』はカーネーギー賞を受賞している作品なんですけれども、ずっと訳されないままほったらかされてきたんです。実は後で聞いてみたら、岡本浜江さんや神宮輝夫さんなどが出版社に持ち込んではいるんですが、どの出版社も出さないままだった。

こうして浮いていたのを福武から出してもらえることになりました。あの頃の児童書の中では異色な作品だったらしく、翻訳作品がまだ2、3作しか世に出ていないのに、「ちょっと話をしに来て」と言われて、読書会に呼ばれたこともありました。

それから20年たって、ロバート・ウェストールの『ブラッカムの爆撃機』(9)や『海辺の王国』(10)などが次々翻訳され、今はもうYAでロバート・ウェストールって普通の存在になってしまった。日本のYA読書層が変わってきたのかなという感じがします。

作品と読者との距離感

令:同じテーマを大人向けの本として作家が書いたものだったら、あんなに突き刺さって来ないと思う。だから、YA作品は読者に近いっていう感じがするんですよね。作者が若いとかそういうことではなく、文章の工夫であったりとか、心理描写や主人公の目の付け所とかが、大人の小説よりもかなり読者に近いという感じがするんです。

金:近さっていうのはあるのかもしれませんね。

令:大人向けの作品っていうのは、距離が大人なんですよね。ちょっと離れて事態を見守る冷静さがあるんですが、YA作品は距離が近いので読んでいても臨場感がある。主人公の年齢が思春期であるため、動揺しやすい感じや、ちょっとしたことでビクッとショックを受けたり、思わぬことで傷ついてしまったりする微妙な心理が伝わってきます。

金:距離感って僕も気になっていて、例えば、令丈さんは「若おかみ」や「モナコちゃん」を書くときの読者との距離感ってどういう感じですか。

令:YA作品と小学生向け作品で大きく違うのが、距離です。大人向けに比べたらどちらも近いんですが、小学生向け作品の方は、自分も小学生になっているわけではなく、手を繋いであげている感じなんですね。描写も、子どもはまだそんなにたくさん歩けないし、生まれてからそんなに時間も経ってないので、その歩幅にあわせて、言葉も選ぶし、こけないように手を繋いであげている感じがします。

私には、YA作品でうまくいかなかった経験があります。失敗した理由は、距離の取り方がうまくいかなかったのです。編集さんに「令丈さん、それはYAの読者には親切すぎるんですよ。近すぎるんです。」と言われました。なるほどと思ったんです。大人向けに比べて側にはいるんだけれども、中学生になったら母親に手を繋がれたくない。だから、YA作品には近くにはいるけれども、少し突き放す距離が必要なのだと思います。

金:なるほどね。ずっとそれが気になっていました。令丈さんは『Fragile』(11)にもYA向き短編作品を書いていますが、あれを読んだときに、「あ、ずいぶんスタイルが違うな」と思いました。非常にうまく距離がとれていて、びっくりしたんです。

令:長い間うまくいかなくて、そこがわからなかったんです。編集さんがどう私に伝えたらいいかわからなくて、「そんなに優しくしないでいい」と言ったんです。中学生は自分でものを見たり、自分で考えたりしたいし、こけてもいいから自分で行きたい年頃なのに、あらかじめ親切に「そこに水たまりがあるよ」と言う必要はないということです。でも大人向けの文体みたいになってしまったら、今度は突き放し過ぎて主人公のドキドキとか多感な感じが遠くなりすぎてしまう。試行錯誤を繰り返していました。最近ですね、やっとYAを書けるようになったのは。

『永遠の出口』表紙画像
『永遠の出口』

金:「YAって何?」って言われると困るんだけど、読んでみて、「あ、これはすっきりしたYAになってるな」ていうのが感覚でわかる。それが何なのか今まで気になってたんです。今の令丈さんの話で、なるほどって、ちょっとすっきりしました。

令:テーマは明らかに青春であったり思春期であったりするけれども、距離の取り方によっては大人の思い出になってしまう。ノスタルジーの良さっていうのもあって、またそれが、若い人だけでなく大人が読んでもおもしろい作品になる場合もあるので、範疇が難しいですよね。

土:金原さんが以前に、森絵都さんの『永遠の出口』(12)が大人向きでYA作品と書きぶりが違うっておっしゃっていたと思います(13)が、令丈さんが今おっしゃったこととつながりますね。

YA作品の出版形態

『ウィーツィー・バット』表紙画像
『ウィーツィ・バット』

土:『かかし』が訳されたこともセンセーショナルでしたが、一方で「ウィーツィ・バット」シリーズが訳されたこともセンセーショナルだったと思うんです。

金:あの頃から僕の読者が離れていったっていう話もあるんですけどね。

ロバート・ウェストールやジュマーク・ハイウォーター(14)を訳していた時は、意外と注目されていて、なかなかおもしろいと言われていたんですけども、フランチェスカ・リア・ブロックの『“少女神”第9号』(15)とか、『ウィーツィ・バット』のシリーズを訳し始めた頃から最近にかけては、あまり評価されていません。

あの頃からたぶん僕も変わって、10年ぐらい前から、今さらウェストールじゃないだろうという思いがあります。ロバート・ウェストールの『かかし』を訳した時には『“機関銃要塞”の少年たち』(16)という作品が訳されているだけで、それっきりだったんですけれども、それから『かかし』が出て、『ブラッカムの爆撃機』が出て、『海辺の王国』が出て、ウェストールが一つのYAの常識みたいに定着しました。それで、いつまでもここにいてもしょうがないな、というので、僕はアメリカのフランチェスカ・リア・ブロックやクリス・クラッチャーの方に行きました。リア・ブロックの『ウィーツィ・バット』はどこの児童書の出版社もだめでしたね。

令:それもわかるような気がします。初めて読んだ時にものすごく新しいもの、ちょうどその時の日本の児童書にないような要素を感じて、貪るように読みました。

金:ありがとうございます。日本の児童書にないようなインパクトのあるようなものをぜひ読んでください、と言いたいところですが、もう絶版ですよね。

土:図書館にはあります。1991年にシリーズの第1冊目が出版されています。東京創元社は最近またYA作品でたくさんおもしろい本を出していて『シカゴよりこわい町』(17)もデーヴィッド・アーモンドの『肩胛骨は翼のなごり』(18)も「魔使い」(19)のシリーズも出版しています。

東京創元社だけでなく、河出書房新社の『木曜日に生まれた子ども』(20)など、最近の傾向として、いわゆる児童書以外の出版社からもYA作品が出版されていて興味深いですね。

金:英語圏、フランス語圏でもそうですけど、原書は児童書として出されているものが、日本でYAとして出されることがあり、向こうでYAとして出されているものが日本では一般書として出版されることが結構ある。デーヴィッド・アーモンドなんかもそうですし、『ウィーツィ・バット』も児童書ではない感じで出ていたりします。

令丈さんの今後の執筆予定

金:令丈さん、これからYAを積極的に書いていくっていう予定はないんですか?

令:優先順位としては、新しく立ち上げる文庫のシリーズですね。フォア文庫の『ブラック・ダイヤモンド』(21)っていう作品が2010年10月1日に刊行されます。

金:黒いダイヤ? 石炭ですか?

令:違うんです。「石炭ですか」ってよく聞かれますが、そうではなくて、イメージとしての黒いダイヤで、ガールズサスペンスみたいなお話です。「若おかみ」だったら、幽霊とか魔物の力を借りてわりとおもしろく主人公が難局を乗り切っていく感じで、ユーモア部分が強いんですけど、『ブラック・ダイヤモンド』は、一切ファンタジー的な能力がないままにどうやって日々の揉めごとや人間関係によって起こる小さな事件を乗り越えていくかという作品です。

金:主人公は何歳ぐらいなんですか?

『ブラック・ダイヤモンド』表紙画像
『ブラック・ダイヤモンド』

令:小学校5年生です。5年生にとって、仲良かった女の子が急に口きいてくれなくなったり、そういうことを含めて毎日がサスペンスだと思うんですね。こうした生活部分のサスペンスもたくさん入っていたり、いわゆる小説的なお話としての謎や、その謎解き部分がある作品です。

金:5年生の話を書くときに、取材とか資料集めもするんですか?

令:もちろんいろんな資料はたくさん調べますし、5年生くらいの子の「好きなものランキング」なども情報として一応は見ています。あとは読者のお手紙の感触なども参考にしています。

金:なるほど。それは大きいでしょうね。

令:実際に子どもと話してみて、子どもの興味をリサーチすることは常にやっています。だから、小学生向けの文庫のシリーズものがメインで、あとは絵本や幼年ものの仕事がずいぶん予定に入っています。

金:我々YA作家クラブからすると、裏切り者という感じがするんですけれども(笑)。

令:いや、頑張ってそこの隙間を埋めるように、YA作品も書きたいと思います。

金:隙間なんだ、YA作家クラブは(笑)。

令:YAの新作がないと、世話人も辞めさせられるのではと心配しています(笑)。

金:ないないない。

令:YA作家クラブは、梨屋さん、石崎さん、金原さんもYAにすごく詳しくて、知識も情熱もある方ばかりです。私はそのお手伝いみたいな感じです。でも、YAに詳しくない人間でもその視点でちょっと役に立てるかな、と思っています。

『地球の形を哲学する』表紙画像
『地球の形を哲学する』

最近おもしろかったYA作品

土:令丈さんも金原さんも、日々多くのYA作品をお読みですが、最近YA作家で注目されている方とか、読まれた作品でおもしろかった作品はありますか?

金:最近中高生、大学生に読んでもらっておもしろそうだなと思ったのは、『地球のかたちを哲学する』(22)というポップアップの絵本です。昔の人や今の人、いろんな部族やいろんな国の人が、地球あるいは大地ってどんな形をしているのかという考えをまとめた絵本なんです。

ある部族の人々はでっかい魚がいて、その魚の上に水牛が乗っていて、そのツノの上に大地がぺらーと乗っているということを考えている。どうしてこんな不安定なことを考えたんだろうと思うんですけれども、そういう大地を考える人もいれば、やがて地球が丸いということがわかってきて、それがわかってからも、地球の中は実は空洞だと考えていた人もいるし、地球の中にもう一つぽこっと地球が浮かんでいる、と考えてた人もいた。いろんな人がいろんなことを考えて、21世紀の我々の考える地球が出てきて終わるんです。

しかし、この本がおもしろいのはそこではなくて、終わった後なんです。つまり、200年後、500年後の人々が『地球のかたちを哲学する』という本を作ったら、その後にいくつか地球の形が出ていて、「え?20世紀の連中ってバカだよな、こんなこと考えてたんだ」と思っている時代が多分この先にあるはずなんですよ。そこまで含めた広がりをもった絵本としてみるととてもおもしろいと思う。そういう意味でこれはとてもおすすめ絵本です。

『異界から落ち来る者あり』表紙画像
『異界から落ち来る者あり』

土:令丈さんはいかがですか。

令:これはおもしろいというシリーズは、個人的にも仲が良いんですけれど、香月日輪先生の『妖怪アパートの幽雅な日常』(23)があります。このシリーズは終わってしまったんですけれど、理論社さんの「大江戸妖怪かわら版シリーズ」(24)はまだ終わっていません。この作品は、異界に孤独な少年が落ちて、そこで楽しく異形なものたちと暮らすという話なんです。日本のファンタジーとして、上橋菜穂子さんや荻原規子さんのように新しい世界が創造されている話はあるのですが、この作品は異界に行きながら、いわゆるファンタジーというより幻想小説的な世界になっているという点がおもしろいと思いました。また、コメディー部分もあって、あくまで娯楽小説としての基礎もしっかりしているので、幅広く楽しめるんです。

もう1冊、『初恋芸人』(25)という、ちょっとナイーブな芸風の芸人さんが書かれた小説があります。芸人小説というと、芸の世界を中心にした話が多いんですが、この作品の主人公は、芸人になったいきさつも、内向的な子が外の世界との接点として、芸人をやっているぐらいの設定です。その子が、初めて自分のファンだという女の子ができてすぐ恋しちゃうんですけれど、結果的にとても悲惨な恋の終わり方になります。主人公の男の子がこんなふうに期待して、傷ついて、妄想して、というのがものすごく正直に書いてありました。

女子高生くらいのときって女の子にとって男の子って謎だと思うんですが、この本を読むと何を思っているかすごく参考になると思います。書いている人は全然YAとか思ってなくて、大人向けと思って書いていらっしゃるのですが、こういうYA作品もありだと思ったんです。

 YA作家クラブのHPのお薦め本のコーナーにもその本を入れさせてもらいましたが、ご本人がすごくびっくりされていました。

日本でのYAの出発点

金:今、令丈さんがおっしゃったように、実は日本はまだイギリス、アメリカ、オーストラリアに比べると、YAというかっちりした枠も場所もないので難しいんですよね。

僕は、1987年から『朝日新聞』で『ヤング・アダルト招待席』という、中高生向けの本を3年間赤木かん子と二人で紹介したことがあります。その当時は、それこそYAなんて言葉はどこにもありませんでした。それにもかかわらず、『朝日新聞』は、『ヤング・アダルト招待席』という名前を付けてくださったのですが、赤木かん子は児童書の中からYAっぽいものを引っ張ってきて、僕は一般書の中からYAっぽいものを引っ張ってきたんです。ちょうど1990年までやり続けてリタイアしましたが、その時でも結局YAという言葉は定着しませんでした。

『リズム』表紙画像
『リズム』

それから、さらに10年ぐらい経った2000年ぐらいに、はじめてYAという言葉が少しずつ定着してきました。そのYAの旗手になったのが森絵都とあさのあつこと佐藤多佳子です。3人のデビューは1990年頃で、まず、佐藤多佳子が新人賞をとってデビューして(26)、次の年に森絵都が『リズム』(27)という作品で講談社の新人賞をとってデビューしました。あさのあつこが『ほたる館物語』(28)で出たのがその頃です。

けれども、最初の10年は3人ともなかなか売れませんでした。3人がデビューして10年後ぐらいに、3人だけではなく、国内でYA作家がどんどん出てきて、前後して翻訳作品にもYAがどんどん出版されるようになりました。そして、今ようやくみんながYA、YAと言ってくれるようになり、喜んでいます。そういえば、この図書館にYAのコーナーはありますか?

土:あります。図書館の職員がYAの作品を選んで、自由に読めるコーナーを作っています。今回、お二人がいらっしゃるということで、お二人の作品が並んでいます。

ファンタジーの系譜

土:では、続いて、ファンタジーについて少しお聞きしていきたいと思います。

金原さんは、YA向けのファンタジーを多く訳されていますが、この何十年で変化は見られますか。

金:さっき書庫を見せていただいて、1865年の『不思議の国のアリス』の初版本を初めて手にとりました。そのアリスの前年にチャールズ・キングズリーが『水の子』を書いています。それからジョージ・マクドナルドが『北風のうしろの国』を書いて、この3作がイギリスの児童文学の始めと言われています。

19世紀の終わりに、『ピーターパンとウェンディー』(J.M.バリ作)が出てきて、20世紀に入って、『ピーターラビットのおはなし』(ビアトリクス・ポター作)や、『くまのプーさん』(A.A.ミルン作)、『メアリー・ポピンズ』(P.L.トラヴァース)が出てきて、この流れが戦後さらに引き継がれて、ハイ・ファンタジーと呼ばれる『ナルニア国物語』(29)や『指輪物語』(30)が登場します。

このように、ファンタジーは児童文学の小さな位置を占めていたんですけれど、1960年代半ばに、アメリカで「指輪ブーム」があってはじめて大きな第1次ファンタジーブームが起こり、初めてファンタジーという言葉が市民権を得ました。ル=グウィンやマキリップなどのいろんな作家が登場し、アメリカもイギリスもどんどんファンタジーが書かれていきますが、70年代に入ってだんだん下降してブームはそこで終わってしまいます。

『ハリー・ポッターと賢者の石』表紙画像
『ハリー・ポッターと賢者の石』

そういう時代を経て、2000年の少し前に「ハリー・ポッター」(31)が登場、第2次ファンタジーブームが起こりました。

今、日本ではファンタジーをそろそろ読まれなくなったようなところもあるんですが、今年完結した「パーシー・ジャクソン」(32)の5巻本は今でもとてもよく読まれていて、まだこのブームは続くのかも知れないという気はしています。英語圏ではまだファンタジーは続々と書かれていて、ブックフェアーで向こうの出版社がよく持ってくるのはファンタジーという現象が続いています。

土:特に、この3~5年ぐらい、ファンタジー作品には邪悪な子どもや、がんばらない子どもが出てきたり、変化があるように思われますが、いかがですか。

金:バリエーションがどんどん広がって、ファンタジーの裾野が広がってきているという現象だと思います。

お二人の好きなファンタジー作品

土:令丈さんのお好きなファンタジー作品は何ですか。

令:『ゲド戦記』(33)です。

金:しぶいなぁ。

土:何巻がお好きですか?

令:2巻の『こわれた腕輪』です。

金:いつ頃読みました?

『漂泊の王の伝説』表紙画像
『漂泊の王の伝説』

令:38ぐらいかな。子どもの頃、日本神話やギリシャ神話や幻想小説、SFものは好きだったんですが、ヨーロッパのファンタジーが全く読めませんでした。「あっち側の世界に行っちゃうよ」みたいなのが全然ダメでした。でも、『砂の妖精』(34)は向こうが来てくれて、キャラも立っているので、好きでした。それが年齢とともに急にファンタジーが読めるようになり、『ナルニア国物語』や『はてしない物語』(35)も読みました。

土:金原さん、ファンタジーでお好きな作品って言われたら何がありますか?

金:自分の訳した作品を挙げるのは恥ずかしいので、新しい本から『漂泊の王の伝説』(36)を挙げたいと思います。スペインの作家の書いたファンタジーで、とても好きですね。

質問コーナー

土:さて、皆さんからいただいた質問を少しだけご紹介したいと思います。

金原さんに質問です。

「今まで翻訳された中で、一番難解だったと感じられた作品は何でしょう?」

金:『満たされぬ道』(37)というナイジェリア出身でロンドン在住のベン・オクリという作家の作品です。3年連続で、ノーベル文学賞の候補になっています。

この作品は、ナイジェリアのアビク(赤ん坊の姿をしている精霊)に関する言い伝えを元にした幻想的な現代小説です。言い伝えというのは、子どもが生まれてすぐに死んでしまう現象を、「あれは人間の子どもじゃなくてアビクで、死んですぐにアビクの国に行ってしまったんだよ」というものです。

現代に生まれたアビクの王様の子どもが、何度も同じお母さんに生まれてはアビクの国に帰っていくうちに、ふと「このお母さんのところにしばらくいてみようかな」と思って、この地に居続けることを選びます。それにはお母さんが微笑むところを一回見てみたいという理由もあります。そうすると、仲間のアビクが呼びに来るんです。「そんな、いやらしい人間の世界にいないで早くこっちへ来いよ」って言って。つまりそのアビクを殺しにくるんです。その手をかいくぐってお父さんとお母さんの間で育っていくというストーリーです。お父さんがまたヘンなお父さんで、「水木しげる版ナイジェリア物語」みたいな感じなんですよ。

土:ここの図書館にあります。

金:あるんですね。もう絶版で手に入らないので、ぜひここで読んでみてください。訳すのも大変で、一番思い出のある本ですけれども、たぶん一番売れていない本だと思います。

土:では、令丈さんに質問です。

「創作される時に一番苦労されること、または心を配ることは何ですか?」

令:小学生向けのもの、12歳以下の場合は、キャラクターがその読者の友だちになれるかどうか、ということですね。好き嫌いは別として。例えば「若おかみ」でも、「おっこちゃんみたいないい子は嫌いです。私は、もっとはっきりものを言う真月ちゃんの方が好きです」というハガキが来たりもするんですけれども、そういう本当にいる同級生みたいに思ってもらえるようなキャラクターを描きたいと思っています。

さらに欲をいうなら、大人になったときに思い出してもらえるようなキャラクターを描きたいですね。「こういうとき、おっこちゃんはどうしたかな」と思ってもらえたらこれは最高だなと思って書いています。

土:だから、色紙に「本の中に何人友だちがいますか」とメッセージを書かれるんですね。

金:そういうキャラクターは意識的につくるんですか?

令:書く前からこういう性格の人を主人公にしたいなと思っているときもあれば、こういう話だったら、こういう主人公にしたほうがいいだろうとストーリーの後でキャラを立てることもあり、その時によっていろいろです。

土:もう一つ、令丈さんへの質問です。「どんな時にストーリーが浮かんできますか?」

令:そうですね、どんなストーリーにしようかと考えて作るときもありますし、たまたまテレビとか見ていてぽんと浮かんだりすることもあります。だいたいこういう話にしようって心の中で思っていて、例えば、土居さんと話していてちょっとした一言がヒントになって、「あ、じゃあこの要素を付け加えたらどうかな」みたいに、一度にストーリーができるというわけではないですね。ちょっとずつっていう感じです。

『墓場の少年』表紙画像
『墓場の少年』

土:金原さんに質問です。

「映画『パーシー・ジャクソン』を観ましたが、訓練所の風景が私の想像とずいぶん違っていました。金原さんの想像されていたものは映画に近いものでしたか?」というものですが、同じように、映画化されたものとのギャップに関するご質問がいくつかありました。

金:『パーシー・ジャクソン』も『コララインとボタンの魔女』(38)も、去年出た『ユゴーの不思議な発明』(39)も映画化されましたし、また出版されたばっかりの『墓場の少年』(40)もたぶん映画になる。最近映画化される本が多いですね。

『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』表紙画像
『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』

先ほど講演で、本を読むという作業は想像力を必要とするから入りにくいし、本を読むのは大変という話をしたんですけれど、本は文字だけから全て自分のイマジネーションで作っていくわけです。ということは、想像力、気力、体力を必要とする大変な作業なんだけれども、その分自由度が高いということなんですよね。おそらく同じものを想像している人は二人といない。そういう世界なので、映画になった場合にどうなるかっていうのは、まさか自分と同じわけないと、もともと思っているわけです。自分の頭の中で好きに作っている方が絶対楽しいし、自分にとっての理想の世界でしょう。だから、それが映画で観ると、「エッ」と思ってしまうのは間違いないという気はしますね。一旦原作は忘れてしまって、映画は映画で観るという以外ないような気がするんです。

土:「この監督はこんなふうにイメージしたんだ」という楽しみ方ですね。

おわりにかえて ~YAのこれから~

土:今後、日本でもっとこんなYA作品が出てほしいなとか、もっとこうなってほしいなということがあればお教えください。

金:それって案外ないんですよ。YAを書く作家がどんどん出てきてほしいなと思います。それから、読む方も「YAの作家か、おもしろいじゃないか」というように見てもらえたら嬉しいですね。また、「日本のSFもっと頑張れ」っていうのはあります。

土:女性の作家は多いけど、男性のYA作家が少ないのもすごく残念な気持ちです。

金:そこは括り方次第で、大学生なんかは、森見登美彦や万城目学、伊坂幸太郎や乙一、恒川光太郎もひっくるめてYAと思って読んでいる学生も多い。

土:そう考えると、男性作家が少ないとは言えないですね。令丈さんはいかがですか。

土居安子さん(コーディネーター)の画像
土居安子さん
(コーディネーター)

令:この分野がどうとかいうより、次に何が出てくるかな、というのが楽しみです。できたらバランスよく、いろんな種類の作品があればいいなと思いますね。

土:最後に今日、国際児童文学館の書庫を見ていただいたのですが、児童文学館に向けて一言メッセージをお願いします。

金:かけがえのない本がたくさんあるところなので、ぜひ皆さん、協力してさらにいい図書館にしてください、というのが私からのメッセージです。

令:私は大阪なので、作家志望者だった頃から、高い研究書とか買えないので、千里(41)まで通っていました。クーラーも効いているし、静かですごくお世話になりました。便利な場所に移転されたのでたくさんの方が利用されたら嬉しいなというのと、本当にかけがえのない、世界に一冊しかないような本もたくさんあるので、勉強する方にとってとても大事なところだと思うんです。あまりそのことをご存知ない方もたくさんいらっしゃるので、どうぞそのことを宣伝して、多くの方に資料をご利用いただければ、それが新しい児童文化に繋がると思います。

土:ありがとうございます。お二人のYAや子どもの本に対する思いを皆さんと一緒に聞かせていただき、たくさん勉強させていただきました。

ありがとうございました。  (了)

【注】

(1)『モナコの謎カレ』(フォア文庫) 理論社 2010年9月

(2)『ハジメはゲンシ人-Primitive Boy -』(キッズパラダイス)かまたいくよ画 理論社1997年7月

(3)『ちゃぐりん』は、JA(農協)グループ 家の光協会発行の子ども向け月刊誌。「ハジメはゲンシ人」は、1996年4月~1997年4月まで連載された。

(4)2001-2002年に『レイチェルと滅びの呪文』『レイチェルと魔導師の誓い』『レイチェルと魔法の匂い』(クリフ・マクニッシュ作 金原瑞人訳 堀内亜紀イラスト)のタイトルで理論社から発行。2008-2009年フォア文庫として「魔法少女レイチェル」(亜沙美画)と改題、発行された。

(5)『ふしぎの国のアリス』(角川つばさ文庫) ルイス・キャロル作 河合祥一郎訳 okama絵 アスキー・メディアワークス 2010年3月

(6)『黒魔女さんが通る!! 』(講談社青い鳥文庫) 石崎 洋司作 藤田香絵 講談社 2005年9月~。2010年1月現在、Part13まで発行。

(7)『ウィーツィー・バット』 フランチェスカ・リア・ブロック著 金原瑞人・小川美紀訳 東京創元社 1999年10月。 シリーズ「ウィーツィー・バットブックス」は2008年4月に6作目が創元推理文庫から発行。

(8)『かかし-今、やつらがやってくる-』(Best choice) ロバート・ウェストール作 金原瑞人訳 福武書店 1987年5月。2003年1月に徳間書店から改版が発行された。

(9)『ブラッカムの爆撃機』ロバート・ウェストール/作 金原 瑞人/訳 福武書店 1990年7月。2006年10月に岩波書店から改版が発行された。

(10)『海辺の王国』坂崎麻子訳 徳間書店 1994年6月

(11)『Fragile -こわれもの』 石崎洋司・長崎夏海・令丈ヒロ子・花形みつる著 2007年7月 ポプラ社

(12)『永遠の出口』 森絵都著 集英社 2003年3月

(13)「大人がときめく新・児童文学の凄み」 金原瑞人・森絵都:ゲスト 松永真理:司会 『婦人公論』2005年8月22日 90巻17号 中央公論新社 p.146-151

(14) ①『アンパオ-太陽と月と大地の物語-』(Best choice) 福武書店 1988年6月

②『《幻の馬》物語』 Vol.1-3(Best choice) 福武書店1989年7月

③『滅びの符合』-太陽の帝国アステカの終焉- 福武書店 1991年10月 渡辺了介共訳

(15)『“少女神”第9号』 理論社 2000年1月

(16)『“機関銃要塞”の少年たち』 越智道雄訳 評論社 1980年12月

(17)『シカゴよりこわい町』 リチャード・ペック著 斎藤倫子訳 東京創元社 2001年2月

(18)『肩胛骨は翼のなごり』 デイヴィッド・アーモンド著,山田順子訳 東京創元社 2000年9月

(19)『魔使いの弟子』(sogen bookland) ジョゼフ・ディレイニー著 金原瑞人・田中亜希子訳 2007年3月 をはじめとして発行されたシリーズ。東京創元社。2011年1月現在5作目。

(20)『木曜日に生まれた子ども』 ソーニャ・ハートネット著 金原瑞人訳 河出書房新社 2004年2月

(21)『ブラック・ダイヤモンド』(フォア文庫) 谷朋画 理論社 2010年10月

(22)『地球のかたちを哲学する』 ギヨーム・デュプラ文・絵 博多かおる訳 西村書店 2010年6月

(23)『妖怪アパートの幽雅な日常』(YA!ENTERTAINMENT) 香月日輪著 佐藤三千彦画 講談社 2003年10月-2009年3月 全10巻

(24)『異界から落ち来る者あり 上 』(大江戸妖怪かわら版 1) 香月日輪作 橋賢亀装画 理論社 2006年6月 をはじめとして発行されたシリーズ。2011年1月現在5作目。

(25)『初恋芸人』 中沢健著 風塵社 2009年11月

(26)『サマータイム』 佐藤多佳子著 1989(平成元)年月刊MOE童話大賞受賞。MOE出版から1990年7月に発行。現在は新潮文庫から発行。

(27)『リズム』 森絵都著 1990年講談社児童文学新人賞(第31回) 受賞。講談社から1991年5月に発行。

(28)『ほたる館物語』(新日本少年少女の文学) あさのあつこ作 高橋透絵 新日本出版社 1991年1月。現在、ポプラ文庫ピュアフル、カラフル文庫(ジャイブ)からも発行。

(29)『ナルニア国ものがたり』全7巻 C.Sルイス作 瀬田貞二訳 岩波書店 1966年

(30)『指輪物語』 J.R.R.トールキン作 瀬田貞二訳 評論社 1972-1975年

(31)『ハリー・ポッターと賢者の石 』(J.K.ローリング作 松岡佑子訳 静山社 1999年12月)をはじめとして発行されたシリーズ。7作目『ハリー・ポッターと死の秘宝』2008年7月にて完結。

(32)『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』全5巻+外伝 リック・リオーダン作 金原瑞人・小林みき訳 ほるぷ出版 2006年4月~2010年12月

(33)『ゲド戦記』全5巻+別巻 ル=グウィン作 清水真砂子訳 岩波書店 1976年9月~2006年5月

(34)『砂の妖精』(世界児童文学全集21) ネズビット作 石井桃子訳 あかね書房 1959年12月 現在、福音館文庫から発行。

(35)『はてしない物語』 ミヒャエル・エンデ著 上田真而子・佐藤真理子訳 岩波書店 1982年6月

(36)『漂泊の王の伝説』 ラウラ・ガジェゴ・ガルシア作 松下直弘訳 偕成社 2008年3月

(37)『満たされぬ道』(新しい<世界文学>シリーズ) ベン・オクリ著 金原瑞人訳 平凡社 1997年8月

(38)『コララインとボタンの魔女 』 ニール・ゲイマン著 金原瑞人・中村浩美訳 角川書店 2003年6月

(39)『ユゴーの不思議な発明 』 ブライアン・セルズニック著 金原瑞人訳 アスペクト 2008年1月

(40)『墓場の少年-ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活-』 ニール・ゲイマン著 金原 瑞人訳 角川書店 2010年9月

(41)大阪府立国際児童文学館は、2010年3月末まで万博記念公園内(吹田市千里)に単独館としてあった。

(2010年9月18日 於:府立中央図書館ライティホール)

(文責:大阪府立中央図書館国際児童文学館)