本のPOP広場について

1.はじめに

大阪府立中央図書館では他の年齢層に比べてヤングアダルト(以下「YA」とする)層の利用が少ない(1)。そこで、平成19年度に「若者利用者増アクションプラン」概要作成チームを立ち上げ、YA層を図書館へ呼び込む方法を考えた。その方法として「本のPOP広場」が提案された。

「本のPOP広場」とは13歳〜20歳までのヤングアダルトに作成したPOPを応募してもらい、それを一般投票により優秀作品を決めて表彰式を行う、2008(平成20)年度から始めたイベントである。POP広場を提案した動機は、若者が本のPOPを作ることによって本のすばらしさを伝え合い、また同年代の人が作ったPOPを見て本を読むきっかけになるのではないか、また、図書館でイベントを行うことで、若者を図書館に呼び込むこともできると考えたからである。

ここでは、府立図書館で開催した2009(平成21)年度の「本のPOP広場」について紹介する。YAサービスの一手法として参考にしてもらえればうれしい。

2.POP広場について

POP広場の運営は館内のYAチームのメンバー中心におこなった。2009(平成21)年度のメンバーは社会教育主事2名、司書8名の計10名である。司書は児童担当、一般部門の閲覧担当、資料収集担当、企画協力業務担当と様々な係から集った。

POP募集期間を中高生が取り組みやすい夏休み(2009(平成21)年7/1-9/9)とするため、6月に関係機関にチラシを配布し、広報をした。関係機関とは学校関係(府内中学校、高等学校、支援学校)、大阪府教育委員会関係施設(博物館など)、府内公共図書館等である。当館ホームページ上にも「本のPOP広場」紹介ページを作成した。

府立図書館に来た職場体験の中学生、インターンシップの高校生にも参加を呼びかけたが、個人での申込みは少なく、圧倒的に学校単位の申込みが多かった。参加した学校は大阪府だけではなく、京都、兵庫などからも応募があった。応募総数は2009(平成21)年度は888点だった。

なるべく多くの人がイベントに参加できるように、気に入った作品に投票してもらう「一般投票」を導入した。しかし、応募総数は約900点あり、これらすべてを見て投票してもらうのは大変である。そこで一般投票してもらう作品約20点を職員が選んだ。

選んだ一般投票作品20点は、入り口近くのよく目立つ展示スペースに展示し、近くに投票箱を設けた。POPに紹介されている図書を所蔵しているものは、実物を手にとってもらえるようにと、図書も展示した。

可能な限り沢山の人が投票できるように、来館投票・郵送・FAX・ホームページ(一般投票作品をホームページ上でも公開した)で受け付けた。(投票期間は2009(平成21)年10/1-14)

一般投票の上位作品を最優秀賞、優秀賞、優良賞とした。また、良い作品を目立たせ、参加者の励みになればと考え、YAチームで考えた特別賞(ユニーク賞、メルヘン賞、住んでみたいで賞など)も設けた。

 一般投票後から表彰式までの間(2009(平成21)年10/27-11/8)に、応募者が頑張って作成したPOP作品を多数の人に見ていただこうと、応募された全作品を入り口近くの展示スペースに展示した。POPで紹介されている本を手に取ってもらえればと、受賞作品を中心に可能な限り、図書も展示した。特に受賞作品は利用者の注目を引くと考え、府立図書館で未所蔵の受賞作品図書は購入した。

表彰式は2009(平成21)年11月8日(日)におこなった。受賞者には表彰状と副賞を贈呈した。残念ながら予算がないため、副賞として、館内で入手できたエコバック、クリアファイル、ノート、しおりなどをプレゼントした。参加できない受賞者には、表彰状を郵送した。表彰式後希望者には、館内見学ツアーをおこなった。

3.POP広場を行ったメリット

4.今後に向けて

学校単位で応募が増えているので、量が増加することが予想される。(第1回2008(平成20)年 約350点に対して、第2回2009(平成21)年は888点で、倍以上である。)

応募が増えると、全作品を展示するスペースが確保できず、作業量が負担になる恐れがあるので、今後、学校単位の応募が増えれば、学校単位で作品を選抜して応募してもらうことも考え、事業は継続しておこないたい。

POP広場を通じて、若い人が本に親しむきっかけになっていると思う。今後も多くの若い人が本を読み、また図書館を利用してもらいたい。

※参考
「本のPOP広場紹介」サイト
第2回2009(平成21)年度
http://www.library.pref.osaka.jp/central/syogaigakusyu/21pop/21POP_jyusyo.html
第1回2008(平成20)年度
http://www.library.pref.osaka.jp/central/syogaigakusyu/2040POPkiroku11.html

※注

(1)2009(平成21)年の有効登録者数(99,280人)に占めるYA層の割合は、13〜15歳が1.6%、16〜18歳が1.8%となっている。(『大阪府立中央図書館 要覧 2009』)